最新の「Jupyter Book」を発表、Sphinxがベースに

 「Jupyter Book」プロジェクトは8月13日、最新のJupiter Bookを発表した。ブック作成でJekyllに代わってSphinxを用いるようになるなど、多数の変更が加わっている。

 Jupyter Bookは演算処理コンテンツを含む素材からWebサイトやドキュメンテーション、出版レベルの本を構築できるオープンソースのプロジェクト。Python向けのインタラクティブなノートブックとしての利用で知られており、インタラクティブかつ実行可能なドキュメント向けのオープンソースのツールを構築するExecutable Book Projectの支援を受けている。なお、プロジェクトはまだベータ段階にある。

 最大の変更として、ブックの作成でこれまで使用していたJekyllに代わって、Sphinxドキュメンテーションエンジンを用いるようになった。また単一リポジトリから、複数のモジュラー ツール構成を取るようになった。

 Jupyter Markdownまたはプラグイン機能を持つ拡張版を作成できるようになった。Markdownでは、Sphinxの実装であるMyST(Markedly Structured Text) Markdownを利用できるようになった。これにより、引用、クロスリファレンスなどのシンタックスのサポートを実現し、数式や方程式なども利用できるようになった。Sphinx活用によりアウトプットの強化も図っており、HTMLとLaTexを経由したPDF Outputなどを試しているという。コンテンツ作成はコードとアウトプットをブックに入れたり、Markdownのみで作成することもできる。

 ビルドシステムも改善した。これまでPythonとJekyllを使ってHTMLを構築していたが、最新版よりPythonのみとなり、HTMLが簡素化された。また、Jupyter Cacheの活用により、変更されていないコードは再実行しないなどの最適化が図られるという。

 最新のJupyter BookのドキュメンテーションやコードはプロジェクトのWebサイトよりアクセスできる。

Jupyter Book
https://jupyterbook.org/intro.html
https://github.com/executablebooks/jupyter-book