BEA、アプリケーション・サーバの新版をリリース――Java EE 5のサポートにより、EJB 3.0環境を提供
WebLogic Serverは、Javaアプリケーションの実行・配備サーバとしてよく知られたミドルウェアだ。今回の新版では、Java EE(Java Platform Enterprise Edition)5をサポートしているほか、オープンソースのJava開発フレームワーク「Spring」にも対応している。
BEAのWebLogicプロダクト・マーケティング担当ディレクター、ブレーク・コネル氏は、「この製品の大きな特徴はJava EE 5のサポートだ。大手商用ベンダーの中で、Java EE 5対応のアプリケーション・サーバを提供するのは当社が初めてだ」と述べている。
Java EE 5はEJB(Enterprise JavaBeans)3.0をサポートしているため、WebLogic Server 10で動作するアプリケーションの開発時にはアノテーション機能を利用できる。アノテーションは、Javaソースコード中にメタデータを埋め込むための記法で、いわばコードの抽象度を高めるものだ。アノテーションを駆使すれば、複雑なコードを記述する必要はほとんどなくなる。
また、WebLogic Server 10では、Javaアプリケーションから情報を取得してデータベースに保存する作業が容易になった。これは、新しいJavaオブジェクト永続化APIの採用が理由である。同APIは、OpenJPA(Java Persistence API)ベースの「Kodo」を利用している。Kodoは昨年、BEAがApache Software Foundationに寄贈したオブジェクト永続化技術だ。
WebLogic Server 10では、Webサービス開発機能もアップデートされた。これにより、煩雑なコードの量を減らすことができると、コネル氏は説明する。WebLogic Server 10には、Eclipseベースの開発環境「BEA Workshop for WebLogic Platform 10」も含まれている。
一方、Springの生みの親で、インタフェース21のCEOを務めるロッド・ジョンソン氏は、WebLogic Server 10は内部的にはSpringをベースにしていると語る。
「BEAが採用したアーキテクチャはSpringをベースにしている。したがって、SpringコンポーネントをWebLogic環境でネイティブに動作させることが可能だ」(ジョンソン氏)
ジョンソン氏によると、Springのサポートにより、WebLogic環境下では、Java EE 5とSpringの両コンポーネント・モデルをシームレスに組み合わせることが容易だという。「現在、多くの開発者がSpringコンポーネント・モデルに沿ってアプリケーションを標準化している。そのため、彼らにとっては、Springコンポーネント・モデルをWebLogic環境に展開することはさほど難しくないはずだ」(同氏)
さらに、可用性の向上もWebLogic Server 10での強化点の1つだ。クラスタリングやサービス移行機能に加え、パフォーマンスとアップタイムの向上により、アプリケーションの可用性が高まり、ダウンタイムをほとんどなくすことができると、コネル氏は強調する。
「サーバがダウンしたとしても、その上で稼働していたサービスは、自動的にほかのサーバに引き継がれる。この機能は、通信や金融サービスといった業種では特に重要だ」(コネル氏)
WebLogic Server 10は、「SOA 360゜」と呼ばれるBEAのSOA(サービス指向アーキテクチャ)戦略を支える基盤製品の1つと位置づけられている。BEAは、ライバルのJBossとは異なり、アプリケーション・サーバのライセンスを無料化してはいない。しかしBEAでは、フェールオーバーやサーバ移行、管理、診断などの機能を重視する企業ユーザーからWebLogicは支持を得ており、ライバルたちに負けることはないとしている。
(ポール・クリル/InfoWorld オンライン米国版)
米国BEA Systems
http://www.beasys.com/
提供:Computerworld.jp