IT管理にスパイスをきかせるSpiceworks

今月、Spiceworks社は、ネットワークのインベントリ管理に威力を発揮する新しいタイプのIT管理アプリケーション「Spiceworks IT Desktop」の最新版をリリースした。このWindowsベースのアプリケーションは、ネットワーク上にあるIPベースのデバイスを探し出し、そのマシン上のソフトウェア、パッチ、サービスを特定してくれる。ただし、Spiceworksのユーザは、これらのネットワーク情報とともにGoogle提供の広告を目にすることになる。このスポンサー制度があるため、Spiceworks社は本製品を無料で提供することができる(ただし、本製品にはプロプライエタリライセンスが適用されている)。

Spiceworks社によれば、このソフトウェアはWMI、SSH、SNMPなどのプロトコルを使用してITネットワークをスキャンし、取得したインベントリ情報をローカルに保存する。Spiceworksコンソールは、ソフトウェアのインベントリ情報を取得するために、リモートクライアントPCに対する管理アクセスを必要とする。このアプリケーションは、ブラウザベースのインタフェースを使用してネットワークデバイスのスキャンとレポートを行う。中小規模企業のニーズを満たすための製品であるため、監視できるネットワークの規模は、最大250デバイスまでである。

Spiceworks社は、Tivoli、Apple、NeXTなどの企業で豊富な経験を積んだ管理チーム(Scott Abel、Jay Hallberg、Greg Kattawar、Francis Sullivan)によって2006年1月にテキサス州オースティンで設立された。6月には、Austin VenturesからシリーズAファンドとして500万ドルの資金供与を受けた。

Spiceworks社のCEOを務めるScott Abelは次のように語っている。「我々はSpiceworksを立ち上げるに当たり、30社以上の中小企業のITプロフェッショナル、つまりシステム管理者、ネットワーク管理者、ITマネージャの人々にインタビューした。好きなIT管理ソフトウェアはどれかと質問したところ、誰もが沈黙してしまった。そこで嫌いなものはどれかと質問を変えると、彼らはいくつもの製品名とその問題点を次から次へと話し始めた。たとえば、設定が難しい、インストールが複雑、使い方がわかりにくい、コストがかかる…などだ」

「最初に話を聞いた約30社のITプロフェッショナルの言葉から、我々は、毎日使用する統合型ITデスクトップには何が必要か、という点について基本的なアイデアを得ることができた。今ではこのグループも200社以上に拡大し、本製品のアルファ版の設計、テスト、使用に協力してくれた。我々は、彼らが何を望んでいるのかを想像するのではなく、実際にアイデアを募集し、投票してもらった。これは非常に革新的なアプローチだった。文字どおりユーザの声を聞き、ユーザの要望を満たしたのである」

ユーザも満足しているようである。Fort Maier Homes社(メリーランド州クラウンズヴィル)のシステム統合マネージャであるJohn Yensenは、Spiceworks社のサイトに賞賛のコメントを寄せており、さらに次のように語っている。「すべてのITプロフェッショナルにこのソフトウェアを強くお勧めする。Spiceworksのようなソフトウェアは、通常はものすごく高価なものである。だがSpiceworksは無料で利用できるし、サポート体制もしっかりしている。さらに、エージェントも必要ない」

「私が自分の管理するネットワークにSpiceworksをインストールし、最初のスキャンを行ったときにまず試したのは、ネットワークにインストールされているすべてのソフトウェアを調べることだった。Spiceworksはネットワーク上のすべてのソフトウェアをカタログ化してくれ、この結果はさまざまなフィルタを使って参照することができる。たとえば、ワークステーションごと、バージョンごと、インストールされているワークステーションごとの結果を見ることができる。私はスキャン結果から、ある種のパスワード解読ソフトウェアが1台のマシンにインストールされていることを発見した。問題のワークステーションで確かめてみると、確かにそうだった。Spiceworksでは、どんな種類のものであっても、ソフトウェアがネットワークにインストールされたら、何のソフトウェアがいつ、どこにインストールされたかを電子メールで通知するようにセットアップすることも可能である」

Yensenは特に恩恵を受けた点として、コミュニティフォーラムがソフトウェアに統合されているので質問の答えがすぐに返ってくることを挙げた。「このフォーラムを通じて、ソフトウェアに対する変更や追加を提案することができる。私がSpiceworksにチケットシステムを追加したらどうかという提案を投稿した後、それほど時間が経たないうちに、チケットシステムを含んだアップデートが公開されたことには驚いてしまった。このようにして提案を出すことができ、それに対して解答や実装が返ってくるという仕組みは、他のソフトウェアではまず見られない。ものすごく高価なソフトウェアであっても、ほとんどないだろう」

Fred Haas Toyota World社(テキサス州スプリング)のシステムサポートエンジニアであるWayne Vassも、Spiceworks IT Desktopソフトウェアを賞賛している。「私の勤務先にはたくさんのPCとネットワーク機器があるが、編成、ドキュメント、インフラストラクチャという面での努力はほとんど行われていない。Spiceworksは、このうち80%近くのデバイスに関する情報を幅広く収集してくれた。ここで『幅広く』と言ったのは、シリアルナンバー、IPアドレス、デバイス名、製造元などの標準的な項目のことである。Spiceworksでは、ルータ、スイッチ、PC、ターミナルサーバなどのハードウェアのインベントリ情報を収集できるだけでなく、各PC上にどんなソフトウェアがあるか、アップデートが適用されているか、ドライブの空き容量はどのくらいかといった情報も入手できる。無料の製品としては驚くほどの高性能である」

「私の上司は、現在所有しているワークステーションとサーバの台数を把握したいと考えていた。Websenseというインターネットフィルタリングソフトウェアを使っていて、いくつか困った問題が起きていたからだ。Spiceworksは、マシンの正確な台数を調べるのに役立った。実際のマシンの台数と、Websenseのために購入したライセンスの数とを比較したところ、ライセンスの数がいくつか少なかった。このことから、Websenseのライセンス数を超えた分のPCにはフィルタが適用されていないことが判明した。Spiceworksのおかげで、現場まで出向いて手作業で数える手間を省くことができた」

Spiceworks IT Desktopソフトウェアは無料だが、どの画面でも、右側にコンテキスト依存のGoogle広告が表示される。Spiceworks社は、エンタープライズ分野でこのモデルを採用した初めての企業だと思われる。ユーザが広告をうるさく思わないのかと尋ねたところ、Abelは今のところそのような声は聞いていないと答えた。私が話をしたマネージャたちは、この広告がソフトウェアの全体的な使いやすさを損ねたり、気が散る原因になったりすることはないと語っていた。

Abelの見解はこうである。「もし大きな問題があるならば、これほどユーザ数が拡大することはなかっただろう。我々としても、できるだけ有意義で、有益かつ出しゃばらない広告にするよう努力している。広告が占めるのは、画面領域のごく一部である。アニメーションは使わないし、けばけばしい色も使っていない。実際、コミュニティの投稿では、広告について肯定的なコメントを多数いただいている。ユーザは、押し付けがましい広告ではないし、これまで知らなかった情報を得る機会として考えているようだ。これらの広告は、ネットワークの効率的な運営のためにどんな種類の製品やサービスを検討すればよいかを知るのに役立っている」

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