GNU GPLv3 Discussion Draft 1 日本語訳
GNU 一般公衆利用許諾書 (GNU General Public License)
バージョン3のディスカッション・ドラフト1、2006年1月16日
日本語訳、2006年8月25日
これは草稿です。GNU 一般公衆利用許諾書の、正式に発表されたバージョンではありません。
Copyright (C) 2006 Free Software Foundation, Inc.
51 Franklin Street, Fifth Floor, Boston, MA 02110-1301 USA
Everyone is permitted to copy and distribute verbatim copies of this license document, but changing it is not allowed.
(訳: 本契約書の内容を、逐語的に複写し頒布することは許可する。しかし変更は認めない。)
This is an unofficial translation of the GNU General Public License into Japanese. It was not published by the Free Software Foundation, and does not legally state the distribution terms for software that uses the GNU GPL–only the original English text of the GNU GPL does that. However, we hope that this translation will help Japanese speakers understand the GNU GPL better.
(訳: 以下はGNU General Public Licenseの非公式な日本語訳です。これはフリーソフトウェア財団 (Free Software Foundation)によって正式に発表されたものではなく、GNU GPLが適用されたソフトウェアの頒布条件を法的に有効な形で述べたものではありません。頒布条件としては、GNU GPLの英語版テキストで指定されているもののみが有効です。しかしながら、私たちはこの翻訳が、日本語を使用する人々にとってGNU GPLをより良く理解する助けとなることを望んでいます。)
翻訳は八田真行 <mhatta@gnu.org>が行った。原文はhttp://gplv3.fsf.org/gpl-draft-2006-01-16.htmlである。誤訳の指摘や訳の改善案を歓迎する。なお、日本語訳の利用条件は原文に準ずる。
前文
ソフトウェア向けライセンスのほとんどは、あなたからそのソフトウェアを共有したり変更したりする自由を奪うように設計されています。それとは対照的にGNU 一般公衆利用許諾書は、フリーソフトウェアを共有し変更するあなたの自由を保証し、そしてソフトウェアが、そのユーザすべてにとって自由なものであることを保証することを目的としています。私たちフリーソフトウェア財団は、私たちのソフトウェアの大半にGNU 一般公衆利用許諾書を適用しています。その作者に適用しようという意志があれば、他のいかなるプログラムにも適用することが可能です(フリーソフトウェア財団のソフトウェアのいくつかは、GNU GPLの代わりにGNU 劣等一般公衆利用許諾書で保護されています)。あなたが、あなたのプログラムに適用することもできます。
私たちがフリーソフトウェアについて語るとき、それは自由について言及しているのであって、価格についてではありません。私たちがいくつか有する一般公衆利用許諾書のそれぞれは、あなたがフリーソフトウェアのコピーを頒布する(そして、希望によっては頒布サービスに対して課金する)自由を有するということ、あなたがソースコードを受け取るか、あるいは入手したければ入手できるということ、あなたがソフトウェアを変更でき、あるいはその一部を新たなフリー・プログラムで利用できること、そしてあなたが、そういったことができると知らされることを保証すべく設計されています。
あなたの権利を守るため、私たちは、誰かが上記のようなあなたの権利を否定したり、あなたに権利を放棄するように求めることを禁止することを義務づけなければなりません。このような制約を設けると、あなたがソフトウェアのコピーを頒布したり改変したりする場合、あなたにもある種の責任を追わせることになります。
たとえば、あなたがGPLが適用されたプログラムのコピーを頒布する場合、それが無料であろうと手数料を取るものであろうと、あなたは受領者にあなたが持つすべての権利を与えなければなりません。あなたは、彼らもまた、ソースコードを受け取るか後に受け取ることができることを保証しなければなりません。そしてあなたは、彼らにこうした条項を示し、彼らの権利について彼らに知らしめなければなりません。
