HP、SMB向けに仮想化技術の導入支援サービスを提供

 米国ヒューレット・パッカード(HP)は1月24日、企業のコンピュータ・インフラを診断評価し、仮想化技術をどのように導入できるかを提案するサービス「Virtualization Assessment Service」を2月1日から提供すると発表した。これにより、同社は中堅・中小企業(SMB)向け仮想化市場を開拓したい考えだ。

 仮想化技術は、企業のITインフラを総合的に管理し、有効活用できるように設計されている。仮想化技術を利用すれば、サーバを複数の仮想マシンに分割し、その上で同時にさまざまなアプリケーションを稼働させることができる。サーバのワークロードは、特定の物理マシンまたは仮想マシンから別のマシンに簡単に移すことが可能だ。

 これまでのところ、ほとんどの仮想化プロジェクトは大企業で行われており、HPのようなITベンダーが営業スタッフやコンサルタント、エンジニアを直接送り込んでプロジェクトを支援してきた。HPでは今後、SMB市場をターゲットに、チャネル・パートナーを通じて仮想化のニーズに対応していく方針だ。

 HPの仮想化担当ディレクター、ニック・バンダー・ズウィープ氏は、「SMBの顧客は仮想化プロジェクトの経験がないことが多く、最初に実施する際には支援が必要だ。当社のチャネル・パートナーは地元に密着しており、彼らを通じて、顧客の仮想化プロジェクトが軌道に乗るようにサポートしていきたい」と抱負を述べた。

 バンダー・ズウィープ氏は、Virtualization Assessment Serviceを提供するパートナーとして、アベント、アロー・エレクトロニクス、アジリシスを挙げた。今後、さらに多くのパートナーが同サービスを提供するという。

 仮想化はIT業界の新たな競争分野になってきており、ベンダーは仮想化製品を、コスト、サーバの無秩序な増加、電力消費をコントロールする手段として宣伝するとともに、ライバルとの差別化の材料として使っている。

 IBMもこの分野での自社の優位性を主張している。30年以上前からメインフレーム・コンピュータに仮想化機能を搭載しているからだ。同社の仮想化担当ディレクター、ケビン・レーヒー氏は「HPが後追いをしているのは明らかだ」と言い切る。

 仮想化ソフトウェア最大手のヴイエムウェアも、IBMの1970年代における仮想化の取り組みを手本にして、製品を顧客に売り込んでいる、とレーヒー氏は付け加えた。

 HPのバンダー・ズウィープ氏も、IBMが仮想化技術の先駆けであることを認めながらも、「IBMはメインフレーム以外の分野にこの技術を生かすのが遅れた」と指摘する。

 「IBMはさまざまな技術をつぎ込むことで、メインフレームを共有可能にした。しかしHPは、IBMが仮想化技術をほかの分野に展開するよりはるか前から、この技術を自社のUNIXサーバとミッドレンジ・システムに応用している」(同氏)

(ロバート・マリンズ/IDG News Service サンフランシスコ支局)

米国ヒューレット・パッカード(HP) http://www.hp.com/

提供:Computerworld.jp