TEDでテレビ番組を検索

 テレビ番組の脚本家のストライキのために何時間も暇になってしまった? しかし無理をして本を読む必要もジョギングに行く必要もない。なぜならTEDがあるからだ。TEDはBitTorrent経由でテレビ番組をダウンロードするのに役立つオープンソースでクロスプラットフォームなツールで、torrentファイルを検索する面倒な作業を簡単にしてくれる。

 TED自体はBitTorrentのクライアントではない。そうではなくTEDはtorrentファイルを検索するためのツールで、その結果を任意のBitTorrentダウンロードプログラムに渡してくれる。TEDは特にシリーズで放映されているテレビ番組の入手に特化されていて、シリーズ番号と放映話番号を指定して検索することができる。TEDには、番組データベースと、この種のコンテンツを頻繁に公開しているtorrentサイトからピックアップしたRSSフィードが含まれている。

 暴風雨で地元のケーブルテレビ局の施設に障害が出てしまい楽しみにしていたCSI番外編の最終話の放映が中止になってしまったという場合には、TEDを起動すれば、定番のサイトで視聴可能なコピーをくまなく探し回ってくれる。TEDはデフォルトでは定期的に繰り返し検索を行なうので、何度も放映を見逃す人の場合、特に便利かもしれない。

ターナーもダンソンもコッペルも……テッド

 TEDは小さなJavaアプリケーションで、Javaの実行環境以外には特に他のパッケージを必要としない。最新のビルドをTEDプロジェクトのサイトからダウンロードして、好きなディレクトリで解凍/展開すれば良い。その後コマンドラインから「java -jar ./ted.jar」を実行して起動する。

 TEDを初めて起動すると、自動的にPreferences(設定)ウィンドウが開かれて、基本的な設定をいくつか行なうことができる。Preferences(設定)ウィンドウには、General(一般)、Look and Feel(ルック&フィール)、Advanced(詳細)、Software Updates(ソフトウェアアップデート)という4つのタブがある。

 General(一般)タブでは、TEDがtorrentファイルを保存するためのディレクトリを指定する。おそらくこの項目だけは絶対的に不可欠な設定だろう。(他のオプションに関しても確認した方が好ましいことは事実だが)この オプションの場合torrentファイルの保存先ディレクトリを指定するためのものなので、指定しなければTEDが機能しない。

 また、新しく見つけたtorrentファイルについて、TEDがユーザのデフォルトのBitTorrentクライアントを起動してダウンロードを開始するようにするか、そのまま何もしないかを指定するオプションもある。Linux上ではこの機能はまだ未実装だが、MacかWindowsマシンで多数のファイルを検索させている場合、すべてのtorrentファイルに関して自動的にダウンロードを開始するように指定しておくとネットワークを圧迫してしまう恐れがあることに留意しておこう。

 Look and Feel(ルック&フィール)タブでは、検索に成功したりエラーがあったりした場合にそのことを通知するメッセージを出すようにするなど、TEDのシステムトレイでの動作を設定することができる。Advanced(詳細)タブには現時点では数個のオプションしかない。その中にはZipやRARで圧縮されたアーカイブをコンテンツに含むtorrentファイルの取得を行なわないようにするためのオプションもあるが、現在ではLinuxシステム上でも解凍/展開のためのユーティリティが普及しているため、そのようなファイルのダウンロードを避けるべき大きな理由は特にないだろう。Software Updates(ソフトウェアアップデート)タブでは、TED自体と番組データベースのアップデートがないかどうかをTEDが確認するタイミングを設定することができる。

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TEDで番組を追加。ウィンドウの左側ペインには未定義の番組リストが表示されており、ここで選択した番組の情報(シーズンとエピソードの情報を含む)は右側の詳細ペインに表示される

 設定を終えたらまず、TEDのメインウィンドウにあるAdd show(番組を追加)ボタンをクリックする。するとTEDの番組データベースの番組がすべて表示されるので、探している番組がこのリストに載っていれば、その番組名をクリックするだけで良い。次に、選択された番組の(TEDが認識している)全話がウィンドウの右半分に表示されるので、探している回の放映分を選択してAdd(追加)をクリックしよう。

 TEDの番組データベースに載っていない番組ついては、リストの下にあるAdd a custom show(その他の番組を追加)ボタンをクリックして追加することができる。その際には、ポップアップウィンドウ内で番組の題名を入力して、TEDが検索するためのRSSフィードを少なくとも一つ選択する必要がある。

 この時点でTEDを動かすことができるようになった。TEDは選択された回の放映分のtorrentファイルを求めて、指定されたRSSフィード内を探しまわることになる。デフォルトではTEDはリクエストされた回の放映分を発見した後、放映話数のカウンタを1増加して次の回の放映分を探し始める。この動作が望ましくない場合には、Edit(編集)メニューでこの検索を行なわないようにすることができる。