GNU GPLを利用する開発者は、あなたの権利を二つの手順を踏んで守ります。その手順とは、(1) ソフトウェアに著作権を主張し、(2) この許諾書を提示して、あなたにソフトウェアを複製、頒布、あるいは改変する法的な許可を与える、というものです。
開発者や作者を保護するため、GPLでは、このフリーソフトウェアには何の保証もないということを明確に説明します。ソフトウェアが誰か他の人の手で改変されて手渡された場合、GPLではその受領者に、彼らが入手したのはオリジナルではないことを告げ、よって他者によって持ち込まれた問題がオリジナルの作者の名声には全く影響しないことを保証します。
いくつかの国々では、ユーザがデジタル制限管理 (Digital Restrictions Management)から逃れられるようにするソフトウェアを禁止する法律を採用してしまっています。DRMは、ユーザの自由を守るというGPLの目的とは根本的に相容れません。そこでGPLは、GPLが保護するソフトウェアは、そこから逃れることが禁止されているデジタル制限の対象になることも、あるいは他の著作物を対象にすることも決してないということを保証します。
(訳注: Digital Restrictions ManagementはFSFの独特の語法。通常はDigital Rights Management。)
最後に、すべてのプログラムはソフトウェア特許によって絶え間なく脅かされています。私たちは、フリーなプログラムの再頒布者が個々にパテントライセンスを入手し、実質的にプログラムをプロプライエタリにしてしまうという特別な脅威を避けたいと思います。こうした事態を防ぐために、GPLでは、いかなる特許も皆がフリーに利用できるよう許諾されるか、全く許諾されないかのいずれかであるということを明確にしています。
(訳注: 本契約書で「プロプライエタリ (proprietary)」とは、ソフトウェアの利用や再頒布、改変が禁止されているか、許可を得ることが必要とされているか、あるいは厳しい制限が課せられていて自由にそうすることが事実上できなくなっている状態のことを指す。詳しくはhttp://www.gnu.org/philosophy/categories.ja.html#ProprietarySoftwareを 参照せよ。)
複製や頒布、改変に関する正確な規約や条件は以下の通りです。
GNU 一般公衆利用許諾書
複製、頒布、改変に関する規約と条件
0. 定義
「許諾されたプログラム」(licensed program)とは、本許諾書に従って頒布されるプログラムやその他の著作物すべてを意味する。「『プログラム』」(Program)とは、そのようなプログラムあるいは著作物すべてを指し、「『プログラム』を基にした著作物」(work based on the Program)とは、著作権法における『プログラム』か派生的著作物のどちらかすべてを意味する。言い換えれば、『プログラム』かその一部を、改変の有無にかかわらず含む著作物のことである。本許諾書を通じて、「改変」(modification)という用語の意味には翻訳と拡張が含まれるが、この二つに限定されない。「『保護された著作物』」(covered work)とは、『プログラム』か、『プログラム』を基にしたその他の著作物のことである。個々のライセンシーは「あなた」として表現される。
著作物を「伝播」(propagate)するとは、適用可能な著作権法の下で許可を必要とする行為を行うことを意味する。コンピュータ上で実行すること、あるいは私的な改変を加えることは除く。「伝播」には、複製、頒布(改変の有無を問わない)、再許諾が含まれ、またいくつかの国々では他の活動も含まれる可能性がある。
1. ソースコード
著作物の「ソースコード」(source code)とは、著作物に改変を加えるに当たって好ましいと考えられる形式のことである。「オブジェクトコード」(Object code)とは、著作物のソースコード以外の形式を取ったバージョンすべてを意味する。
オブジェクトコード形式の著作物に「『完全に対応するソースコード』」(Complete Corresponding Source Code)とは、その著作物を理解、翻案、改変、コンパイル、リンク、インストール、実行する上で必要とされるソースコードすべてを意味する。ただし、いま列挙した活動を行う上で利用はされるが、著作物の一部ではない汎用のツールは除外される。『完全に対応するソースコード』には、例えば上記の活動をコントロールするために使われるスクリプトや共有ライブラリ、著作物のその他の部分との間の緊密なデータのやりとりやコントロールフローなどのため、その著作物が設計上必要とする動的にリンクされた下位プログラム、そしてプログラムのソースファイルと関連づけられたインターフェース定義ファイルなどが含まれる。
