サーバ仮想化の市場は過大に評価されている?

 米国マサチューセッツ州の調査会社セージ・リサーチが、企業のIT購入担当者を対象に8月に実施した調査によると、2007年中にサーバ仮想化技術を導入する予定だとする回答は38%に上るという。しかし、同社では、実際に導入する組織の割合はその半分程度の20%弱にとどまると予測している。

 セージで技術研究部門責任者を務めるクリス・ニール氏によると、こうした数字をあらかじめ予測できるのは、必要な資金を組織から得られるかどうかわからないといった意思決定者の力が及ばない要因を想定しているからだという。

 今回の調査は、500名以上の従業員を抱える企業のIT導入の意思決定者256人を対象に行われた。サーバ仮想化をすでに利用しているか、あるいは同技術に関心を持っている組織に導入目的を質問したところ、大半の回答者がサーバの効率および稼働率の向上(84%)、データセンターのコスト削減(72%)を挙げたという。

 サーバ仮想化のこうしたメリットは、今日のマーケット・リーダーであるVMwareが恒常的に唱えているマーケティング上の「お題目」が成功を収めた結果と言えるかもしれない。

 一方、ユーティリティ・コンピューティングへの移行を進める手段として、サーバ仮想化に興味を持っていると答えたのは28%にとどまっている。なお、「複数のOSをサポートするため」との回答は45%、「処理能力を向上させるため」との回答は51%だった。

 コスト削減と効率化という、基本的な目的以外の事柄に対する関心の低さと相まって、サーバ仮想化に続く先進的な技術にもあまり注目は集まっていない。

 Intelの「VT」やAMDの「AMD-V」といったチップによってサポートされる仮想化技術を「よく知っている」と答えたのはわずかに18%。また、ハードウェア仮想化技術か、あるいは「Xen」「Open VZ」「Virtual Iron」などのオープンソース仮想化ソフトウェアのどちらかを「よく知っている」とする回答も、全体の3分の1にとどまった。

 こうした調査結果について、ニール氏はVMwareを脅かす新興企業の影響力は、技術系のマスコミがさかんに報じているよりも小さいことを意味していると指摘する。

 「技術の普及過程でしばしば見られるパターンと同じだ。それは、草創期に大いにもてはやされ、その後あまり大きな動きが見られなくなり、数年経って売上げが伸びるというパターンだ。仮想化技術も例外ではない」

 ニール氏によると、今回の調査では、新技術を積極的に研究し、評価に努めている人は多いとは言えず、現時点では初期の試験的な購入が大半を占めているという。

(エリック・レイ/Computerworld オンライン米国版)

提供:Computerworld.jp