Dell、大規模企業向けのデータセンター構築サービスを開始――顧客ニーズに合わせて柔軟に対応

 米国Dellは3月27日、大規模企業を対象にした、データセンターの構築を支援するサービス「Dell Cloud Computing Solution(DCCS)」を開始したと発表した。

 DCCSは、データセンターの構築やカスタマイズを計画している顧客を対象に、ハードウェア提供からコンサルティングまでをニーズに合わせてDellがサポートするというもので、新設された「Dell Data Center Solutions Division」が業務を担当する。

 Dellでは、DCCSの顧客規模を各業界で上位20社に入る大規模企業としている。金融機関、オンライン小売店、ASP、政府/高等教育機関などをメイン・ターゲットとし、Amazon.com、Google、Microsoftなどにも積極的にアプローチしたいとしている。

 同社のData Center Solutions担当バイスプレジデント兼ジェネラル・マネジャー、フォレスト・ノロッド氏は、「優れた冷却装置、ネットワーキング、マザーボード、フォーム・ファクタをパッケージ化し、顧客にとって最適なデータセンターを包括的に提案する」と語り、顧客ニーズに合わせて柔軟にカスタマイズできることを強調した。なお、すでに一部の顧客にはサービスが提供されている。

 ノロッド氏によると、すでにWebサービス提供企業の1社から、レイテンシー(延滞時間)の最小化やメモリとI/Oの拡張に関する要望があり、同部門がマルチコア・プロセッサやバーチャル・サーバなどの導入を行ったという。

 「今日のデータセンターが抱えている共通の課題は“多様性”だ。すでに10数社のデータセンターを分析したが、どのデータセンターでも6種類以上の異なるOSが使用されていた。この問題を自社だけで解決するには限界がある」(ノロッド氏)

 大規模なデータセンターを所有する企業では、これまでは汎用的な機器を購入してデータセンターを設計せざるをえなかったと、同氏は説明する。同氏は「こうした問題は、カスタマイズという手法を導入すれば解決できる。なぜなら、ニーズにマッチしたネットワーク機器やストレージ、ラックマウント・サーバなどを利用できるからだ。また、大幅なコスト削減も期待できる」と強調した。

 今回の発表に対し、アナリストらは一定の評価を下しているようだ。

 Yankee Groupのシニア・アナリスト、ジョージ・ハミルトン氏は、「検索エンジンの提供企業などは、汎用的なハードウェアをカスタマイズして組み合わせ、巨大なデータセンターをうまく作り上げていた。しかし、現在では異種混在環境の維持に苦慮している。拡張性の面で問題が生じるのは時間の問題だ」と語り、今後Googleなどの企業では、データセンターのカスタマイズが必要になるという見解を示した。

(ベン・エームズ/IDG News Service ボストン支局)

米国Dell
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提供:Computerworld.jp