また、『完全に対応するソースコード』には、(おそらくあなたによって改変された)著作物のソースコードを、その著作物の機能があなたの改変によって変えられた部分を除きあらゆる場合において元の著作物のそれと同等であるように、推奨される、または主要とみなされる利用形態でインストール、実行するのに必要な、すべての暗号化または認証コードも含まれる。さらに『完全に対応するソースコード』には、著作物の出力結果を開封ないしアクセスするのに必要なすべての復号化コードも含まれる。上記に関わらず、著作物の利用自体が、通常ユーザが必要なコードをすでに持っていることを暗に示している場合には、そのようなコードを含む必要はない。
『完全に対応するソースコード』には、ユーザが『完全に対応するソースコード』の他の部分から自動的に再生成できるものを含む必要はない。
特別な例外として、以下の場合には『完全に対応するソースコード』に特定の下位ユニットを含む必要はない。そのような下位ユニットとは、(a)同一の下位ユニットが、実行形式が実行されるオペレーティングシステムの重要かつ主要なコンポーネント(カーネル、ウィンドウシステムなど)としてか、実行形式を作成するのに使われるコンパイラか、それを実行するのに使われるオブジェクトコード・インタープリタかの付属物として通常含まれている場合、あるいは(b)(付随的な拡張がある可能性は別として)下位ユニットが、そのシステムコンポーネントかコンパイラかインタープリタでの著作物の利用を可能とするためにのみ機能するか、広く使われている、あるいは標準的なインターフェースを実装するためのみに機能し、その実装が、本許諾書が適用されたソフトウェアにとってすでに広く利用可能とはなっていないパテントライセンスを必要としない場合である。
2. 基本的な許可
本許諾書の下で認められたすべての権利は、『プログラム』に主張される著作権の条項に基づき与えられるものであり、ここで述べられた条件が満たされている限り覆すことはできない。本許諾書は、あなたが『プログラム』を無制限に実行する許可を明示的に肯定する。『プログラム』を実行することによる出力結果は、それが内容として『プログラム』を基にした著作物を構成する場合のみ本許諾書で保護される。本許諾書は、あなたの「フェアユース」またはその同等物の権利を、著作権法によって提供される通りに承認する。
本許諾書は、『プログラム』の私的な改変と実行に無制限な許可を与える。ただし、それはあなたが『プログラム』を基にした著作物を作成、利用、頒布する誰にも対しても特許侵害訴訟を提起しない限りにおいてである。
『保護された著作物』の伝播は、制限なく認められる。ただし、それはあなた以外の当事者がコピーを作成または受領できない限りにおいてである。あなた以外の当事者がそうすることを可能とする伝播は「頒布」として、以下の第4項から第6項で示す条件の下で認められる。
3. デジタル制限管理 (Digital Restriction Management)
フリーソフトウェアライセンスの一つとして、本許諾書は、著作権の主張される著作物をユーザが複製、改変、共有する自由を制限しようとする技術的試みは生来的に疎んずる。本許諾書のそれぞれの条項は、ライセンサーの意図を明白に述べたこの宣言を踏まえて解釈されるべきである。本許諾書の他の条項に関わらず、ユーザのプライバシーを違法に侵害するような『保護された著作物』を頒布することや、『保護された著作物』を実行するユーザが、本許諾書によって認められた法的権利を最大限に行使することを拒否するような頒布形態には、一切の許可を与えない。
『保護された著作物』は、 効果的な技術的保護手段 (effective technological protection measure)の一部を構成してはならない。すなわち、『保護された著作物』をあるデータを生成あるいはアクセスするシステムの一部として頒布するということは、同じデータにアクセスする能力がある他のソフトウェアに対して、少なくとも本許諾書の下での開発、頒布、利用に関する一般的許可を与えたということになる。
4.[1] 逐語的な複製
あなたは、『プログラム』のあなたが受領したのと同じソースコードの逐語的な複製を、いかなる媒体でも複製、頒布してよい。ただしその場合、あなたはそれぞれのコピーにおいて顕著でかつふさわしく、適切な著作権告示を掲載しなければならない。また、すべての許諾告示、あらゆる保証の不在の告示をそのまま保全し、『プログラム』の受領者すべてに、『プログラム』といっしょにこの許諾書のコピーを渡し、そして、第7項に従って『プログラム』の一部に存在する追加的条項のすべてに従わなければならない。
あなたは、コピーを送付するという物理的行為に関して手数料を課しても良い。また、そうしたければ手数料を取って保証保護 (warranty protection)を提供しても良い。
5.[2] 改変されたバージョンのソースの頒布
