Yahoo!、新「Yahoo Mail」のベータ・テストを終了――世界2億5,400万人を対象に6週間以内に正規サービスを開始
Yahoo!によると、今後6週間以内に、Yahoo Mail新版から「beta」という文字を取り去り、全世界の2億5,400万人に上るユーザーに正規サービスの提供を始める予定だ。
Yahoo Mail新版は、一般ユーザーに対してほぼ1年にわたりベータ版の提供が行われてきた。主要機能に関しては大きな変更は見られないが、正規サービスではいくつかの改良がなされている。
パフォーマンスおよびスピードの向上、絞り込み検索機能の拡張が図られているほか、「Yahoo Messenger」ユーザーとインスタント・メッセージをやり取りする機能が、Microsoftの「Windows Live Messenger」ユーザーにも提供される。
米国、インド、カナダ、フィリピンのユーザーについては、電子メール・メッセージ・ウィンドウから携帯電話へのテキスト・メッセージの送信が可能になる。Yahoo!では、モバイル事業者との合意が成立した地域から、同機能を順次導入していくとしている。
また、当初は米国だけに限られるが、Yahoo Mailサービスの旧版に実装されている「Shortcuts」機能も利用可能になる。これは、メール・システムが日付やアドレスといった要素を自動的に認識し、ユーザーがカレンダーやアドレス帳にそうした情報を追加したり、Web検索を行ったり、Yahoo Mailインタフェース内に地図を表示したりすることを可能にするものだ。
今後は新版がWebメール・サービスの主軸になるが、旧版をそのまま使い続けることもできるという。Yahoo Mail担当副社長のジョン・クレマー氏は、「当面はどちらのサービスも提供し、その選択はユーザーにゆだねたい」と述べている。
昨年以来、業績不振に苦しみ、経営上層部の異動や大規模な組織再編を余儀なくされているYahoo!にとって、Yahoo Mailは長い歴史と高い人気を誇る重要なサービスの1つである。
Googleが2004年に開始した「Gmail」を筆頭に、昨今では多数のWebメール・サービスが登場しており、Yahoo Mailはきわめて厳しい戦いを強いられるようになった。Yahoo!はこうした状況の中で、同市場での優位を確保し、勢力をさらに伸ばしていくために、 Yahoo Mailに大胆な改良を加えた。
同社は2004年に買収したオッドポストの技術を利用したYahoo Mailベータ版を2005年9月に発表し、一部のユーザーへの提供を開始した。同ベータ版は、ユーザー・インタフェースのデザインを大きく変更し、一般的なデスクトップ用電子メール・アプリケーションにより近いものにした。
例えば、フォルダへのメッセージのドラッグ&ドロップ、複数のメッセージ・ウィンドウ表示、ペイン上でのメッセージ内容をプレビュー、キーボードのショートカットを使って機能を呼び出すことなどが可能になった。
アナリストの中には、GoogleやMicrosoftとの競争の激化にともない、Yahoo!は同社に莫大なWebトラフィックをもたらすYahoo Mailを継続的に改良していかざるを得なくなったとの見方もある。
Gartnerのアナリスト、マイク・マクガイア氏は、「サービスをアップグレードするたびに、新たなメリットをユーザーに明示し、そうした改良を行ったことの価値を知らしめるのは容易ではない」と指摘している。
(ホアン・カルロス・ペレス/IDG News Service マイアミ支局)
米国Yahoo!
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提供:Computerworld.jp