「Ruby on Rails 4.2」リリース

 Ruby on Railsの開発を統括するDavid Heinemeier Hansson氏は12月19日、最新版となる「Ruby on Rails 4.2」をリリースした。新フレームワーク「Active Job」やデバッグ機能「Web Console」が導入され、また性能強化のための新機能も加わっている。

 Ruby on RailsはRubyで書かれたオープンソースのWebアプリケーションフレームワーク。MVCアーキテクチャをベースに、「設定より規約」といったポリシーを掲げ、効率の良いアプリケーション開発を目指している。

 Ruby on Rails 4.2は、4月に公開されたバージョン4.1に続く最新安定版となる。4回のベータ版、3回のリリース候補版を経ており、「最もよくテストされたリリース」だという。Ruby 1.9.3以上で動作するが、バージョン2.1以上の利用が推奨されている。

 最新機能として導入されたフレームワーク「Active Job」は、Resque、Delayed Job、Sidekiqといったクエリシステムの上位に対応するアダプタレイヤーで、これらのクエリシステム上で動くジョブを宣言できる。定期的なクリーンナップ、メール送信や課金など、こまかな作業単位に分割して並列処理できるものに利用できるという。

 Active Jobと同時に、Active Jobの性能を強化する「Adequate Record」も加わった。よく使われるSQLステートメントをキャッシュすることで、よく利用されるクエリの速度が最大2倍高速化されるという。

 開発コンソールでは、例外が発生したすべてのページでの状態を調査できる「Web Console」も導入した。Rails 4.2で開発したアプリケーションではデフォルトのRailsエラーページで自動的に立ち上がる。Web Console上でコンソールビューとコントローラーヘルパーメソッドにアクセスし、コードを実行できるという。

 これまで方針があいまいだった外部キーについては、本バージョンでその位置付けが明確になり、マイグレーション用DSLで外部キーの追加と削除が可能となるといった利用が可能となった。現時点ではMySQL、PostgreSQLアダプタのみでのサポートとなる。

 このほか、4.1で非推奨となっていた「rake test:all」や「rake test:all:db」などのターゲットが非推奨となった。Action PackやAction View、Action Mailer、Active Model、Active Supportなどでも細かな変更や修正が加わっている。

 Hansson氏は、今後のRuby on Railsのサポートおよび次期版5.0についても計画を発表した。バグ修正は4.2系に加えて4.1系にも対しても適用されることになり、4.1は定期的なセキュリティ修正とともにメンテナンスされるという。深刻なセキュリティについては3.2系も対象となる。5.0については、Ruby 2.2以上のみをターゲットにするとのことだ。5.0のリリースは現時点では2015年秋を予定しているという。

Ruby on Rails
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