『プログラム』のコピーを、第2項が示した条件に従って改変し、『プログラム』を基にした著作物を形成した場合、あなたはそのような改変点や著作物を上記第4項の規定に従ってソースコードの形式で複製、頒布することができる。ただしその場合、あなたは以下の条件すべてを満たさなければならない。
- a) 改変された著作物に、あなたが著作物を変更したということと、あらゆる変更の日時を述べた目立つ告示を載せること。
- b) 改変された著作物全体を、全体として、本許諾書の下で、コピーを手に入れた人全員に許諾すること。本許諾書は、下記第7項で許可されているものを除き、改変されることなく著作物全体に適用されなければならない。本許諾書はこの他に著作物を許諾する手段を認めていないが、あなたが別途そのような許諾を得ていた場合には、それによって得られた許可まで無効とするものではない。
- c) 改変された著作物が対話的なユーザインターフェースを有していた場合、適切な著作権告示を表示する便利な機能を搭載し、それによってユーザに対しプログラムには何の保証も存在しないこと(あるいはあなたが保証を提供するということ)、ユーザは改変された著作物をこれらの条件に従って再頒布することができるということ、そして本許諾書のコピーと(もし存在するならば)第7項に合致したその他の条項をまとめた中央リスト (central list)を見るにはどうしたら良いかを伝えること。そのようなインターフェースがメニューのようなユーザコマンドやオプションの一覧を表示する場合、上記の情報を表示するコマンドは目立つように配置されていなければならない。さもなくば、改変された著作物はこの情報を起動時に表示しなければならない。ただし、『プログラム』がそのような対話的モードを持っており、この情報を起動時に表示しない場合は除く。
これらの要件は、改変された著作物に全体として適用される。あなたによって追加されたその著作物における区別可能な一部分が、『プログラム』から派生したものではなく、それ自身として独立の分離した著作物と合理的に考えられる場合、あなたがそれらを『プログラム』と結合させて利用せず、分離した著作物として頒布するならば、そのような部分には本許諾書やその条項は適用されない。しかし、同じ部分を『保護された著作物』と結合させて利用するために頒布する際には、そうした結合がどのような形式で起ころうとも、結合された全体は本許諾書に従って許諾されなければならず、その他のライセンシーに対する本許諾書の許可は完全に全体まで、よって全体のすべての部分へと拡張される。あなたの部分には、第7項で記述されているような限定された方法で、この結合の一部として他の条項が適用されていてもよい。
よって、完全にあなた一人で書かれた著作物に、権利を主張したりあなたの権利に挑戦することがこの項の目的ではない。むしろ、この項の目的は『プログラム』を基にした派生的あるいは集合的著作物の頒布をコントロールする権利を行使することにある。
一巻の記憶装置か頒布媒体の中かその上にある、『保護された著作物』とその他の分離あるいは独立した著作物との編集物は、その本質からして『保護された著作物』の拡張ではない。このようなものは、編集に由来する著作権が個々の著作物が許可する権利を越えて編集物のユーザの法的権利を制限するのに使われない限り、「集積物」(aggregate)と呼ばれる。『保護された著作物』を単にそのような集積物に含めるだけでは、その集積物の他の部分にまで本許諾書が適用されるということにはならない。
6.[3] ソース以外の頒布
あなたはオブジェクトコード形式の『保護された著作物』を、第4項並びに第5項の規定に従って複写、頒布することができる。ただしその場合、あなたは機械読み取り可能な『完全に対応するソースコード』(文中では「対応するソース」) も本許諾書の規定に従って、以下のいずれかの方法で頒布しなければならない。
- a) オブジェクトコードを物理的製品(物理的頒布媒体を含む)で頒布する。その際、対応するソースを、ソフトウェアのやりとりで一般的に使われる耐久性のある物理的媒体でいっしょに頒布する。あるいは、
- b) オブジェクトコードを物理的製品(物理的頒布媒体を含む)で頒布する。その際、最低でも3年、あるいはあなたがその製品モデルに補修用部品やカスタマーサポートを提供する限り有効な、書面による申し出を添付する。その申し出には、全ての第三者に対して、ソースの物理的な頒布にかかる費用の10倍以下の価格で、その製品に含まれるソフトウェアのうち本許諾書で保護されるものすべてに対応するソースのコピーを、ソフトウェアのやりとりで一般的に使われる耐久性のある物理的媒体で頒布する旨を記載する。あるいは、
- c) オブジェクトコードを、対応するソースを提供するという書面による申し出のコピーといっしょに私的に頒布する。この選択肢は特別な場合の非商業的な頒布にのみに、そしてあなたがオブジェクトコードを上記小項bに合致した申し出といっしょに受領した場合にのみに認められる。あるいは、
