インテル、モバイルネット端末向け超小型CPU「Atom」と半導体セット
Atomは同社最小のCPUでサイズは縦13×横14mm。4700万個のトランジスターを搭載しながら個々のサイズを世界最小に抑え、小型化を実現した。動作周波数別に800MHzから1.86GHzまでの5種類をラインアップ。設計段階から見なおすことで、消費電力は平均で160-220mW、アイドリング時電力は80-100mWと「当社で最も消費電力の低いプロセッサー」(土岐英秋・インテル技術部長)を実現した。吉田共同社長は「高性能、低消費で環境にやさしい『エコ・プロセッサー』だ」と自信をみせた。
一方、半導体セット「Centrino Atom プロセッサー・テクノロジー」はCPUAtomと周辺チップなどで構成。中核になるチップは、メモリーコントローラやIOコントローラを1つに統合した「インテル システム・コントローラ・ハブ」。グラフィック機能では3Dをはじめ、1080iのハイビジョン映像の再生に対応する。また、製造工程では鉛とハロゲンを使わず、環境にも配慮した。そのほか、無線機能チップなども提供。無線機能では無線LAN、Bluetooth、WiMAX、「HSDPA」などの3.5世代携帯電話に対応する。
発表会では無線通信機能で協業するNTTドコモ、QUコミュニケーションズ、ウィルコムの関係者が出席。NTTドコモの青山幸二・プロダクト&サービス本部ユビキタスサービス部長は「Atomを搭載した様々な機器が製品化され、当社のサービスを利用してもらい、新しいユーザーを広げていきたい」と述べた。
QUコミュニケーションズの片岡浩一・執行役員副社長は「当社が行うWiMaxはインテルのCPUの性能を最大限に使うことができる」と強調。ウィルコムの喜久川雅樹社長は「新型CPUを使った端末を近々に発表する。また次世代PHSの端末でも導入してく」と意気込みを述べた。
さらに会場では、クラリオンや松下電器産業、富士通、東芝などからAtomとCentrino Atom プロセッサー・テクノロジーを採用した機器も同時に発表した。
クラリオンは、インターネットに接続できるポータブル型のカーナビ「MiND Mobile Internet Navigation Device」を展示した。日本での発売は未定だが、米国では今秋にも発売する。CPUは800MHzのAtomを採用。メモリは512MB、記憶媒体には4GBのSSD、OSはLinux、通信機能には無線LAN、Bluetooth、WiMAX、3Gに対応する。ラインアップは、通信機能が無線LAN、Bluetoothの「スタンダード」、カメラ付きで無線LAN、Bluetooth、WiMAX、3Gに対応した「プレミアム」の2つ。価格は7-8万円程度を想定している。
また、松下電器産業は業務用端末「タフシリーズ」を発表した。CPUの周波数、メモリ、記録媒体、通信機能は非公開。OSにはWindows Vista、XPを搭載する。業務用のため受注個数によって価格は異なるが、30万円前後を想定している。
NECではタッチパネル式のディスプレイ一体型端末「パネルコンピュータ」を展示。メモリは512または1GB。記憶媒体用スロットを設けており、コンパクトフラッシュ(CF)かHDDを選ぶことができる。CFの場合は1または4GB、HDDなら80GB。OSはWindows Vista、XP。飲食店などでの注文端末などでの利用を想定した端末で、12型と15型のディスプレイサイズをそろえる。今夏に発売する予定で、価格は15インチモデルで20万円程度を見込む。
提供:BCN