心臓ペースメーカー:ハッカーに操られる恐れ 米研究者が警告

 心臓病患者に埋め込まれるペースメーカーで、無線通信機能がある製品は、ハッカーに操られる恐れがあることが、米国の研究者の調査で分かった。死に至りかねない電気ショックを、遠隔操作で実行できることを確認したという。米ワシントン大学が3月11日(現地時間)に発表した。

 最近のペースメーカーは通信機能を内蔵。データを発信したり、体外から調整できる製品が登場している。このため、同大や米ハーバード大学の研究者らが、セキュリティー上の問題がないかどうか調べた。

 実験室内での調査では、ハッカーへの対策が甘いことが判明。ペースメーカーから患者の個人情報を読み取るのに成功した。設定を書き換えて故障させることも可能だった。死に至りかねない心室細動を誘発する電気ショックを、実行できることも証明した。

 実際に被害があったとの報告はなく、極端に心配する恐れはないという。しかし、将来、通信能力が強化され、医師が遠隔地から操作するような時代になれば、リスクが高まると警告している。医療機器メーカーに対応を呼び掛けている。【南 優人/Infostand】

ワシントン大学の発表
http://uwnews.org/article.asp?articleID=40358