Portland 1.0 がリリース
OSDLのDesktop Linux(DTL)技術委員会委員長Waldo Bastianによると、ISVはこれまで「20前後もあるディストリビューションの癖」を把握して製品を作らねばならなかったが、Portlandによりそうした負担が軽減されるだろうという。
また、利用者にとっても、Portlandの導入により、ISV のアプリケーションが「予期したメニューに並び、すべてのファイルが予期した形でファイル・マネージャーに表示され、好みに合わせて電子メール(アプリケーション)やWebブラウザーが使える」ようになるだろうという。
Portlandは、xdg-utilsと呼ばれるコマンドライン・ツール群とDesktop API(DAPI)から構成されている。xdg-utilsには、デスクトップ・アイコンやメニュー項目を追加・削除するコマンド、ファイルやURLを利用者が指定したアプリケーションで開くコマンド、お好みのブラウザーを使って電子メールを送信するコマンドなどが含まれている。
一方、DAPIはISV向けのライブラリーで、デスクトップ環境デーモンを通じて、アプリケーションからアドレス帳の管理、メールの送信、スクリーン・セーバーの管理などといった通常よく行われる操作を可能にする。
Portland 1.0はリリースされたばかりだが、すでに注目を集めている。DTLのイニシアチブ・マネージャーJohn Cherryによると、CodeWeaversがアプリケーションでPortlandツールを利用しようとしているほか、GoogleのGoogle Earth for Linuxのリリースでも使われたという。
また、OSDLによると、Debian、Fedora、openSUSEでもPortlandが使われることになっており、XandrosとRed Flagは次期リリースでPortlandツールを含めると発表している。
今後の計画
Portlandはリリース1.0で完成したわけではなく、盛り込むべき機能は山積している。Cherryによると、次期Portlandの機能とリリース時期は、PortlandのOSDLオフィスで12月7~8日に開催される第3回Desktop Architects Meetingで検討されるという。
第1回DAMでは、Linuxデスクトップの開発における最も大きな課題として3点が取り上げられた。すなわち、開発者とISVのサポート、オープン・ドライバーによるハードウェアのサポート、コミュニティのコーディネーションである。Cherryによると、Portland 1.0は課題「開発者とISVのサポート」に対する回答の一部であり、KDEかGNOMEかを区別せずにLinuxデスクトップの仕事ができるようにするものだという。
オープン・ドライバーのサポートについては、昨年中に状況が改善され、特にワイヤレス機器とビデオ・カードのサポートはよくなったという。また、ATIがAMDに買収されて以降、ビデオ・ドライバー向けに機能を公開するようになってきたことを「確認」しているともいう。
コミュニティについても、freedesktop.orgなどの仕組みを介して、ISVと開発者がLinuxデスクトップ向けアプリケーションを製作できるよう、各グループが協力し合うことを重視するようになっているのは明らかだ。実際、Bastianによれば、Portlandの「当面の焦点」はKDEとGNOMEだが、Xfceサポートを改善する貢献も若干寄せられているという。
Cherryによると、昨年取り上げた3つの優先課題への対策がある程度進んだことから、今年の「ホット・トピック」はマルチメディアのサポートという観点から「iPod世代のサポート」だろうという。これには、プロプライエタリ・コーデックも含まれる。また、この分野では、企業としてのReal Networksが「大きく先行」しているとも指摘した。
しかし、現時点では、Portlandの次期メジャー・バージョンに関する確たる予定はない。これについて、Bastianは、オープンソース・プロジェクトのため、進捗は「参加者の数に大きく依存する」と指摘した。
しかし、サポートするディストリビューションを拡大した1.1バージョンが「数か月以内」に登場するだろうとは述べ、「そのバージョンでXfceなどの環境でのツールの動作を改善できるよう、参加者の貢献を期待したい」と述べている。
NewsForge.com 原文