KDE 3.5.5のリリースを際だたせる1,200以上の変更箇所

先日リリースされたKDE 3.5.5(ダウンロードはこちら)は、多数のユーザに愛用されているデスクトップ環境KDEのメンテナンス/バグフィックス版であるが、2006年8月に行われた前回のアップデート時に比べるといくつかの機能強化が行われている。今回の新規リリースで施された改善点は、Kopete 0.12.3のアップデート、Adiumテーマのサポート、Jabber IMプロトコルおよびYahoo!のサポート向上などである。

KDEプロジェクトはまた、kdesuでのsudoサポートの追加および、KDEの標準WebブラウザであるKonqueror用レンダリングエンジンKHTMLの高速化も行っている。バージョン3.5.5における変更の詳細についてはKDE Changelogを参照して頂きたい。

KDE Projectの開発者であるSebastian Kügler氏は、「リリース3.5.4から3.5.5への移行に際しては1,222カ所の変更が行われ、333個分のバグが処理されています」と説明する。Kügler氏によると、今回のリリースサイクルでのコード開発には100名以上のスタッフが携わったが、その全員が、KHTMLに施された多数のバグフィックスと向上した安定性に満足しているとのことだ。「KDEのブラウザコンポーネントはAppleやNokiaでも採用されていますが、こうした事実は、ソフトウェア業界におけるKDEテクノロジの重要性を如実に物語っていると言えるでしょう」。

KDEにはデスクトップ環境以外にも、ゲーム、マルチメディア、Web構築用ツールなど15のパッケージが同梱されている。またサポートされている言語数は現状で65に達しているが、今回の3.5.5リリースにおける特長の1つは、こうしたサポート言語に関する改善点が非常に目立つことだ。「今回のリリースサイクルの場合、KDEソフトウェアの翻訳作業において、いくつかのチームが非常に素晴らしい成果を上げてくれました」とKügler氏は説明している。

「例えばペルシア語チームは、先月の作業でユーザインタフェースの60%を翻訳し終わっています。中国語についても20%分の翻訳が追加され、全体で93%に到達しました。現状で、画面上に現れるユーザインタフェースの大半はローカライズが完了していると見ていいでしょう。実際、今回の翻訳作業は非常に徹底されたもので、クメール語やスロバキア語あるいは低地ザクセン語(ドイツの方言の1つ)までもカバーしています」。

今回リリースされた新バージョンが明日にでもすべてのLinuxディストリビューションに搭載されると期待するのは少々酷な話だが、KDE Projectからは、次回リリース時にKDE 3.5.5を採用する予定のディストリビューションの一覧が公開されている。もっともKügler氏によると、その頃になればKDE開発チームはKDE 4の構築作業に忙殺されているはずだとのことだ。「Qt4ライブラリにあるウィジェット(widget)に関連してレンダリング機能の大規模な改善を施す予定です(ダブルバッファリングおよびアンチエイリアシングの大幅採用)」。

KDE 4については、マルチメディアやハードウェア関連およびその他の機能において大幅な飛躍が期待できるとKügler氏は語っている。「マルチメディアAPIとしてPhononを採用することで、各種アプリケーションにおけるマルチメディア機能の実装が大幅に簡単化されるはずですが、そうした事情はハードウェア環境を扱うSolidについても同様です。またデスクトップ環境全体を処理するPlasmaでは、デスクトップおよびパネルで使われているコンポーネントが刷新されるので、まったく新しい方式でアプリケーションを操作できるようになるでしょう。そしてKDE4におけるユーザエクスペリエンスを象徴する存在がOxygenアイコンですが、その構築についてはKDEのアーティストチームがここ数カ月をかけて精力的に取り組んでいます」。

NewsForge.com 原文