Sun、「Redshift」戦略に基づく3つの重点投資分野を明らかに――重点分野は「コンテンツ配信」「HPC」「SMB向けサービス」
Sunの最高技術責任者(CTO)グレッグ・パパドプロス氏は、同社は今後、最も高いコンピューティング需要が見込まれる分野として、デジタル・コンテンツ配信、ハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)、中堅・中小企業(SMB)向けサービスにねらいを定めていると強調した。
「コンピューティング能力が18カ月ごとに倍増する一方で、コストは低下を続ける」というムーアの法則に左右されない高い事業成長を目指している、とパパドプロス氏は説明する。
Sunでは、ムーアの法則に影響されるコンピューティングのコモディティ分野、例えば、会計や人事、そのほかの一般的なビジネス機能を自動化するためのハードウェアやソフトウェアは、あまり成長性が期待できないとしている。
「企業向けのこれらの技術分野では、莫大なコンピューティング需要は生まれないだろう。われわれはこうした分野に関しては、今後のITアーキテクチャ設計で重点を置くべき有望分野とは見ていない」(同氏)
パパドプロス氏は、有望なコモディティ分野を手がける顧客として、ビデオ共有WebサイトのYouTube.comや、携帯電話端末にビデオを配信する電話サービス会社のベライゾン・コミュニケーションズなど、ネットワーク経由でエンドユーザーにデジタル・コンテンツを配信する顧客が含まれるという。
同社がもう1つ重点分野として掲げているのが、自動車設計や石油探査、金融サービスなどのハイパフォーマンス・コンピューティングであり、この分野でも事業機会を追求する計画だ。
さらにSunは、SMB向けにサービスを提供する企業をターゲットとしたビジネスにもチャンスを見いだそうとしている。
パパドプロス氏はそうした企業の例として、オンデマンド型営業支援ソフトウェアを提供するSalesforce.comや、Ciscoに買収されることになったWeb会議アプリケーション・ベンダーのウェブエックス、SMBや個人が商品の売買に利用するオークションWebサイトを運営するeBayなどを挙げた。
「先進的な技術はまず大企業で活用され始め、それから徐々に小規模な企業に普及していくというこれまで常識は、ITのサービス化の進展に伴って覆されつつある」とパパドプロス氏は指摘する。
「コンピューティングをどのように利用していくかという点では、SMBのほうが先を行っている。大企業は彼らの動きを見て、『われわれはメール・サーバを自前で運用しているが、そうしたことはもう競争優位につながらない』と気づき始めている」(同氏)
一方、SunのCFO(最高財務責任者)マイケル・リーマン氏は、2009年度までに10%の営業利益率を達成するという目標をあらためて表明した。この目標は、2月6日にサンフランシスコで開催されたアナリスト向けコンファレンスで発表されたものだ。ちなみに、2007年度第2四半期(2006年12月 31日締め)の営業利益率は2.9%であった。
Sunはまた、エネルギー効率向上に向けた取り組みについても明らかにした。その一環として、同社の「SunFire T1000」および「同T2000」サーバが、エネルギー会社のパシフィック・ガス&エレクトリックが省電力化を支援するために実施しているリベート・プログラムの対象製品に含まれたとしている。
Sunの環境対策担当バイスプレジデント、デーブ・ダグラス氏は、カナダのある電力会社とも近いうちにサーバ・リベート・プログラムを発表する予定だと述べた。Sunは他の数社の電力会社とも同様のプログラムの実施について話し合っているという。
(ロバート・マリンズ/IDG News Service Sunフランシスコ支局)
米国Sun Microsystems
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提供:Computerworld.jp