GTKtalogで複数のCD/DVDに分散したファイル群を一括管理する

 各種のデータを大量のCDやDVDに分散して保存している場合、特定のファイルやフォルダがどのメディアにあるかを探すだけでも一苦労となる場合がある。そんな悩みを解消してくれるのがGTKtalogというユーティリティだ。このユーティリティを使うと、記憶メディア上に格納されたファイルやフォルダをすべてスキャンし、その結果をCDkatalogという単一ファイル形式のデータベースに書き出して一括管理することができるのである。

 GTKtalogを入手するには、各自の使用するディストリビューションのパッケージリポジトリからインストールするか、あるいは配布サイトから直接ダウンロードすればいい。ただしソースからコンパイルをする場合は、Gtk+、Gnome-libs、zlibのライブラリ群を事前にインストールしておく必要がある。後はお馴染みのconfigure、make、make installコマンドを使用すれば、GTKtalogのコンパイルおよびインストールを実行することができるはずだ。

 GTKtalogを使用するには、スキャン対象となるメディアを挿入してから、操作ウィンドウにあるAdd CDボタンをクリックする。これによりメディア上に存在するすべてのファイルとフォルダがスキャンされ、その結果がデータベース上に保存される。スキャンで収集されたファイルとフォルダの各項目については、カテゴリ分け(“work”や“personal”など)を付け加えたり、これらの説明を変更をすることもできるようになっている。具体的な操作としては、対象となるファイルないしフォルダを右クリックしてChange file directoryを選択してカテゴリエディタを呼び出し、この画面上でカテゴリ名の設定や、リストにあるカテゴリのファイルへの適用をすればいい。これらのオプションは検索時に利用することも可能で、ファイル検索用の条件フィールドでは、ファイル名、格納位置、日付、サイズに加えて、こうした説明やカテゴリも指定できるようになっている。

GTKtalog-thumb.png
GTKtalog(クリックで拡大)

 メインの操作ウィンドウは非常に分かりやすい構成になっている(図を参照)。まず過去にスキャンしたすべてのメディアは、画面左端にリスト表示される。これらの中から特定のメディアを選択すると、その内容が画面上部に一覧される。そして個々のファイルをクリックすると、そのプロパティが画面下部に表示されるという構成だ。またメインツールバーには各種操作用のショートカットボタンが配置されており、カタログの作成、オープン、保存といった操作を始め、メディアのスキャン、レポート作成、ファイル検索をここから行えるようになっている。

 カタログ中にあるファイルの種類については、ファイルアイコンの違いで区別することが可能だ。こうしたアイコンの種類としては、オーディオ/ビデオ、rpm、deb、zipおよびイメージファイルなど、様々な種類が用意されている。

 また、tgz、rpm、debなどの圧縮ファイルやパッケージファイルに対するスキャンでは、これらの内部情報を読み込むことも可能である。

 CatalogメニューにあるCatalogue informationオプションを選択すると、現在カタログに収録されているメディアの数、カタログの総サイズ、ファイルおよびフォルダの数、説明およびカテゴリの数といった各種の情報を確認することができる。

 GTKtalogでスキャンできるのはこうしたCD/DVDディスクだけではなく、ハードディスクおよび外部記憶メディアに存在する任意のフォルダツリーを読み取ることもできる。つまりGTKtalogを使えば、CD、DVD、ハードディスクおよび、ZIPドライブ、USBキー、外付けディスクなどの外部メディアといった、あらゆる記憶メディアに格納されたファイル情報を一括管理できるのである。実際問題として、システムにマウント可能なものであれば、そのファイル情報をスキャンしてカタログ化できると思っていて間違いないだろう。ただし、同じCDなどを誤って2回スキャンしてしまうと、その情報は重複される形でデータベースに追加登録されてしまう。その際にプログラム側から、ファイルやフォルダの重複に関する警告が出されることはない。つまりGTKtalogは、データの重複などは何もチェックしておらず、スキャンしたメディアの内容をそのままデータベースに登録しているだけなのである。

まとめ

 GTKtalogで行える操作は、以上の説明でほぼ語り尽くしたことになる。つまりこのユーティリティはそれほど多機能なものではないのだが、記憶メディアの収録ファイル情報をカタログ化しておき、必要なファイルを速やかに検索するという目的にはこれで充分なはずだ。とは言うものの、ファイル構成の変化を追跡したり(マルチセッション形式のメディアに記憶している場合など)、あるいはファイル中のテキスト情報までスキャンして検索対象とするといったオプションが使えればよりいっそう便利となるのも確かなので、そのあたりは将来的なリリースに期待したいところである。もっとも、その様な機能を実装するとすれば、SQLiteやMySQLなどの本格的なデータベースバックエンドが必要となるだろうが、ファイル中のテキスト検索を高速実行するとなると、データベースバックエンドの導入は避けて通れないはずだ。

Linux.com 原文