- d) オブジェクトコードを、指定の場所から複製するためのアクセスを提供することによって頒布し、対応するソースに対しても同じ場所を通じて同じ方法で複製するための同等のアクセスを提供する。受領者が、対応するソースをオブジェクトコードといっしょに複写することを義務づける必要はない。
[オブジェクトコードを複製する場所がネットワークサーバの場合、対応するソースは同等の複製機能をサポートする異なったサーバ上にあっても良い。ただし、あなたはそのサーバの運営者と交渉し、対応するソースを上記の要件を満たすのに必要な期間利用可能にしておくよう、明示的に取り決めておかなければならない。また、オブジェクトコードの傍らに、対応するソースはどこで見つけられるかを明確に指示しておかなければならない。]
この節に合致した対応するソースの頒布は、公衆に仕様が公開されており、特許によって妨げられておらず、展開や読み込みや複製に特別なパスワードやキーを必要としない形式で行われなければならない。
対応するソースには、正式には本許諾書をそのライセンスとして指定していないが、第7項に従い本許諾書に従った著作物に含める資格のある部分を含んでいる可能性がある。
7. ライセンスの両立性 (License Compatibility)
あなたが『プログラム』を基にした著作物を公開するとき、あなたは自らが追加し、あなたが適切な著作権の許可を有しているか、与えることができる部分に対して、そういった部分を保護するあなた自身が定めた条項を含めてもよい。ただし、そういった条項は本許諾書が許可した活動すべてを明示的に許可しているか、本許諾書に従った利用また本許諾書の下での再許諾を許可していなければならない。あなたの条項は別途書かれていてもよいし、本許諾書に追加的な書面による許可を加えたという形でも良い。今述べたような形であなた自身が追加した部分を許諾する場合、そういった部分は分離された形ではあなたの条項の下で利用することができるが、著作物全体としては本許諾書の保護下に留まる。著作物を複製したもの、あるいは著作物を基にした著作物では、あなたの条項を、それらが適用される部分が相当量存在する限り、本許諾書を保全しなければならないのと同様に保全しなければならない。
追加的な許可とは別に、あなたの条項では、限定された種類の追加的要件をあなたが追加した部分に追加しても良い。認められる追加的要件は以下の通りである。
- a) 追加された条項で、ある種の著作権告示や、その他の法的告示、あるいは作者特定(author attributions)の保全を義務づけてよい。また、それらの条項が保護する部分の起源が誤って表示されることがなく、その変更されたバージョンがオリジナル・バージョンとは異なるということがソースコードにおいて、あるいは特定の合理的な手段で印づけられていることを求めてもよい。
- b) 追加された条項で、保証や責任の否認を本許諾書で使われているのとは異なる規定として述べてよい。
- c) 追加された条項で、指定された貢献者の名前の宣伝目的での利用を禁止あるいは制限してよい。また、ある指定の商標は、明示的な許可がある場合を除き、宣伝目的では商標法の下でのフェアユースとして認められた方法でのみ使うことを義務づけてもよい。
- d) 追加された条項で、著作物においてユーザが即座に完全な対応するソースコードのコピーを入手できるようにする機能設備を含むことを義務づけてよい。
- e) 追加された条項で、ソフトウェア特許の報復を課してよい。すなわち、指定の条件に基づき、あなたが追加した部分の利用許可を、ソフトウェア特許訴訟(言い換えれば、あるソフトウェアがある特許を侵害していると主張する訴訟)を提起した当事者に緊密に関連するユーザに対しては完全あるいは部分的に終了あるいは終了させうるとしてもよい。ただしあなたの条件では、報復を以下の二つのケースの部分集合に限定しなければならない。1. 他から起こされたソフトウェア特許訴訟への報復(元が報復への報復である場合を除く)という正当性を欠いた訴訟。2. この著作物の一部、あるいはどこか他でリリースされたが、あなたが追加した部分と一緒にされ、全体としてはあなたの部分にここで適用された条項の保護下にあるコードに対する訴訟。
他の追加的な条件を、あなたの条項として追加してはならない。よって、本許諾書を利用するいかなる著作物にも、他の条件は存在しない。本許諾書はあなたが設けた条項を強制しようとはしないし、それらが正当であるとかあなたによって強制可能であるとか言う主張もしない。単に、あなたがそういった条項を用いることを禁止しないというだけのことである。
