FreeDOS死亡の噂は大げさ

オープンソースのMS-DOSオペレーティングシステム・プロジェクトFreeDOSの作者Jim Hallは、プロジェクトの作業がこのところスローダウンしているかもしれないが、タオルを投げるつもりはないと語った。実際、今月末にはバージョン1.0がリリースされると、彼は期待している。

FreeDOSプロジェクトの着想が生まれたのは、1994年にMicrosoftがリリース予定のWindows 95を最後にMS-DOSのサポートを終了すると発表したときだった。DOSユーザグループで交わされた議論を受けてHallが基本的なユーティリティコードを書き、FreeDOSプロジェクトが誕生した。Hallは、DOSのパブリックドメイン・バージョンを作る意向を表明し、間もなくこれにほかのコーダが協力を申し出た。FreeDOSプロジェクトはそれから12年間を1.0リリースに向かって着実に歩み続けたが、ここ数か月間は足踏み状態となり、Hallを焦燥と失望に追いやった。彼によると、性格の食い違いと中傷の応酬でプロジェクトの開発者は燃え尽きてしまったという。「中傷の応酬に陥る可能性はどのオープンソース・プロジェクトにもありますが、FreeDOSは小さなプロジェクトなので影響は大でした」と、Hallは説明する。

2週間前、HallはFreeDOS.orgのDNSエントリを変更してSourceForgeのサーバを指すようにした。「1週間後、古いwww.freedos.orgへのトラフィックがほとんど無くなった…ように思ったんです」と、Hallは振り返る。「ちょっとした”お遊び”のつもりで、まだ古いサイトにアクセスしている1人か2人に向けて”FreeDOSは死んだ”とメッセージを投稿したんです」間もなくHallのもとにはプロジェクトをなぜ殺したのか問い合わせる電子メールが届き始めた。そこで、彼はすぐにそのページを書き換えたが、噂は広まってしまう。「FreeDOSは死んだ」と。

まったく事実に反すると、彼は言う。

「まさに今、”1.0″を7月末までに公開したいと思っているところですからね」進捗のペースは鈍り、5月以降は報告するような新しいニュースもなかったものの、FreeDOSプロジェクトの息の音を止めようとしているのは自分だと思った開発者から協力再開の申し出があったことから、Hallは意欲を取り戻した。最近のプロジェクトの停滞に意気消沈していたことを、彼は認める。プロジェクトはこの6月28日で12年目を迎えた。

「6月28日にコンピュータに向かって、”ハッピーバースデー、FreeDOS”のニュースを書き、これまでの長い歩みと、FreeDOS ‘1.0’がリリースされる日がいかに素晴らしいものになるかを語ろうとしました。ですが、なにも”ハッピー”じゃないと悟って、”切れて”しまったんです。”1.0″を待つなんて、もう止めだと。で、代わりに書いたのが”FreeDOSは死んだ”というジョークでした」”愚かな”ことをしたと彼は言うが、これがきっかけでプロジェクトの開発者が関心を取り戻し、それがさらにHallを勇気付ける結果になったのである。

「(それ)以降、FreeDOSコミュニティからの反応にはとても喜んでます。バカなことをしましたが、私たちはそれを受け入れて、前進し、今ではFreeDOS開発者は活気を取り戻して”1.0″リリースに本腰入れるところまで来ました。そう、もし今回のことに良い産物があるとしたら、これがそうです。”1.0″のためにみんなが協力するのを見ることは、FreeDOS開発への熱意を取り戻すために私が必要としていたもののようです。FreeDOSの成功を待ち望む人がいることを思い出させてくれました。気合が入りますね。またゲームに戻りますよ!」

バージョン1.0のリリースが視界に入ってきた今でも、Hallは未来に目を向けている。「MS-DOSの枠を打ち壊して、DOSが意味するものを広げる作業に取りかかりたいと真剣に考えています。FreeDOS-32は、その方向にあるものです」Hallは、マルチタスク処理やフラット・メモリの機能を取り入れるプランを語った。「それと、Linuxなどの最新オペレーティングシステムで認められた高度な機能の代わりに利用されるようになるユーティリティが増えることも期待してます」LinuxユーザがFreeDOSを気軽に使うようになることを、Hallは望んでいる。また、Macユーザにも利用して欲しいと思っているが、Macユーザの求めるものが強力なGUIだということは、彼も理解している。

ただし、こういった機能強化はいずれ実現されると、Hallは言う。「”1.0″を世に出せば、”浮世離れ”したものに取りかかれます。FreeDOSの未来はまだ明るいですよ」

NewsForge.com 原文