Sun、OpenOffice.orgに対してもサポート・プログラムを提供へ――「サポート付きのOpenOffice」をディストリビューターが提供するモデル

 米国Sun Microsystemsは12月14日、オープンソースのオフィス・スイート「OpenOffice.org」に対する製品サポート・プログラムを提供する計画を明らかにした。同社はOpenOffice.orgをベースとした「StarOffice」(日本での製品名は「StarSuite」)を提供しているが、人気の高いOpenOffice.orgに対しても強くコミットしていく構えだ。

 SunでStarOffice/OpenOffice.orgおよびNetwork.comマーケティングを担当するシニア・ディレクター、マーク・ヘリング(Mark Herring)氏は、OpenOfficeの勢いをアピールしつつ、このサポート・プログラム計画の概要について語った。

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OpenOffice.orgのプレゼンテーション機能「Impress」の操作画面

 Herring氏によれば、SunによるOpenOffice.orgのサポート料金は、1ユーザー当たり年額20ドルから。サポートは、同社がエンドユーザーに直接提供するのではなく、OpenOffice.orgを配布するディストリビューターに提供するという。「多くのディストリビューターがOpenOffice.orgを自社の製品として提供したがっていたが、今回、われわれが始めるようなバックライン・サポートを受ける手だてがこれまでなかった」(Herring氏)

 OpenOffice.orgと、それをベースにしたSunの商用製品であるStarOfficeは、Microsoft Officeとの互換性があるのが特徴だ。OpenOffice.orgとStarOfficeの両ソフトは、機能的には同一で、いずれもワープロ、表計算、プレゼンテーションといったオフィス・アプリケーションで構成されている。だが、これまでSunはStarOfficeのサポートしか提供していなかった。

 OpenOffice.orgへのサポートの提供開始により、OpenOffice.orgとStarOfficeには、これでほぼ違いがなくなるように思えるが、そうではない。両ソフトは「免責保証」の点で違いがある。Herring氏によると、Sunは、StarOfficeの利用にかかわる訴訟が発生した場合の免責をユーザーに保証しているが、OpenOffice.orgについては、今後もそうした免責保証は行わないという。

 OpenOffice.orgは現在、1週間に100万件のダウンロードがあり、累積ダウンロード回数は約1億1,000万ドルに達しているという。Sunはこれらの数字から、OpenOffice.orgのアクティブ・ユーザーが「数千万人」に上ると推計している。また、同社は、OpenOffice.orgユーザーは平均してやや若めで、ダウンロードは欧米のほうがアジア諸国より活発だと見ている。

 OpenOffice.orgの現行バージョンは2.3.1で、重要な新機能を備える次期バージョン2.4が2008年3月に登場する見通しだ。「Microsoft Officeは今もなお最も有力なツールだ。しかし、OpenOffice.orgには非常に勢いがある」(Herring氏)

 オープンソースのOpenOffice.orgは、開発者が拡張を作成できるようになっているという特徴も備える。Sunはこのたび、プレゼンテーション・ファイルのサイズを縮小するウィザード・タイプの新しい拡張を開発している。Herring氏によると、Sunは自社で開発したすべての拡張をサポートする方針だ。サードパーティによる拡張のサポートについては、「ケース・バイ・ケース」(同氏)という。

 また、Sunは17日に「StarOffice 8 Server」もリリースする。同製品では、40種類のドキュメントをPDFに変換できるようになっており、価格は1万1,000ドル。Herring氏によれば、膨大な“レガシー・ドキュメント”を持っているが、それらをオープン・スタンダードな技術でアーカイビングしていない大企業をターゲットにしているという。

(Chris Kanaracus/IDG News Service ボストン支局)

米国Sun Microsystems
http://www.sun.com/
OpenOffice.org
http://www.openoffice.org/

提供:Computerworld.jp