他者が著作物を改変した際に、彼らがあなたの部分を改変した場合、彼らはそのような部分の彼らのバージョンを、追加的な許可抜きで本許諾書に従いリリースすることができる。その場合には、追加的な許可の効力が無くなったことに関する告示を含めるか、本許諾書に追加して特定の許可を与えた告示を削除すればよい。こうすれば、あなたの条項によって認められているが、本許諾書自体では認められていない幅広い許可が、彼らの改変点、あるいは彼らの改変の結果として生まれたあなたの部分の改変されたバージョンにまで適用されるということはなくなる。しかしながら、あなたの条項によって追加された特定の要件の方は、あなたの追加した部分から派生したものには依然として適用される。
著作物が本許諾書の以前のバージョンの下での頒布も許可していないかぎり、この節によって著作物に含まれるすべての他の条項は、いっしょにまとめて著作物中の中央リストに列挙されなければならない。
8.[4] 終了
あなたは『プログラム』を、本許諾書が明示的に規定している場合を除き伝播、改変、再許諾してはならない。それ以外に『プログラム』を伝播、改変、再許諾しようとする試みはすべて無効であり、著作権者は誰でも、本許諾書の下でのあなたの権利を、あなたに違反について合理的な手段で通知したときから60日を経過した後ならばいかなる時にも終了できる。しかしながら、コピーや権利をあなたから本許諾書の下で受領した当事者に関しては、彼らが完全に本許諾書に準拠している限り、彼らの許諾まで終了させられることはない。
9.[5] 契約ではない
あなたは、『プログラム』のコピーを受領するために本許諾書を受諾する必要はない。しかしながら、本許諾書以外に、あなたに対して『プログラム』やその他『保護された著作物』の伝播や改変をする許可を認めるものはない。これらの行為は、本許諾書を受諾しないのであれば著作権侵害である。そこで、『プログラム』(か他の『保護された著作物』)を改変あるいは伝播することにより、あなたはそうするために本許諾書とその規定や条件を受け入れたということを示したとする。
10.[6] 下流ユーザへの自動的許諾
あなたが『保護された著作物』を再頒布するたびに、受領者は自動的にオリジナルのライセンサーから、本許諾書、あるいは第7項で導入される追加的条項の対象としてその著作物を伝播、改変する許諾を得る。あなたは、受領者に与えられた、あるいは肯定された権利の行使に対してこれ以上制限を課してはならない。ただし、(著作物の改変に関して)第7項によって認められた、限定された方法による制限はこの対象外である。なお、あなたには本許諾書への第三者による準拠を強制する責任はない。
11. 特許の許諾
『保護された著作物』を頒布する場合、あなたは受領者にパテントライセンスを与え、著作物のどのバージョンを受領した誰にとっても、またいかなるすべてのバージョンの『保護された著作物』に対しても、本許諾書によって認められているか予想されている活動すべて、すなわちインストール、実行、著作物のいずれかのバージョンの頒布、その出力結果の利用を許可することになる。このパテントライセンスは包括的であり、ロイヤルティフリーであり、世界的に有効である。このパテントライセンスは、あなたが『保護された著作物』を頒布した時点あるいは将来において、『保護された著作物』、あるいは『保護された著作物』の合理的に予想される利用によって侵害または違反されるすべてのパテントクレームのうち、あなたがコントロールあるいは再許諾の権利を持つものすべてをカバーする。
もしあなたが、『保護された著作物』があるパテントライセンスに依存するのを知っていながら故意に頒布するならば、下流のユーザを、あなた自身はあなたが得たライセンスで守られた、ありうべき特許侵害クレームから防衛するよう行動しなければならない。
12.[7] 『プログラム』にとっての自由、あるいは死
何らかの条件(裁判所の指令や協定など)があなたに課せられ、それが本許諾書の条件と矛盾したとしても、あなたが本許諾書の条件を免れることにはならない。あなたが、『プログラム』やその他本許諾書によって『保護された著作物』を、本許諾書が課す義務と他の関連した義務を同時に満たすように頒布できないのであれば、結果としてあなたはそれを頒布することは全く不可能である。例えば、パテントライセンスが、直接的あるいは間接的にあなたから受け取ったコピーを持つすべての人によるロイヤルティフリーな再頒布を認めないのであれば、あなたがそれと本許諾書の両方を満たす唯一の方法は、頒布を完全に止めてしまうことであろう。
あなたを特許やその他の排他的権利を侵害するよう誘導することや、その法的な正当性に挑戦することは本節の目的ではない。本節の唯一の目的は、フリーソフトウェアの頒布システムの一体性を保護することにある。多くの人々がこのシステムの一貫した適用を信頼して、幅広い種類のソフトウェアを頒布するという寛大な貢献をしてきたが、彼あるいは彼女がソフトウェアを他のシステムを通じて頒布したいかどうかは作者/ドナー次第であり、ライセンシーがその選択を強要することはできない。
[13.[8] 地理的な制限
