SpectoによるWebページの変更監視

 Webサイトへの新規投稿を監視できるLinux用フィードリーダはたくさんある。しかし、興味のあるWebサイトまたはページがフィードを配信していない場合はどうしたらよいだろうか。 Specto は、静的または動的なページに対する変更を監視できる小さいながらも見事なPythonアプリケーションだ。Spectoの設定によって、Wikiページ、ブログ投稿、フォーラムのスレッド、電子メールの受信箱、さらには自らのシステム上のファイルやフォルダについても変更の監視が行える。システムトレイアイコンからの邪魔にならないポップアップ表示があらゆる変更を通知してくれるので、更新されたページを探し回る必要がなくなる。

 Spectoは、ほとんどのディストリビューションのソフトウェアリポジトリから入手できる。あるいは、最新のリリース版が欲しければ圧縮されたtarballからインストールすることも可能だ。まずは「tar zxvf specto-0.2.2.tar.gz」コマンドでtarballを展開する。続いて「specto-0.2.2」ディレクトリに移動する。とりあえずSpectoを使うのであればインストールを行う必要はなく、「./launch.sh」コマンドでSpectoを起動できる。ただし、FedoraユーザとUbuntuユーザは、それぞれ「su -c "python setup.py install"」、「sudo python setup.py install」というコマンドを使ってSpectoをインストールしてもよい。

 インストール後はターミナルから「specto」コマンドを実行するか、「Applications(アプリケーション)」→「Accessories(アクセサリ)」メニューからSpectoを起動できる。起動するとSpectoの「Notifications(通知)」ウィンドウが現われる。

 Spectoでは、監視すべきすべての対象をウォッチ(watch)と呼ぶ。更新の監視が必要なウォッチを追加する前に、「Edit(編集)」→「Preferences(設定)」をクリックし、「Preferences」ウィンドウの通知エリアにある「Always show(常に表示)」アイコンをクリックしておく。「Preferences」ウィンドウでは、ウォッチの更新時に音を鳴らすように設定することもできる。「Preferences」ウィンドウの最上部にある「Duration(in seconds)(表示時間[秒])」スライドバーを使えば、更新を通知するポップアップの表示時間を指定できる。

 「Notifications」ウィンドウの「Add(追加)」ボタンをクリックすると「Add a Watch(ウォッチの追加)」ウィンドウが開く。たとえばSlashdotの更新を監視したければ、「Name(名前)」フィールドに「Slashdot」と入力して「Watch Type(ウォッチのタイプ)」ドロップダウンリストから「Website(Webサイト)」を選択する。また「Refresh Interval(更新間隔)」では、更新の有無をチェックする時間間隔を秒、分、時間、日のいずれかの単位で指定できる。続いて、「URL」フィールドに対象Webページのアドレスを入力して「Error Margin(エラーマージン)」を指定する。エラーマージンの設定は、Slashdotのように、頻繁に変わる広告のせいでSpectoがコンテンツの更新との判断を誤る可能性があるサイトで特に重要である。デフォルトでは、エラーマージンが2%になっている。エラーマージンを0%にすると、ほんの些細な変更でも更新と見なされる。Spectoは、更新の有無を判断する各項目のチェックを行ったうえでファイルサイズの差を計算することによって動作する。設定を終えて「Add」ボタンをクリックすると、指定したページの更新監視が開始される。

 また、Gmailアカウント用の通知を作成することもできる。「Notifications」ウィンドウの「Add」ボタンをクリックして「Name」フィールドに「Gmail」と入力する。「Watch Type」ドロップダウンリストで今度は「Email」を選択する。さらに「Refresh Interval」の値を指定して「Gmail」ラジオボタンを選択する。ユーザ名とパスワードの各フィールドの入力を終えたら、「Add」ボタンをクリックすればよい。また、POP3やIMAPアカウントの監視も可能だ。その場合は、「Gmail」の代わりに「POP3」か「IMAP」のラジオボタンを選択する。続いて、ユーザ名とパスワードと共にホストの情報を入力する必要がある。また、アカウントでSSLの使用設定をしている場合には「Use SSL(SSLを使用)」チェックボックスをオンにしておくとよい。「Add」ボタンをクリックすれば、通知の設定は完了だ。

 同様に、「Watch Type」ドロップダウンリストで「Files(ファイル)」や「Folders(フォルダ)」を選択することにより、ファイルやフォルダのウォッチを設定することができる。その場合は「File」または「Folder」のラジオボタンを選択し、監視するファイルまたはフォルダを指定する。

 Spectoによる特定のウォッチの監視を一時的に止めるには、「Notifications」ウィンドウの該当するウォッチの左側にある「Active(有効)」チェックボックスをオフにすればよい。また、ウォッチの設定を編集したければ、そのウォッチを選択したうえで画面右下の「Edit(編集)」ボタンをクリックする。設定したウォッチの全リストは、「~/.specto/watches.list」ファイルに保存されている。ところが驚くべきことに、電子メールのウォッチを設定すると、そのアカウントのユーザ名とパスワードまでもがこのプレーンテキストファイルに記載されてしまうので、注意が必要だ。

 このセキュリティ上の欠陥に目をつぶれば、SpectoはWikiページやブログ投稿を監視して自分のコメントに回答が付いてないかチェックしたい、あるいはフォーラムへの登録やメール通知の申請を行わずにフォーラムのスレッドを監視したいという人にとって理想的なツールだ。また情報を逃さないように、プロジェクトの変更履歴、またはバグやニュースのページをチェックするウォッチを設定することもできる。

Shashank Sharmaは専らフリー/オープンソースソフトウェアの初心者向け記事を執筆する傍ら、Linux.comフォーラム掲示板の管理人も務める。『Beginning Fedora』(Apress刊)の共著者でもある。

Linux.com 原文