IBM、企業向けHPCファイルシステムの新版を今週リリース―― 最大1,000ノードの並列処理とポリシー・ベース管理を実現

 米国IBMは、企業ユーザーの間でハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)への関心が高まっているのを受け、ハイパフォーマンス・ファイルシステムの強化に取り組んでいる。

 IBMは、ファイル管理機能を強化した「General Parallel File System(GPFS)」の新バージョンを10月5日にリリースする予定だ。IBMパワー・システムズのマーケティング/戦略担当バイスプレジデント、スコット・ハンディ氏は、GPFSの新バージョンについて、複数のシステムをまたいだ検索が可能なほか、最大1,000ノードまで並列処理できると説明している。

NSD(Network Shared Disk)接続によるGPFSの構成例

 ハンディ氏は、GPFSを使ったテストで10億件のファイル・スキャンに成功したことを強調、大量の非構造化ファイルを扱っている金融サービスや小売分野の顧客にその機能の優位性をアピールした。同氏によると、テストではスキャンは2時間半ほどで完了したが、IBMは、これをさらに1時間に短縮する取り組みを進めているという。

 GPFS(現在はバージョン3.2)のアップデート版には、ポリシー・ベースのファイル管理機能が搭載されており、ユーザーがシステムに対してファイルの保存方法と検索方法を指示できる。この機能を使えば、特定のフォーマットで保存されているファイルを特定の種類のディスクに保存することなどが可能になる。

 ハンディ氏は、階層化のアプローチにより、データの分配方法を決めることができると説明している。例えば、ユーザーの側でポリシーを作成し、特定の種類のデータを最も高速で高価なディスクに保存し、それ以外のデータはパフォーマンスが重視されない低コストのシステムに保存するように設定できるという。

 この機能を活用すれば、保存するデータの種類に応じて低コストのストレージを効率的に利用することができ、経費節減につながる。

 また、ポリシー・ベース・システムでは、例えば、30日といった一定の期限を設定することで、その間にまったくアクセスのなかったファイルを低コストのシステムに移動させるといったことも可能になる。同氏によると、GPFSの旧バージョンでは、こうした処理はできなかったという。IBMはこのほかに、クラスタ管理機能の追加にも取り組んでいる。

 GPFSは、IBMのSystem pおよびSystem x シリーズで稼働し、AIXのほか、Red HatとSUSE Linuxの一部バージョンをサポートしている。

(パトリック・ティボドー/Computerworld オンライン米国版)

提供:Computerworld.jp