デル氏、ノートPC出荷遅延の原因を「需要のミスジャッジ」と弁明――同社公式ブログには顧客からの非難の声が集中

 米国DellのCEO、マイケル・デル氏は9月5日、消費者向け新型ノートPCの出荷が大幅に遅れている問題で、「需要を低く見積もりすぎたのが原因だった」と弁明した。

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公式ブログ「Direct 2 Dell」には、消費者からの厳しい意見が多数寄せられた

 ニューヨークで開催された「Citigroup Technology Conference」で講演したデル氏は、「業界全体で成長が上向き始めた6カ月ほど前、われわれは自社製品に対する需要を低く見積もりすぎた。当時の見積もりは“不適切”だった」と語った。

 同社の公式ブログである「Direct 2 Dell」や、ノートPCを評価する「NotebookReview.com」などのメッセージ・フォーラムには、Dellが出荷予定日を一方的に変更したり、注文を突然キャンセルしたりといった、出荷遅延に関するさまざまな苦情が寄せられている。

 DellがノートPCの出荷遅延を発表したのは今年6月末、当初は最上位モデルの「XPS M1330」だけとされていた。しかしその後、低価格モデルの「Inspiron」シリーズでも出荷が遅れていることが明らかになった。

 同社の幹部は出荷遅延の主な原因として、「ボディの塗装に関する問題」を挙げている。Inspironシリーズは、8種類のボディ・カラーが選択できることを“ウリ”としている。

 一方デル氏は、需要を低く見積もりすぎたことが出荷遅延の原因であることを強調し、その状況はすぐに改善されると説明した。

 「現在は数四半期先までの正確な長期見通しを立て、部品を供給する“部隊”に、われわれのニーズを正確に伝えられる体制を構築している途中である。出荷予定日を厳守できず、顧客を落胆させたことは、短期的には大きな課題だ。しかし需要が低迷し、供給過多になるほうが問題だ」(デル氏)

 しかし同社の顧客は、出荷遅延を厳しく批判している。

 Dellのデジタル・メディア・マネジャー、ライオネル・メンチャカ氏が8月24日、出荷遅延の説明をDirect 2 Dellに掲載したところ、1,088件のコメント(9月10日現在)が書き込まれた。ちなみに、このコメント数は、同公式ブログで過去最多となっている。

 さらに9月6日、同公式ブログにはDellと米国Appleの対応の違いを指摘する複数のコメントが書き込まれた。

 米国AppleのCEO、スティーブ・ジョブズ氏は9月6日、前日に「iPhone」の8GBモデルを従来の599ドルから399ドルに値下げすると発表して既存ユーザーの反発を招いたことを受け、すでに購入済みのユーザーに対し、100ドル(相当の商品券)を返還すると発表した。

 ある顧客は、「Dell氏はジョブズ氏の姿勢に学ぶべきだ。Appleは価格改訂で既存ユーザーの反発を買った。しかし、ユーザーの不満をいち早くくみ上げ、(値下げの発表から)わずか1日で、解決策を打ち出している。同じような対応が、どうしてできないのか」と書き込んでいる。

(グレッグ・カイザー/Computerworld オンライン米国版)

米国Dell
http://www.dell.com/

提供:Computerworld.jp