ある国において、『プログラム』の頒布や利用が特許やインターフェース著作権かによって制限されていた場合、『プログラム』を本許諾書の下に置いたオリジナルの著作権者は、それらの国々を明示的に除外する地理的頒布制限を付けてもよい。こうすることにより、除外されていない国々の中でのみ頒布は許可される。このような場合、本許諾書は制限を本許諾書の本文に書かれているかのように取り込むものとする。]
14.[9] 本許諾書の改訂されたバージョン
フリーソフトウェア財団は、改訂されたあるいは新しいバージョンのGNU 一般公衆利用許諾書を折りに触れて発行することができる。そのような新バージョンは、その精神においては現在のバージョンと似たものになるだろうが、細部については新たな問題や懸念を解決すべく異なるものになるだろう。
それぞれのバージョンには、区別のつくようなバージョン番号が振られている。『プログラム』において、ある特定のバージョン番号が振られた本許諾書「かそれ以降のいかなるバージョン(or any later version)」が適用されると指定していた場合、あなたは指定の番号のバージョンか、それ以降にフリーソフトウェア財団によって発行されたバージョンのいずれかの規定と条件に従うか選ぶことができる。『プログラム』が本許諾書のバージョン番号を指定していなかった場合、あなたはフリーソフトウェア財団によってかつて発行されたどのバージョンを選択してもよい。
(訳注: 日本語訳のバージョンは日付で管理している。冒頭を見よ。)
15.[10] 例外の要請
『プログラム』の一部を頒布条件が異なる他のフリーなプログラムに取り込みたい場合、作者に連絡して許可を求めよ。フリーソフトウェア財団が著作権を保有するソフトウェアに関しては、フリーソフトウェア財団に連絡せよ。私たちは、時折そのような例外を設けることがある。私たちは、私たちのフリーソフトウェアのすべての派生物がフリーな状態に保たれること、そして一般にソフトウェアの共有と再利用を促進するという二つの目標を鑑みて判断を下すだろう。
無保証
16.[11] 『プログラム』には、適用可能な法で許可されている範囲において何の保証もない。書面で述べられていない限り、著作権者やその他の主体は『プログラム』を「あるがまま(as is)」で、明示的暗示的を問わず、いかなる種類の保証もなく提供する。この保証には、商用可能性や特定目的への適合性の暗黙的保証が含まれるが、これらに限定されない。『プログラム』の質や性能に関するリスクはすべてあなたに帰属する。『プログラム』に問題があると判明した場合、あなたは必要なすべての対応、補修、修正にかかる費用を負うものとする。
17.[12] 適用可能な法において義務づけられるか、書面による同意がない限り、著作権者あるいはその他『プログラム』を上記で許可された通りに改変あるいは再頒布する当事者は、たとえ損害が発生する可能性について事前に通知されていたとしても、あなたに対して損害賠償責任を有しない。ここでの損害には、『プログラム』の利用あるいは利用できないことから発生した一般的、特殊的、偶然的、必然的な損害のすべてが含まれる(データの消失やデータの不正確な解釈、あなたや第三者によって被った、あるいは『プログラム』が他のプログラムといっしょにうまく動作しなかったために引き起こされた損害などが含まれるが、これらに限定されない)。
18. 明確に述べられていない限り、『プログラム』は安全性が極めて重視されるシステムでの利用はテストされていない。
規約と条件はここまで
あなたの新しいプログラムにこれらの条項を適用するにはどうしたらよいか
あなたが新しいプログラムを開発し、それが公衆によって利用される可能性を最大にしたいならば、そのプログラムを誰もが上記の条項に従って変更でき、また再頒布もできるフリーソフトウェアにするのが最善の方法です。
プログラムをフリーソフトウェアにするには、以下の告示をプログラムに付けてください。保証の除外を最も効果的に伝達するため、ソースファイルのそれぞれの冒頭に告示文を掲載するのが最も安全です。また、それぞれのファイルは少なくとも「Copyright」の行と、告示の全文が見つかる場所へのポインタを 含んでいなければなりません。
<one line to give the program’s name and a brief idea of what it does.>
Copyright (C) <year> <name of author>
This program is free software; you can redistribute it and/or modify it under the terms of the GNU General Public License as published by the Free Software Foundation; either version 3 of the License, or (at your option) any later version.
