GTD(getting things done)を支援するTiddlyWiki派生ツール

 TiddlyWikiは、メモやちょっとしたテキストの管理に優れているが、他の用途向けに改造することはできるのだろうか? TiddlyWikiをベースとするいくつかのアプリケーションを見てみると、それが可能らしいことが明らかである。TiddlyWikiから派生したツールにより、タスクの管理、プロジェクトの追跡、アドレス帳の管理、書籍コレクションの整理などを行うことができる。オリジナルのTiddlyWikiと同様に、各種派生ツールも単一のHTMLファイルからなり、まずはそれを自分のハードディスクにダウンロードする。ダウンロードしたファイルをブラウザで開けば、TiddlyWikiベースのツールが使用可能というわけだ。

TeamTasks

 便利なTiddlyWiki派生ツールの1つに、小規模なワークグループや個人ユーザ向けのタスク管理ツールであるTeamTasksがある。TeamTasksはTiddlyWikiをベースとするが、その基本的な使用方法は他のタスクマネージャと同じである。唯一大きな違いは、すべての設定とデータがtiddlerという小さな編集可能コンテナに保存される点である。TeamTasksの設定はすべて、definition tiddlerと呼ばれるものに保存される。definition tiddlerは、サイドバーの[Customise]メニューからアクセスすることができる。

 TeamTasksを使用するにはまず、UserDefinition tiddlerにユーザ名を追加することにより、少なくとも1人のユーザを定義する。次に、タスク管理を容易にするために、スコープ(scope)と呼ばれるものを定義する。スコープは、プロジェクトであると考えてよい。GTDの用語で言えばコンテキストである。ユーザと同様に、スコープはそれ専用のScopeDefinitions tiddlerで定義する。デフォルトのタスク優先度やステータスエントリを変更したい場合は、PriorityDefinitions tiddlerやStatusDefinitions tiddlerによって行う。

 設定を終えたら、[New Task]ボタンによりタスクを作成する。普通のtiddlerとは異なり、各タスクにはドロップダウンリストがあり、そこでそのタスクのスコープ、優先度、ユーザ、ステータスを設定する。

 タスク検索には、サイドバーの[Search]フィールドが使用できるが、TeamTasksにはレポート機能もある。サイドバーの[Task views]メニューにあるDefaultReportViewレポート以外にも、数行のコードを埋め込んだ新しいtiddlerを作成することにより、好みのタスクビューを作成することができる。たとえば以下のコードは、各タスクの優先度、ステータス、ユーザを表示するレポートを生成するものである。

<<TTReportView DisplayFields:"Title,Priority,Status,User">>

 OrderByオプションにより、タスクの表示順序を指定することもできる。

<<TTReportView DisplayFields:"Title,Priority,Status" OrderBy:"Status,asc">>

 特定の基準を満たすタスクの一覧を表示することもできる。次のコードでは、優先度の高いタスク一覧を表示する。

<<TTReportView DisplayFields:"Title,Priority,Status" OrderBy:"Status,asc" Priority:"high">>

 作成したタスクビューを[Task views]メニューに追加するには、TaskViewsというtiddlerを開き(サイドバーの[Listings]メニューからアクセス可能)、作成したビューをtiddlerのリストに追加する。

TiddlyDu

tiddlydu1_thumb.png
TiddlyDu

 TiddlyDuは、TeamTasksと同様に、タスクやToDoリストを管理するツールだが、アドレス帳、人生目標、プロジェクトといった個人的な情報も扱うことができる。つまりTiddlyDuは、TiddlyWikiを愛するすべての人向けの優れたPIMアプリケーションであるといえる。

 TiddlyDuでは、まとまりのないタスクやプロジェクトを作成し管理することもできるが、人生目標、プロジェクト、タスクという階層を構築することにより体系的に管理する方法が提供されている。たとえば「より優れたライターになる」という人生目標を作成し、そこに「書籍を執筆する」「記事『より優れたライターになるには』を完成させる」「調査を行う」といったプロジェクトを追加する。そして各プロジェクトにタスクを加える。TeamTasksと同様に、プロジェクトやタスクを作成する際には、ドロップダウンリストによっていくつかのオプションを設定することができる。たとえば各タスクには種類やステータスを、各プロジェクトには人生目標やステータスを設定可能だ。

 またTiddlyDuでは、dated task(日時指定タスク)と呼ばれる、開始日時と終了日時を定めたタスクを作成することもできる(終了日時の指定は任意)。そのフォーマットは以下のとおりである。

title:Task Title
description:Task Description
start:Dec 11 2008 00:00:00 GMT
end:Dec 14 2008 23:59:59

 日時指定タスクは、ナビゲーションサイドバーの[Calendar]メニューにある[My Reminders]セクションに自動的に追加されるため、これにより今後の予定やToDoリストを確認することができる。しかしTiddlyDuには、タスクやプロジェクトを一目で確認するためのさらに優れた機能がもう1つある。[Calendar]メニューの[MyTimeline]を選択すると、SIMILE Timelineウィジェットをベースとする視覚的な時間軸上にすべてのタスクが表示される。

 プロジェクトやタスク以外にもTiddlyDuでは、アドレス帳を作成し管理することができる。[New contact]ボタンをクリックするだけで、新しい連絡先を作成することができる。新しい連絡先のレコードは、普通のtiddlerのように見えるが、保存時には、名前、連絡先、住所、誕生日などの標準フィールドからなる連絡先エントリフォームに変換される。各連絡先の種類(家族、友人、仕事関係など)も設定することができ、サイドバーの[My Contacts]メニューの各種contactsを用いて、特定の種類の連絡先一覧を参照することができる。

 最後に紹介するのは、tiddlerにウェブページを埋め込むIFrames機能である。たとえばウィキペディアのページをTiddlyDuファイルに埋め込めば、新しいブラウザウィンドウやタブを開くことなくそのページを参照することができる。IFrameを追加するには、新しいtiddlerを作成し、以下のコードをそれに挿入する(URLの部分を実際のウェブアドレスに置き換えること)。

<html><div align="center"><iframe src="URL" frameborder="0" width="100%" height="600"></iframe></div></html>

その他のTiddlyWiki派生ツール

 TeamTasksやTiddlyDu以外にも興味深いTiddlyWiki派生ツールがいくつか存在する。TiddlyDuよりも簡単な連絡先管理用ツールを求めているならば、 twab をお勧めする。TiddlyWikiベースの簡素なアドレス帳であるtwabでは、CSVファイルからの連絡先のインポートや、既存の連絡先エントリの別のフォーマットへのエクスポートが可能である。GTD手法の愛好者には、 MonkeyGTD d-cubed といったタスクマネージャが好まれるだろう。書籍コレクションや書物に関するメモを整理したい人には、 BibblyWiki が便利である。最後に TiddlySticky は、TiddlyWikiの基本概念をさらに一歩進めた、ブラウザ内で動作する付箋紙ツールである。

Dmitri Popovは、ロシア、イギリス、米国、ドイツ、デンマークのコンピュータ雑誌で活躍するフリーランスのライター。

Linux.com 原文(2008年11月25日)