OracleがLinuxのバグ・フィックスを提供──エリソン氏、Linuxへの注力をあらためて強調

 米Oracleは10月25日、Red Hat Linuxを対象としたサポート・サービス「Unbreakable Linux 2.0」を提供すると発表した。サンフランシスコで開催中の「Oracle OpenWorld」コンファレンスにおいて、同社CEOのラリー・エリソン氏が基調講演で明らかにした。

 Unbreakable Linux 2.0は、Red Hat Linux向けに、バグ・フィックス用プログラムの配布などを行うサポート・サービス。当面はIA-32/IA-64プラットフォームで稼働する同OSが対象となる。Oracleでは、自社のデータベース製品と同等のエンタープライズ向けサポート・サービスを、Linuxに対して提供するとしている。

 同サービスの利用料は、米Red Hatの同様なサービスに比べて低価格に設定されている。また、2007年の1月31日までは、同社製品のユーザーは無料、一般のユーザーは半額で利用できるディスカウント・プログラムも用意されている。

 基調講演においてエリソン氏は、「1998年には、商用データベースとして初めてLinuxに対応し、また、クラスタ/グリッド向けのOSとしてLinuxを積極的に活用している」と、OracleがLinuxに注力している姿勢をアピールした。さらに、Linuxクラスタ用のファイルシステムを開発するなど、オープンソース・コミュニティに対する同社の貢献についても言及した。

 そうしたLinuxへの取り組みの一環として、Oracleは2002年に「Unbreakable Linux Program」を開始し、同社製品のユーザーに向けてLinuxサポート・サービスを提供している。エリソン氏は、「2002年当時は、エンタープライズ環境でLinuxを利用することに対して不安を抱くユーザーが多かった」と語り、その不安を払拭するために同サービスを開始したと説明した。今回提供されるUnbreakable Linux 2.0は、同プログラムを刷新し、サポート対象を同社製品のユーザーに限定せずに提供される。

 エリソン氏は、「現在でもLinuxには、本当の意味でのエンタープライズ・サポートが存在しない。ユーザー企業が必要とするバグ・フィックスが迅速に行われないからだ。また、保守の料金が高く、著作権に関する訴訟にユーザー企業が巻き込まれるという恐れもある」と、Linuxの利用をユーザー企業がためらう問題点が残っていると指摘し、Unbreakable Linux 2.0によってOracleが、これらの問題点を解決すると語った。

 なお、同サービスの日本での展開について、日本オラクルで常務執行役員 システム製品統括本部長 兼 マーケティング本部長を務める三澤智光氏は、「近日中に発表できる」と、Oracle OpenWorld 2006併催の「Japan Session」(日本オラクル主催)で語った。

(大川 泰/Computerworld)

提供:Computerworld.jp