This program is distributed in the hope that it will be useful, but WITHOUT ANY WARRANTY; without even the implied warranty of MERCHANTABILITY or FITNESS FOR A PARTICULAR PURPOSE. See the GNU General Public License for more details.
You should have received a copy of the GNU General Public License along with this program; if not, write to the Free Software Foundation, Inc., 51 Franklin Street, Fifth Floor, Boston, MA 02110-1301 USA
(訳:
<プログラムの名前と、それが何をするかについての簡単な説明。>
Copyright (C) <西暦年> <作者の名前>
このプログラムはフリーソフトウェアです。あなたはこのソフトウェアを、フリーソフトウェア財団によって発行されたGNU 一般公衆利用許諾書(バージョン3か、希望によってはそれ以降のバージョンのうちどれか)の条項に従って再頒布または改変することができます。
このプログラムは有用であることを願って頒布されますが、*保証は全くありません*。*商業可能性*の保証や*特定の目的への適合性*は、言外に示されたものも含めて全く存在しません。詳しくはGNU 一般公衆利用許諾契約書をご覧ください。
あなたはこのプログラムと共に、GNU 一般公衆利用許諾書のコピーを一部受領したはずです。もし受け取っていなければ、フリーソフトウェア財団まで請求してください(宛先は Free Software Foundation, Inc., 51 Franklin Street, Fifth Floor, Boston, MA 02110-1301 USA)。
)
電子または紙のメールであなたに問い合わせる方法についての情報も書き加えましょう。
プログラムが端末において対話的なものならば、対話モードで起動した際、出力として以下のような短い告示が表示されるようにしてください:
Gnomovision version 69, Copyright (C) year name of author
Gnomovision comes with ABSOLUTELY NO WARRANTY; for details type ‘show w’. This is free software, and you are welcome to redistribute it under certain conditions; type `show c’ for details.
(訳:
Gnomovision バージョン 69、Copyright (C) 西暦年 作者の名前
Gnomovision は*全くの無保証*で提供されます。詳しくは「show w」とタイプして下さい。これはフリーソフトウェアであり、ある条件に従って再頒布することが奨励されています。詳しくは「show c」とタイプして下さい。
)
ここで、仮想的なコマンド「show w」と「show c」 は一般公衆利用許諾書の適切な部分を表示するようになっていなければなりません。もちろん、あなたが使うコマンドを「show w」 や「show c」と呼ぶ必然性はありませんので、GUIのインターフェースならば、「…について」というようなアバウト・ボックスにしても結構です。
またあなたは、必要な時には(プログラマーとして働いている場合は)あなたの雇用主、あるいは場合によっては学校から、そのプログラムに関する「著作権放棄声明(copyright disclaimer)」に署名してもらうべきです。以下は例ですので、名前を変えてください:
Yoyodyne, Inc., hereby disclaims all copyright interest in the program `Gnomovision’ (which makes passes at compilers) written by James Hacker.
<signature of Ty Coon>, 1 April 1989
Ty Coon, President of Vice
(訳:
Yoyodyne社はここに、James Hackerによって書かれたプログラム「Gnomovision」(コンパイラにパスを起こすプログラム)に関する一切の著作権の利益を放棄します。
<Ty Coon氏の署名>、1989年4月1日
Ty Coon、副社長
)
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この一般公衆利用許諾書では、あなたのプログラムをプロプライエタリなプログラムに取り込むことを認めていません。あなたのプログラムがサブルーチンライブラリならば、プロプライエタリなアプリケーションとあなたのライブラリをリンクすることを許可したほうがより有用であると考えるかもしれません。もしこれがあなたの望むことならば、 本許諾書の代わりにGNU 劣等一般公衆利用許諾書 (GNU Lesser General Public License)を適用してください。