ATI Radeonドライバのオープンソース化が正式に決定

 AMDはまもなく発表される予定のATIビデオカード用ドライバのオープンソース化について、今朝われわれLinux.comに対しブリーフィングを行なった。間違いない――AMDは9月10日、ATIビデオカード用のコードと仕様をインターネット上で公開する。

 AMD上級副社長兼CTOであるPhil Hester氏、AMDのOperating System Research Centerのディレクタを務めるChris Schlaeger氏、AMD広報担当マネージャJon Carvill氏の三氏に話を聞いたところ、以前Slashdotに投稿されていた噂、すなわちATI Radeon X1000シリーズとHD 2000シリーズのビデオカード用の2Dドライバと3Dドライバについて、コミュニティ主導でコミュニティがメンテナンスを行なうために必要なすべてのことをAMDが来週公開するという噂が事実であるということを認めた。

 Hester氏とSchlaeger氏の両氏はどちらも、今回のプロジェクトは未完で現在進行中であるという点を強調した。ライセンスの内容もまだ最終的には決定されていないとのことだ。Hester氏は「このプロジェクトは、オープンな共同作業によって進められなければならない。われわれは資料を机の上にどさりと置いて『これで完了』と言うだけで終わらせるようなことはしない。私にとって今回の発表は、2Dと3Dの両分野においてオープンソースコミュニティに満足してもらうために必要となることを行なうために、長期に渡って持続的にオープンソースコミュニティと協力するという取り組みの始まりということだ」と述べた。

 またライセンス内容に関してHester氏は「2Dドライバのライセンスはかなりの確率で、MITとGPLの組み合わせになるだろうと思う。3Dドライバのライセンスについては、多くのことがまだはっきりとはしていない」とした。

 Hester氏は、3Dドライバについての不確実性の理由は2つあるという。一つには、クローズドソース版のドライバの中にAMDの所有ではないコードが含まれているためだ。したがってAMDの所有ではないコードを公開せずに、オープンソースコミュニティが必要とする情報を提供する必要があるのだという。もう一つは、GPUが途方もなく複雑であるためだ。Hester氏によると「最近のGPUには、7,000個から8,000個のコントロールレジスタがある。GPU内のレジスタ構成は、CPU内のレジスタ構成と比較しても、もっとずっと複雑だ。その結果として、GPUのレジスタをオープンソース開発者たちが理解できるような形で文書化するということは、決してささいな作業ではなくなっている」とのことだ。Hester氏は、AMDからの情報提供は数回に分けて行なうことになるだろうと考えている。すなわち、オープンソースのドライバがビデオカードの3D機能をフルに機能させることができるようにするために必要となるすべてのことが分かりやすい形で利用できるようになるまでには、コミュニティが情報を吸収してコメントした後に、さらなる情報を提供するというプロセスを継続的に繰り返す必要があるだろうとした。

 舞台裏での作業はすでにNovellの開発者たちと協力して開始しているとのことだ。なぜNovellなのかと尋ねたところHester氏は、以前にも共同作業を行なったことがあったという経緯と、既存の契約の体制上、Novellの開発者たちとの共同作業が手頃なスタート地点だっただけだとし、「このことについて特に深読みすべきことは何もない。協力する人々についてわれわれは非常にオープンだ」と答えた。

 メンテナの役割を誰が担うのかという問題についてSchlaeger氏は「オープンソースコミュニティが開発を進展させていくことができるようにしたいと考えている。とは言え、われわれも協力するつもりだ。われわれは、コードと仕様を放り出して『これが、あなた方が欲しがっていたものだ。ここに提供するので、好き勝手に楽しくやってくれ』とだけ言って終わるつもりではない」と述べた。Schlaeger氏はまた、AMDがLinuxをOpteronに対応させる際にも同様の方法を取ったことを指摘した。AMDは当初プロジェクトを軌道に乗せるためにNovellと契約していたが、その後、同プロジェクトは順調なオープンソースプロジェクトになった。

 なおATIドライバのオープンソース化に関するAMDからの正式なプレスリリースは、本日(9月6日)の株式市場取引終了後に発表される予定となっている。

Linux.com 原文