米Red Hat、「Red Hat Enterprise Linux 7.2」を発表

 米Red Hatは11月19日(米国時間)、Linuxディストリビューション「Red Hat Enterprise Linux 7.2」の一般公開版(GA)をリリースした。コンテナ関連やネットワーク性能の強化が特徴となる。

 Red Hat Enterprise Linux(RHEL) 7.2は3月に公開された「Red Hat Enterprise Linux 7.1」に続く最新版。コンテナ関連、セキュリティ、ネットワーク、システム管理などにフォーカスして開発された。

 このところの強化分野となっているコンテナ関連が引き続き強化されており、Docker、Kubernetes、Cockpitなどのパッケージがアップデートされた。Dockerは1.8.2、Kubernetesは1.0.3となっている。またDocker Distributionが新たに加わった。コンテナ向け軽量OS「Red Hat Enterprise Linux Atomic Host」もバージョン7.2となり、「Red Hat Container Development Kit 2」も用意する。Container Development Kitはイメージ、ツール、ドキュメンテーションなどで構成されるもので、開発者はこれを利用してコンテナベースのアプリケーションを開発してRHEL、Atomic Host、OpenShift Enterprise上で実装できる。

 セキュリティ関連では、Red Hat Identity Management System(IdM)でDNSサーバーを拡大するDNS Security Extensions(DNSSE)をサポートした。セキュリティ設定共通化手順Security Content Automation Protocol(SCAP)の実装である「OpenSCAP」をインストールプロセスで利用できるAnacondaプラグインを用意した。OpenSCAPそのものも、バージョン1.2.5にアップデートしている。

 ネットワーク性能も大きく改善したとのことで、ネットワーク機能仮想化(NFV)、ソフトウェア定義ネットワーク(SDN)の多くの事例でネットワークの速度が倍増したほか、ネットワークカーネルスタックをチューニングしたという。さらにData Plane Development Kit(DPDK)が導入され、ダイレクトパケット処理のサポートや、低遅延で高スループットのカスタムアプリケーション開発が可能になったとのこと。TCPの混雑問題を解決するというTCP(DCTCP)も導入、WindowsとRHEの両方のベースのホスト感でスムーズに動くという。

 システム管理も強化し、新機能として「Relax-and-Recover」というシステムアーカイブツールを導入した。ISOフォーマットでローカルバックアップを作成できるもので、ディザスタリカバリとして中央でアーカイブして遠隔で複製することができるという。

 RHEL 7.2はオペレーション分析のアドオン「Red Hat Insights」と互換性がある。Red Hat Insightsは最大10台のRHEL 7ベースのシステムまで無料で利用でき、管理者はこれを利用してREHLベースのIT効率の改善とダウンタイムの削減を図ることができるとしている。

 デスクトップではGNOMEがバージョン3.14となり、yumバックエンドベースでユーザーのシステムにソフトウェアをインストール・管理する新手法「GNOME Software」などの新機能を利用できる。

 Red Hatは合わせて、ARMアーキテクチャ向けの「Red Hat Enterprise Linux for ARM 7.2 Development Preview」も発表した。6月にパートナー向けに公開していたもので、パートナーはこれを利用して新しいARMベースのシステムや機能を開発できるとしている。

米Red Hat
http://www.redhat.com/