Linspireによる一般ユーザ向けCNRサービスの無料化
今回の変更は、Linspireおよびそのフリー版であるFreespireのすべてのユーザが“ワンクリック”形式によるソフトウェアのインストール、アンインストール、アップデートが行えるようになったことを意味する。Linspire社のスタッフによると、同社がCNRで目指している目標の1つは、オープンソースソフトウェアのインストールと管理を簡単化して、あらゆるレベルのユーザが利用できるようにすることだとのことである。
「CNRを利用することでLinuxユーザは、時間の節約と生産性の向上を果たせるはずです」と、Linspire社のワールドセールス/マーケティング担当副社長を務めるLarry Kettler氏は説明する。「それなりに上級のLinuxユーザとなるとCNRの必要性に懐疑的になるかもしれませんが、CNR Warehouseを検索すればユニークなLinuxアプリケーションやパッケージが見つかるはずであり、これらをダウンロードしてインストールするのもワンクリックで済むのですから、その有用性は分かって頂けるでしょう」。
同社による今回の改訂には、Linuxをメインのオペレーティングシステムとして利用するユーザ数を拡大させる意図もあるとのことだ。
CNRには、LinspireおよびFreespireユーザがLinuxソフトウェアのインストール、管理、アップデートをする際に必要となるであろう、多彩なパッケージ群が収録されている。実際にCNR Warehouseから入手可能なパッケージを見てみると、デスクトップ用の機能拡張や各種ブラウザを始め、Webオーサリングや開発用ツールなど、収録数は2,000を超えている。またオプションとしてプロプライエタリ系パッケージも用意されており、CodeWeaverのCrossOver Office、Win4Lin Pro、DVDプレーヤ、その他にいくつかの商用ゲームなども追加料金を支払うことで入手できる。
同社は今後も“Gold”レベルサービスを年間費用49.95ドルにて継続してゆく計画であり、このサービスを利用すると、プロプライエタリ系ソフトウェアの割引購入を始め、これらのテクニカルサポートや各種の特典を入手することもできるという。またセキュリティ関連のアップデートについては、サービスレベルを問わず、すべてのユーザが利用できるようにするとのことである。
フリーサービスの利用を希望するLinspireおよびFreespireユーザは、各自の電子メールアドレスを登録してフリーアカウントを作成すればよい。また過去60日以内にBasic CNR Serviceの権利を取得したカスタマに関しては、自動的にGold Serviceへの無料アップグレードが行われるとのことである。
Linspire社のスタッフは、今回のBasic CNR Serviceの無料化の目的について、Linuxソフトウェアの利用障壁の緩和も意図していると説明している。また今回の決定には、Linspire用“CNR Gold”サービスの成功も関係しているとのことだ。実際Kettler氏によると、「オンラインでの“クリック購入”形式によるアプリケーション販売および“CNR Gold”などの有料プレミアムサービスの需要が大幅に高まったため、Basic CNRについては無料サービスで運営していける余裕が生じた訳です」ということになる。
こうした大規模ソフトウェアリポジトリへのフリーアクセスについては、各種の競合Linuxディストリビューションが既に実行しているものであり、Linspire社にとって今回の改訂はライバルと同じ土俵に登ったことも意味するのである。具体的には、Ubuntu、Fedora、Debian、Gentooなど多数のLinuxディストリビューションがアップデートや新規パッケージに関するフリーアクセスを提供しており、その際に使用するツールとしては、APT、Yum、Synapticなどが知られている。
なおLinspire社は、本年後半においてCNRクライアントのオープンソース版であるCNR7をリリースすることを計画しているが、その背景には、ソフトウェア開発者によるLinuxデスクトップ用アプリケーションの開発を後押しする意図があるという。またCNR Warehouseに関しても、新規製品を始め、既存の製品に対するアップデート、拡張版ユーザインタフェースを追加する方向で改装されるとのことだ。
「CNRは今でも頼もしい存在ですが、CNR 7および改装版Warehouseの登場で、より一層の進歩を遂げるはずです」とKettler氏は語る。