オープンソースのビデオ・キャプチャーを使った技術サポート

ベルギーに住み進取の気性に富んだ若きコンピュータ技術者Bram Biesbrouckが、旧来のヘルプデスクに新風を吹き込んでいる。もう、電話やインスタント・メッセージを介して手順を1つずつ指示しながら解決するというウンザリする方法はいらない。これからは、captorials.comにあるスクリーン・キャプチャー・ビデオを共に見ながら問題の解決法を質問者に説明できるのだから。しかも、スクリーン・キャプチャー・ビデオを制作するソフトウェアScreenKastを提供し、そのビデオを同サイト上で共有しようと提案している。

ScreenKastは、スクリーンをリアルタイムに取り込み記録するlibinstrudeoというライブラリと、それを使ったKDEベースのGUIから構成されている。そして、コンピュータの使い方で躓いているユーザーを支援しているほかの技術サポートにもビデオを利用してもらおうと、ScreenKastを使って作った解説ビデオを集めるためのサイトcaptorials.comを立ち上げた。Biesbrouckに言わせると、これもオープンソース・コミュニティー・モデルだそうだ。「ソフトウェアだけでなく(これは当然)、サービス自体もオープンソースにしたんです。ビデオを作り、他の人に使ってもらえるように」

captorials.comに登録されているビデオは誰でも見ることができるし、知りたいことを説明するビデオがなければリクエストもできる。「デスクトップの背景を変える方法」や「ファイルをUSBストレージ・デバイスにコピーする方法」などがすでにあり、「libinstrudeoをUbuntuにインストールする方法」というのもある。このビデオには、筆者がこのライブラリーを初めて設定したときに遭遇したエラー「gcc compiler missing」が出てくる。あらかじめこのビデオを見ておけばコードを設定しコンパイルする前にインストールしておくべきパッケージ(結構な数がある)が分かり、ウェブを検索する時間が少なくとも1時間は短縮できるだろう。

Biesbrouckがオープンソースに関心を持ったのはゲント大学に在学していたときだったという。「担当教授がLinuxとオープンソース・ソフトウェアについて話してくれたんです。2000年だったと思います。それで、Richard Stallmanの書いたものを読み始め、続いて古典(「伽藍とバザール」など)も読みました。オープンソース界の人たちや哲学には衝撃を受けました」

2005年に卒業後ウェブ開発会社を起こしたが、本当は、Linuxなどのオープンソース・ソフトウェアの使い方を知りたい人を支援したかったのだという。そして、ほどなく自由時間の「100%」をScreenKastプロジェクトに費やすようになった。

Biesbrouckは、ソフトウェアとサービスの有料化はしないがcaptorials.comサイトに広告を載せて多少の資金を得ようと考えているという。「いずれ、ビジネスレベルのサービスとしてヘルプデスクの『ビデオ版』を制作する支援をしたいんです。全く新しい事業なので、まずは勉強をしないと。でも、それが最終目標です」

今のところ、captorials.comのビデオ制作者はBiesbrouckだけだが、状況はすぐに好転するだろうという。「ScreenKastとlibinstrudeoの構築システムがリリースのときに壊れたため、コンパイルで問題が多発していました。それを改修し、昨日、ScreenKast 0.1.2をリリースしましたから、これからはビデオが登録されると思います」

NewsForge.com 原文