XenSource、WindowsをサポートしたXenを発表

 VMwareとそのライバルたちが熱い戦いを繰り広げるなか、仮想化市場の成熟を裏付ける新たな発表があった。オープンソースの仮想化プロジェクト「Xen」が近日中にWindowsをサポートすることになったのだ。

 Xenハイパーバイザの開発を管理するとともに、Xenの加入サービスとサポート・サービスを販売している米XenSourceは11月6日、Windows仮想マシンを稼働させることができるオープンソースの仮想化技術を発表した。

 これまでXenは、LinuxとNetBSDのみをサポートしていた。しかしXenSourceは、今年8月に発表した「XenEnterprise」にWindowsサポートを追加し、VMware製品に取って代わる使いやすい低価格の製品と位置づけることで、中レベルのWindows製品市場にターゲットを絞りつつある。

 XenEnterpriseのWindowsサポートは、11月6日から始まったベータ・プログラムで提供され、今年12月にはWindows 2003とWindows XPのサポート版が正式出荷される予定だ。また、XenSourceの幹部によると、来年の第1四半期にはWindows 2000サポートも追加される計画だという。

 XenEnterprise for Windowsには、XenやゲストOSインストーラ、物理システムを仮想マシンに移行させるためのツール、各種管理機能など多くの機能が搭載される。その価格は、2プロセッサ・サーバに対応する1年間の加入ライセンスで、およそ488ドルになる予定だ。

 XenSourceのマーケティング担当バイスプレジデント、ジョン・バーラ氏は、「この製品は、Xenハイパーバイザを搭載した仮想化プラットフォームであり、WindowsとLinuxの両方のゲストに高いパフォーマンスを提供する。また、自動化されたインストール/管理コンソールを搭載しており、Windowsの知識がある平均的なITスタッフなら10分で立ち上げ、稼働させることができるはずだ」と語っている。

 XenSourceの幹部は、XenEnterpriseがVMware製品に搭載されているすべての機能をサポートしているわけではないと認めている。VMwareは今年6月、多彩な機能を搭載する「VMware Infrastructure 3」を発表した。その価格は、2プロセッサ対応製品でおよそ1,000ドルからとなっている。

 バーラ氏は、「VMwareが押さえているハイエンド市場と、MicrosoftのVirtual Serverといった無料製品も含まれるローエンド市場の間には大きなギャップがある。われわれはXenEnterpriseを投入し、当社が『ボリューム仮想化(当社以外のベンダーにとっての仮想化技術)』と呼ぶ技術を提供することで、この市場を確保したいと考えている」と説明している。

 XenSourceのCTO(最高技術責任者)であるシモン・クロスビー氏によると、Xenは、IntelとAMDの新型チップに組み込まれるハードウェア・ベースの仮想化機能にも対応する予定だという。また、すでに出荷されているXenの無償バージョンでも、Windows仮想マシンを稼働させることができるとしている。ただし同氏は、「WindowsをサポートするためにXenに組み込まれた独自ドライバのおかげで、XenEnterprise製品のほうがWindows仮想マシンのパフォーマンスが高いと自信を見せる。

 「オープンソース版のXenでもWindowsを稼働させることはできるが、スピードは遅い」(クロスビー氏)

 MicrosoftとXenSourceは今年7月、XenベースのLinuxとWindowsサーバ仮想化技術の相互運用に向けた提携を発表しており、今回の発表もこの路線に連なるものだ。両社によると、Windows Serverの次世代バージョン(開発コード名:Longhorn)では、ユーザーがWindowsとXenベースの仮想マシンをシームレスに行き来できるようになるという。

(ジェニファー・ミアーズ/Network World 米国版)

提供:Computerworld.jp