SunのCEO、「業績回復」と「ユーザーとの関係強化」をアピール

 米Sun Microsystemsの社長兼CEO、ジョナサン・シュワルツ氏は9月13日、ニューヨークで開催した新製品の発表会で、不振が続いていた同社の業績が上向きつつあること、また今後どのような顧客層に狙いを定めていくかについて語った。

 ストレージおよびサーバの新製品を披露する発表会にビジネス・スーツ姿で臨んだシュワルツ氏は、「(市場には)2種類の顧客層が存在すると見ている。それは、情報技術を競争に勝ち残るための武器として利用しようとしている顧客層と、コスト削減の手段として利用しようとしてる顧客層だ。われわれは前者に重きを置いている」と強調した。

 同氏は、テクノロジーに対する見識の高い金融サービス企業やメディア企業が数多く本社を構えるニューヨークを、「(Sunがターゲットとする)そうした顧客が集まる中心地」と言い表した。発表会では、同氏がCEOに就任してからおよそ100日間の業績回復の様子や事業改革の取り組みなどが紹介された。

 シュワルツ氏は、CEO就任後の100日間を「甘い日々の終焉」とでも呼ぶべき厳しい期間だったと振り返り、ドットコム・バブルが崩壊した2001年以降に取り組んできた改革戦略が、ここに来て徐々に成果を上げ始めていると述べた。

 Sunはゆっくりとではあるが確実に、赤字経営から脱出しつつあるようだ。従業員の削減を含む業務改善によってコスト削減に努めた結果、過去数四半期にわたって収入は増加しており、年度末の2007年6月30日までには増収を継続できる体質に回復すると、シュワルツ氏は強調した。

 13日の会見では、複数のストレージおよびサーバ製品の詳細が明らかにされたが、シュワルツ氏が発表した戦略にはほとんど目新しい要素は見られなかった。ただし、今回発表された「Thumper」は、ストレージとサーバを複合した新たなコンセプトの製品として注目を集めた。

 シュワルツ氏は数年前から、ハードウェア、ソフトウェア、ストレージ、サービスを組み合わせた製品の提供に力を入れていること、異機種が混在するIT環境下でそうした製品を統合しようとしているユーザーを支援し、Sunの製品と競合社の製品のシームレスな連携を可能にする取り組みを進めていることをアピールしてきた。

 また同氏は、Solarisのオープンソース化の取り組みにも言及し、顧客層の拡大につながるのであれば、他社と協力する労も惜しまないと強調した。Solarisをオープンソース化した2005年以後は、同OSの70%近くが、Sunのサーバではなく、IBMやDell、HPなど、かつてのライバル企業のハードウェアにインストールされるようになったという。

 シュワルツ氏は、会見の席上、「OpenSolaris」のライセンス配布数が近いうちに600万件に達する見通しであるとを明らかにした。

 13日の会見に参加した調査会社イルミナータのアナリスト、ジョナサン・ユーニス氏は、今回の発表会は実は新製品を披露するためのものではなかったと指摘する。

 「Sunがオープンソースに積極的に投資し、AMDのOpteronを初めて搭載したGalaxyサーバ・ラインをはじめとする最近の製品が利益を生むようになってきたことを発表会を通じてアピールしたかったのではないか。非常に力の入ったイベントであり、質の高い顧客を取り戻してみせるという気概を感じた」(ユーニス氏)

 なお、Sunは同発表会で、システム・インテグレーターのアクセンチュアとの提携契約を更新したことも明らかにしている。ユーニス氏は、新しい顧客や低迷期に失った顧客にアピールするという点で、これは特に重要なステップだと評価する。アクセンチュアは、Sunの技術を利用したID管理ソリューションを提供している。

(エリザベス・モンタルバノ/IDG News Service サンフランシスコ支局)

提供:Computerworld.jp