 一覧表示された番組のどれかをクリックしてからEdit show(番組の編集)ボタンを押すと、検索に関する設定をさらに調整することができる。Edit show(番組の編集)ウィンドウからは、キーワードとファイル容量について、TEDが検索時に使用するフィルタを調整することができる。また特定の曜日に放映される新しい放映分を探しておくように設定しておくこともできる。

 検索が失敗して満足な結果を得られなかった場合には、検索対象のRSSフィードを新たに追加することができる。組み込まれている、サポートされているtorrentサイトの中には検索の利便性という観点からさまざまなレベルのものがあって、検索結果をRSSとして購読可能なサイト(もっとも便利な選択肢)や、分野ごとのRSSフィードを提供しているサイト(役立つ選択肢)や、全コンテンツが含まれるフィードを一つだけ提供しているサイト(便利さはもっとも劣る)などがある。

 TEDがデフォルトで使用するサイト以外の、RSSフィードを提供するtorrentファイル提供サイトを見つけた場合には、Edit show(番組の編集)ウィンドウの中のFeeds(フィード)タブにフィードのURLを追加することができる。なお、そのtorrentサイトが様々な番組について役立ちそうであれば、TEDプロジェクトのフォーラム経由で他のユーザにも知らせてほしいとTEDプロジェクトは呼び掛けている。

まとめ

 TEDはどれくらい有能なのだろうか? まず一つには、ユーザが自分自身で見つけることのできないような何かをTEDなら見つけられるということはない。言い換えると、TEDを使うことによって得られるのは利便性だけだ。したがって例えば仕事のためなどで、ABC.comの「Lost」の無料ストリームが閲覧できない地域から離れることができないという場合には、その時の放映分を見逃さずに済むようにするためにTEDが役に立つだろう。

 一方で「Larry Sanders Show」のような古めの番組の全放映期間に渡る全話を見たいという完全主義の人にとってはおそらくTEDは何も新たには見つけてくれないだろう。

 私自身が試してみたところ、TEDの組み込みの番組データベース内の番組についても独自に追加した番組についても、現在放映中のものであればtorrentファイルを見つけることについてTEDは頼りになった。組み込みの番組データベースに含まれている番組は、放映期間や放映話数に関する情報がより新しいものの、番組データベースに含まれていなかった番組よりも発見できる確率が高いということはなかった。そのようなことから、torrentファイルを見つけることができるかどうかにもっとも影響を与えているのは番組データベースではなく組み込みのRSSフィードではないかと感じた。

 一方、古い番組、特に放映話番号によって簡単に特定することができない番組については成功率はずっと低かった。深夜のトークショーなどの長寿番組はDVDでリリースされていなかったり、BitTorrentが生まれる前から放送されていたりするために、放映期間や放映話番号で番組を言及するという慣習があまりないようだ。

 TEDの成功率はどうやら番組データベースというよりはフィードのデータベースの保守に左右されるようだが、どちらにしてもそのデータベースの質と量を維持するのにはTEDの活発なユーザから寄せられる情報が必要だ。TEDのフォーラムとwikiには、番組データベースとフィードデータベースを増やして最新に保つために協力したいボランティアが最初に見ておくべき情報が書かれている。

 スクリーンショットを見る限り、(Linux上のJavaアプリケーションに関していつも不公平に感じる点であるが)TEDはWindowsとMacプラットフォーム上では見掛けがずっと良いようだ。とは言え、見たいのはテレビ番組なのだから、これが理由でTEDの使用を躊躇するべきではないと思う。

 従来の方法でtorrentファイルを探すことと比べれば、TEDプロジェクトは大成功していると言えるだろう。しかしこの目的のためだけに独立したアプリケーションが必要かどうかと言われれば、必ずしもそうではないだろう。TEDが、AzureusのようなBitTorrentクライアントやBitTorrentに対応しているMiroのようなビデオ検索/再生ツールにプラグインなどの形で組み込まれれば、もっと幅広く普及するのではないかと思う。Miroに関してさらに言えば、今現在BitTorrentプロトコルのサポートはRSSやYouTubeの検索機能と比較してあまり注目されてはいないが、TEDのシリーズ物に特化したアプローチは、Miroの「ビデオを購読」するというモデルとうまく合うはずだ。

 今後どのように進化していくにしても、TEDは、テレビ業界にもう一人、新たなテッドがいても良いということを示している。放映分の所在位置とそのダウンロードというのはニッチ的な問題だが、実際にその問題に直面すると、誰か他の人が既にその問題に取り組んでくれているということは非常に嬉しく感じる。

Linux.com 原文