Office 2.0ベンダー、オフィス・アプリケーションのマッシュアップに関する技術規格を提案

 オフィス・アプリケーションのホスティングを行う米iNetOfficeとShareMethodsは10月11日、「Office 2.0 Conference」(米サンフランシスコ/10月11日・12日)の開催に合わせて、ホスティング型オフィス・アプリケーションの相互運用性を確保するための技術規格を提案した。

 ホスティング型オフィス・アプリケーションは、Web 2.0になぞらえて「Office 2.0」と呼ばれ始めている。最近、Web 2.0を牽引する“Web 2.0ベンダー”の最大手であるGoogleがオフィス・スイート分野へ進出を果たしており、今回の発表はそうした大手Web 2.0ベンダーやMicrosoftへの対抗策となる。

 現在、100種類以上のOffice 2.0サービスが低価格もしくは無料で提供されている。これらのサービスは、Word、Excel、PowerPointといったMicrosoft Officeの主要機能の大半を再現すると同時に、複数のユーザーが1つのドキュメントを同時に編集する機能も提供する。従来、この機能をMicrosoft Officeに導入するには手間やコストがかかっていた。

 しかしいずれのサービスも、Microsoft Officeが備えるコンポーネント間の連携機能はまだ提供していない。オンラインの文書作成および表計算アプリケーションを1つのプラットフォームに統合したサービスを11日に発表したGoogleも同様だ。つまり、これらのサービスを利用するユーザーがデータやドキュメントを転送する場合には、複数のサービスにログインしてファイルをダウンロードして再度アップロードしなければならない場合があり、さらには、異なるアプリケーションのファイルが正しく開かないおそれもある。

 こうした状況を解消するために、iNetOfficeとShareMethodsは「Simple Ajax Mashups」(以下、SAM)というホスティング型オフィス・アプリケーションにおいて相互運用性を確保して、マッシュアップを実現するための技術規格を策定した。SAMは、WebDAV(Web Document Authoring and Versioning)、SSO(シングルサインオン)、ALE(AJAX Linking and Embedding)など、既存の標準規格が組み合わされている。SAMに対応しているホスティング型オフィス・アプリケーション間では、シングル・ログイン、ファイル共有、書式付きデータのコピー&ペーストといった機能が使えるようになるという。

 ShareMethodsのCEOを務めるエリック・ホッファート氏は、「ホスティング型オフィス・アプリケーションが孤立することを避けたい」と述べた。また、アイネットオフィスの社長であるトム・スナイダー氏は、「SAMによってアプリケーションを連携させればクリックの回数を1〜2回減らすことができるが、それだけで生産性が向上する」と語っている。

 スナイダー氏によると、オンライン・コラボレーション・アプリケーション・ベンダーのジンブラ、オンライン・データベース・メーカーのカスピオ、コラボレーション・ソフトウェア・メーカーのジョイエントなど、他のWeb 2.0ベンダーもすでにSAMのサポートを表明しているという。

 「SAMのサポートをするほとんどのベンダーが小規模なプレーヤーだ」と、コラボレーティブ・ストラテジーズのアナリスト、デービッド・コールマン氏は指摘する。しかし、簡単かつ安価にサービスを連携させることができるSAMによって、彼らは間口を広げることが可能になるという。また、顧客を共有するサービス・プロバイダーは収入(大抵はサブスクリプション料)を分け合うことになるが、その配分は未定だ。「パートナーを多く持つ者が勝利を収める」(コールマン氏)

 スナイダー氏はまた、一部のOffice 2.0ベンダーがすでにGoogleとの相互運用性を確保しようとしていることを認めた。Googleは豊富なリソースにより、事実上のマーケット・リーダーとなっている。だが、同氏は、「GoogleのAPIに準拠しているからといって、SAMに準拠できないわけではない」と語る。

 Office 2.0サービスの最終的なライバルは、Microsoftだ。同社はMicrosoft Officeのユーザー数は4億人に上るとしており、同ソフトウェアを補完する独自のオンライン・サービス「Office Live」を開発している。

 Microsoftのプラットフォーム戦略グループのディレクターを務めるティム・オブライエン氏は、「Office Liveは、機能豊富なOfficeを完全に代替するわけではない。Officeは機能の10%しか使われていないというジョークがあるが、それぞれが異なる10%を使っている」と語る。

 MicrosoftがSAMのようなサードパーティの技術規格への準拠を検討するかという質問に対し、オブライエン氏は、「Microsoftはソフトウェア間の壁を取り払うあらゆるシナリオに興味がある」と回答している。

(エリック・レイ/Computerworldオンライン米国版)

提供:Computerworld.jp