「Xen 4.6」公開、多数の機能強化や新機能追加が行われる

 Xen Projectは10月13日、オープンソースの仮想化ソフトウェア「Xen Project Hypervisor 4.6」をリリースした。セキュリティにフォーカスした機能が多数加わっている。

 1月に公開されたXen 4.5に続く最新版。コード品質、セキュリティなどにフォーカスした。多数の機能強化と新機能が加わったにも関わらず、コードベースは4.5と比較して約6000行増えるにとどまったとしている。

 ハイパーバイザではメモリイベントサブシステムを強化し、仮想マシン(VM)イベントシステムもサポートした。VMイベントサブシステムはARMとx86の両アーキテクチャをサポートし、メモリアクセス、レジスタアクセスといったあらゆるVMイベントの傍受が可能となる。

 また、Xen Security Modules(XSM)でデフォルトポリシーが用意された。Xen Project Test Labで定期的に検証されたもので、将来XSMをデフォルトで有効にする道筋を作ることになる。

 このほか、vTPM 2.0のサポート、GRANTテーブルの拡張性強化、大規模なワークロードに対応するためのチケットロックの導入などが加わった。使われていないSEDFスケジューラーを削除し、Mini-OSもコードベースから削除した。

 アーキテクチャ固有の強化も多数行われた。x86ではIntelのCache Allocation Technologyをサポートし、仮想マシンへのL3キャッシュの割り当てを増やすことができるようになった。これによって遅延の低下や性能の改善が図れるという。Intel Memory Bandwidth Monitoringもサポートされ、Xenホストの帯域飽和を識別できるようになった。このほかIntel P2Mフレームワークなどの強化も行われている。

 ARMではThunder X、Renesas R-Car Gen2など新しいハードウェアをサポートしたほか、ARM64プラットフォーム上でサポートするVCPUの数が最大128に増えた。ARM GICv2/GICv3のサポートも加わった。

 ツールスタックも強化され、libxc/libxlのライブマイグレーションが最新のMigration v2になった。高可用性技術「Remus」も書き直されMigration v2ベースとなった。Libxl非同期オペレーションがキャンセル可能となったほか、ACHIディスクコントローラーのサポート追加や、SPICE/QXLのサポート改善なども行われている。ハイパーバイザーのトレースバッファを解析するXenalyzeも加わり、デバッグや最適化を改善できる。

 OS別でも強化が加わっている。たとえばLinuxでは、Xen SCSIフロントエンドとバックエンドのサポート、VPMUカーネルのサポート、mmapコールの性能改善などが加わった。blkfrontではマルチキュー、マルチページリングをサポートした。

Xen Project
http://www.xenproject.org/