パックマンなどの懐かしいゲームをPCで楽しむ

 昔のアーケードゲームが好きで、またやってみたいと思っているならMAME(Multiple Arcade Machine Emulator)を試してみよう。MAMEは、古いアーケードゲームのシステムをソフトウェア的に再現することができるフリーのエミュレータだ。MAMEはWindows用として書かれたオープンソースのアプリケーションだが、Linux上でも実行することができる。

 MAMEは元のアーケードゲームのあらゆる部分について画像/音声を非常に正確にエミュレートする。エミュレートするゲームは元々は8~16ビットのCPUで(現在の感覚から言うと)低速に動作するようなかなり古いものが多いので、MAMEを実行するには、最近のゲームをするには物足りなく感じるだろう1GHzのPentiumがあれば十分だ。

 MAMEの初リリースは1997年2月で、現在はバージョン0.121がGPL(GNU一般公衆利用許諾契約書)ではない特殊なライセンスの下でリリースされている。実行できるゲームの数はまもなく4,000に達しようとしていて、現在も活発な開発が続いている。

LinuxでMAMEを実行する

 MAMEをLinuxに移植するためのプロジェクトはこれまでにいくつか存在していたが、現在も活発なものはSDLMAMEだけだ。SDLMAMEはWindows用のコードをベースとしており、MAMEの新リリースを迅速に追い掛けることができるように変更箇所をできるだけ少なく抑えたまま、Linux上でMAMEを実行できるようにすることを目指している。SDLMAMEはLinux(32ビット版と64ビット版がある)、FreeBSD、Mac OS Xで利用することができる。なおWindowsもサポートしているが、Windowsで元々のMAMEではなくSDLMAMEを利用する意味はあまりないだろう。

 SDLMAMEをインストールするにはまず、最新版をダウンロードしよう。またSDLパッケージとSDL-develパッケージをインストールしておく必要があるため、使用しているディストリビューションのパッケージマネージャ(SmartやYaSTやyumなど)を使ってそれらのパッケージも入手しよう。次にアーカイブファイルを展開して、作成されたディレクトリに移動する。その後makefileファイルを編集して手元のCPUの種類に合わせた適切なオプションを設定したら、makeを実行して実行ファイルのmameを作成しよう。

 ROMイメージのダウンロードが合法である国にいる場合には、検索すれば簡単にROMイメージが見つかるので検索してダウンロードすれば良い。ROMイメージは展開せずに、$HOME/bin/sdmame0121/romsディレクトリに保存しよう。ゲームを始めるには、「./mame 実行したいROMイメージ 」を実行する(Athlonプロセッサを使用している場合はコマンドを「mameat」にする)。これ以降はすべて自動で行なわれる。

 ゲームをフル画面で行なう、あるいはウィンドウ化して行なうなどといった特定のオプションを設定したい場合にはmame.iniファイルを作成して、このファイルの中でパラメータを指定しておけば、ゲームをする度に毎回入力する必要がなくなる。なお設定可能なパラメータは「./mame -showusage」を実行すれば確認することができる。

 MAMEではいくつかのキーに特別な意味が与えられている。

  • Tab:MAMEメニューを起動する。
  • Escape:元に戻る。またはゲームを終了する。
  • 5:コインを挿入する。
  • 1:単独プレイヤーでゲームを開始する。

合法なのか?

 MAMEを使用してゲームを行なうことは合法なのだろうか?MAMEの作者たちは「元ゲームの著作権や特許を侵害することはわれわれの意図するところではない」として、ゲーム開発者の法的な権利を侵害しないようにするための助言をしている。例えば、通常はROMイメージやCDイメージは著作物であり、著作権所有者から明示的な許諾を得ずに配布することはできない。なお一部のゲームについては問題なく利用することができるが、ほとんどのゲームは今も保護されていて、収益も発生しているため無制限の状態で公開することは著作権所有者が望んでいない。

 古いゲームはアバンダンウェアになっているので自由に利用することができるという俗説もあるが、これは真実ではなく、パブリックドメインになっていない限り、著作権所有者の死後70年か、または著作権所有者が企業の場合はゲームの初公開後95年が経過するまでは、所有者の許諾を得ずにゲームを配布/コピーすることはできない。

 さらにややこしいことに、企業は合併や倒産や事業撤退などをすることがあるため、製品の権利が別会社に譲渡されたり、元々の開発委託先に返還されたりする可能性もあるので、ゲームのリリース時の著作権所有者/企業が現存しないという事実だけでは十分ではないということに注意しよう(権利の所在が不明な著作物に該当するゲームもあるが、そのような著作物についてはまた別の問題が数多くある)。

 さらに言うと、ゲームのROMイメージを入手する際には、そのソフトウェアが本当にフリー(無料であるというだけではなくフリーソフトウェアであるという意味)であることを確認することができなければ、法に抵触する危険を冒すことになる。

 現実的に言えば、すべての古い著作物の著作権が守り通そうとされているわけではない。例えば、ゲームが古くて時代遅れなものになっていることを所有者が認識している場合や、ゲームの所有権を譲渡しないまま倒産したために著作物を守るために必要な権利を誰も持っていないという状態になってしまっているという場合もあり得る。また、ゲームがもう販売されておらずハードウェアも旧式ですでに使われなくなっているという場合には、著作権所有者が著作権を守り通したところで、裁判によって得られる額よりもコストの方が大きくなる恐れもある。しかしそういう場合であっても、そのようなソフトウェアをコピーすることはやはり違法行為となる可能性がある。

 DMCA(デジタルミレニアム著作権法)には少なくとも2009年までは抜け穴があり、ゲームのコピーやプレイのための著作権保護システムの回避が例外的に認められると考える人々もいる。DMCAで著作権保護システムの回避が認められる場合もあるとされている6つの例外のうちの2つめを以下に示す。

コンピュータプログラムやテレビゲームの配布形式がアクセスのために元のメディアやハードウェアを必要とする形式であり、かつ、その形式がすでに旧式化している場合に、「図書館や資料館が、公開されたデジタル作品の保存や記録の再現という目的で」著作権保護システムを回避した場合。なお旧式化した形式とは、その形式で保存された作品を視聴するために必要となるマシンやシステムが、すでに製造されなくなっているか、あるいはすでに妥当な値段で市販されなくなっている形式のこととする。

 しかし、手元のPCを図書館や資料館とみなすことができるということを証明できる見込みは薄い。たとえそれができたとしても、ゲームを使って何かをすることが許されるためには、そもそもゲームを合法的に所有していなければならないので、ウェブサイトからダウンロードしたというだけでは認められない。

 なお、本記事で示した法律はすべて米国内でのみあてはまる。米国外に在住している場合、法律ががらりと異なる可能性があるので、古いゲームの配布やダウンロードは合法かもしれない。多くの国々では、著作権法は著作権所有者が損害を受ける場合にのみ適用される。そのためすでに生産中止になっている古いゲームは合法的に利用することができるかもしれない。

まとめ

 懐かしいテレビゲームをしたくてたまらなくなったら、SDLMAMEを試してみよう。エイリアンを撃って、ボスキャラをやっつけ、次のステージに進め!

Federico Kerekiはウルグアイのシステムエンジニア。20年に渡るシステム開発、コンサルティング、大学講師の経験がある。

Linux.com 原文