オラクル、製造業のグローバル対応を支援する体制と製品をアピール

 日本オラクルは9月7日、製造業向けアプリケーションの事業戦略などに関する記者発表会を行い、製造業のグローバル対応を支援していく取り組みをアピールした。

 日本オラクルでは、今年6月の新年度より、インダストリー製品を扱う社内組織の体制をあらため、製造業をはじめ、特定のインダストリー向けアプリケーションに特化した営業部門を設置するなど、この分野への注力を強めている。また、米国オラクルが2005年8月に銀行業務アプリケーションを提供するインドのアイフレックスを買収するなど、インダストリー製品のラインアップ強化を進めてきた。

 発表に際し、日本オラクルの常務執行役員で、エンタープライズアプリケーション営業統括本部の本部長を務める桑原宏明氏は、「今は、これまで進めてきたM&Aなどの取り組みが、顧客に理解されはじめているときだ」と語り、インダストリー向け製品分野に対する自信を見せた。そして、この分野における同社の強みとして、「それぞれのインダストリーにおけるコア業務をサポートするアプリケーションを有している」(同氏)ことをアピールした。

 続いて、日本オラクルのエンタープライズアプリケーション営業統括本部 製造営業部 部長、宍戸武士氏が登壇し、製造業向けのアプリケーションの事業戦略について説明した。同氏は、今日の製造業においては、グローバル化への対応が大きな課題となっていると指摘。「物の流れ、金の流れの“見える化”をグローバル・レベルで実現しなければならない」(同氏)と、製造業が進むべき方向性を示した。

 宍戸氏は、そのためには、製品や部品、取引先など、主要なマスタ・データをグローバル・レベルで統合し、販売実績や会計情報などをリアルタイムに把握できる環境の整備が不可欠であると語り、グローバル連結経営の重要性を強調した。現在、グローバルに事業展開を行う製造業において、例えば、それぞれの国のアプリケーションが別々のマスタ・データを持っているため、販売実績を一元化して経営判断に利用するといったことが非常に困難になっているケースがあるという。

 同氏は、こうした課題に対処するためには、「データ中心のビジネス・アプリケーション」が必要であるとし、その理由を「業務プロセスが標準化されていても、根幹となるデータが正規化されていない状態では、経営判断の指標として使えるような形でデータを抽出し、活用することはできない」と説明した。そして、そのような形でアプリケーションを提供できるのが、日本オラクルの強みであると語った。「世界各地に散らばる膨大なマスタ・データを一元化するためには、データベースやミドルウェアといった基盤となる部分に関する高い技術力が必要である。その技術力を有しているのが、DBMS、ミドルウェア、アプリケーションを一気通貫で用意しているオラクルである」(同氏)

 また、宍戸氏は、新たな製造業向け製品として、需要予測シミュレーション・ソフト「Demantra」と、グローバル物流最適化ソフト「Oracle Transportation Management」の紹介も行った。Demantraは、米国オラクルが今年6月に買収した米国デマントラの需要予測シミュレーション・ソフト。新たに開発したシミュレーション・エンジンを搭載しているほか、需要系の情報だけではなく、どのような形でどこで売るのが有効なのかという販売系の情報を扱うための機能が強化されている。具体的な提供時期は未定だが、同社はまもなく市場投入するとしている。

 Oracle Transportation Managementは、グローバル・レベルで最適化された物流の構築/管理を支援するためのソフト。宍戸氏は、「これまでの製造業では、グローバル・レベルで物流を最適化するという発想がなかった」と指摘し、同製品は、生産、販売についても考慮しながら、グローバル・レベルの物流最適化を実現するものと説明した。なお、同製品はすでに提供されている。

提供:Computerworld.jp