「顧客がRed Hatを選んだ理由は価格ではなく“価値”」──米Red Hat幹部が表明
OracleのUnbreakable Linux 2.0、NovellとMicrosoftの提携、Java SE/Java MEのオープンソース化と、Linux/オープンソースの関する大きな話題が続いている。米Red Hatのシニア・バイスプレジデントでワールドワイド・マーケティング&ジェネラル・マネジャーを務めるティモシー・イートン氏は今回のプレス・ブリーフィングにおいて、この一連の動きを「エンタープライズ・コンピューティング領域においてオープンソースの地位が揺るがないものになった証拠」と、肯定的に評価する姿勢を示した。
Unbreakable Linux 2.0は、Red Hat Linux向けのバグ・フィックス・プログラムなどをOracleが提供するというもの。Red Hatによる同等のサービスよりも安価な価格設定がなされている。すでにRed Hatは、Unbreakable Linux 2.0の対抗策として値下げを行うことはないと表明しており、イートン氏もこの点をあらためて強調した。
「顧客がRed Hatを選択した理由は価格ではない。われわれが提供する“価値”なのだ。Red Hatの最初のライバルは、無料で提供される他のLinuxディストリビューションだった。そうしたライバルと争い、エンタープライズ市場で勝ち抜いてきたのだ。この事実からも、顧客がわれわれに期待しているのは価格ではなく、価値であることが理解できるだろう」(イートン氏)
さらに、実際にサービスを利用する際には、大きな料金差は発生しないとイートン氏は指摘。「われわれの理解では、Unbreakable Linux 2.0ではバックポートのための追加料金が発生するが、Red Hatのサービスではそのような料金は発生しない」(同氏)とし、価格リストの比較だけでは料金の差を特定できないと語った。
一方でイートン氏は、Red Hatが提供するサポート・サービスには、改善の余地がある点を認めた。例えば、現状のRed HatのWebサイトでは、国内向けサポート・ページであっても、そこに掲載されているナレッジベースがローカライズされていない。これに対して同社は、「現在、ローカライズのスピードを上げるために、かなりの投資を行っている」(同氏)という。
MicrosoftとNovellの提携については、「この2年の間でRed HatとNovellの市場における位置づけに変化はない。Microsoftとの提携によっても、Red Hatに大きなインパクトがもたらされれることはない」(イートン氏)と考えているという。
(大川 泰/Computerworld)
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