「Docker 1.9」リリース、複数のホストにまたがる仮想ネットワーク構築機能が搭載される

 米Dockerは11月3日、オープンソースのコンテナ技術「Docker 1.9」を発表した。新たにマルチホストネットワーキング機能が搭載され、また永続的ストレージのサポートも強化されている。

 8月に公開されたDocker 1.8に続く最新版となる。本リリースの最大の特徴はマルチホストネットワーキングへの対応で、Docker Engineで複数のホストにまたがる仮想ネットワークを作成できるようになった。コンテナは位置に関係なく仮想ネットワークに紐付けされるため、ネットワークトポロジーとコンテナの通信を完全に制御できるという。また、プラグインを利用して使用するネットワークシステムの置き換えが可能で、アプリケーション側に修正を加えることなく任意のネットワークシステムと統合できるとしている。

 永続的ストレージ関連も強化した。Docker 1.8ではサードパーティのストレージシステムを利用してDockerボリュームのバックアップをできるようにするボリュームプラグインを導入したが、1.9ではこれをさらに強化し、ボリュームシステムを再度設計しなおした。これにより、プラグインの利用が容易になっただけでなく、クラスタリング機構「Swarm」との連携も可能になった。これらによってクラスタ全体での永続的ストレージを容易に管理できるとしている。Docker Swarm自体もバージョン1.0に更新され、運用環境で利用できるようになった。

 Docker Engineではこれらに加え、Dockerfileでビルド時の引数を指定できるようになった。また、並列でのイメージ取得、カスタム停止設定などの機能も加わり、Amazon Web Services(AWS)ユーザー向けにログを直接CloudWatchに出力できるロギングドライバも加わった。

 コンテナアプリケーションの定義・実行ツールのDocker Composeはバージョン1.5となった。複数環境のサポートの強化に主眼が置かれ、Windowsのサポートが加わった。また、アプリケーションの構造を定義する単一のベースファイルを特定し、開発、テスト、運用の違いを指定したファイルで上書きできるようになった。ネットワーク機能の実験的サポートも加わり、Swarm上でComposeアプリをデプロイする際、複数のホストにまたがってのデプロイが可能になるという。

 このほか、Dockert Registryは2.2になり、Mac/Windows向けのインストーラーDocker Toolboxも強化した。

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