VMwareはリソース消費が多く効率が悪い ─ SWsoftのCEOが痛烈に批判

 米VMwareの仮想化ソフトウェアは、競合製品を大きく引き離して市場シェア首位を独走しており、サーバ統合プロジェクトのプラットフォームとして急成長している。しかし、仮想化専業ベンダーの米SWsoftのトップは、「リソース消費が多すぎ、動作が遅いうえに、コストがかかりすぎる」と、強く批判している。

 仮想化製品「Virtuozzo」を販売するSWsoftのCEO、サーゲイ・ベルソブ氏は、仮想マシン(VM)間でのOSの共有が可能なVirtuozzoによる仮想化は、顧客が1台のサーバ上により多くのVMを作成でき、管理が容易で、運用コストも少ないため、VMwareのアプローチよりも優れていると自信満々にアピールする。

 ベルソブ氏は、Virtuozzoはアナリストのリポートにおいて、数少ないエンタープライズ仮想化製品の中でVMwareに次ぐ2位にランキングされていると主張する。同氏によると、VMwareの主力製品のESX Serverは、TCO(所有総コスト)とハードウェア・コストの両面で莫大なコストを強いるという。これはESX Serverの動作の仕組みに起因しているとベルソブ氏は指摘する。

 ESX Serverによる仮想化では、各VM上でOSが動作するため、各OSの管理やパッチ作業、定期的な更新が必要になるとベルソブ氏は説明する。VMの数が増えるほど、こうした管理コストも増大するという。

 「1,000台のサーバにそれぞれ20のVMを稼働させるとしたら、20万ものOSインスタンスを管理しなければならない。しかし、Virtuozzoであれば、管理するOSの数は1,000で済む」(同氏)

 またベルソブ氏は、ESX Serverを使って1台のサーバで10のVMを稼働させようとしたが、ハードウェアの費用がかさみ、コストがかかるために断念したという顧客の事例を紹介した。「こうした仮想化の場合、メモリやプロセッサを増強すると、ストレージとネットワークのコストを含めてサーバ当たり4万〜5万ドルものコストがかかることがある」と同氏は指摘する。

 ベルソブ氏は、Virtuozzoはこうした問題とは無縁だと主張する。「企業は物理サーバの無秩序な増加に対処するために仮想化の導入に乗り出したが、今度はOSの無秩序な増加という問題にぶつかっている。われわれの製品はこの問題を解決する」

 Virtuozzoによる仮想化では、複数のVMが1つのOSカーネルを共有できる。1つのカーネルしか動作しないため、ハードウェアや保守のコストが抑えられるというのだ。

 ただ、この説明を裏付ける具体的なデータはほとんどない。この説明の根拠は、「必要なOSカーネルが1つであれば、リソース消費が少なくなるため、1台の物理サーバ上により多くのVMを稼働させることができ、管理に要する時間も少なくなる」という常識論だ。

 また、VMware製品ではOSの選択肢があるが、Virtuozzoでは、どのVMも同じOSカーネルが動作する。この点について、ベルソブ氏はほとんどの企業は1つの仮想化プラットフォーム上で同じOSを使用する傾向があり、問題にはならないと指摘している。

 「企業は実環境ではWindowsとLinuxといった2つのOSを組み合わせようとはしないのではないか。ただ、パフォーマンスやセキュリティが重要視されないテスト環境や開発環境では、さまざまなOSを選べるVMware製品のほうが優れていると思う」(同氏)

 これに対し、VMware側は、自社のアプローチのほうが堅牢だと主張している。Virtuozzoでは、OSカーネルに障害が発生すると、すべてのVMが機能しなくなってしまう。VMwareのESX Serverではこうした問題は決して起こらない。VMごとに専用のOSがVMwareハイパーバイザ上で動作するからだ。

 なお、ベルソブ氏は、VMware製品はパフォーマンスも弱点だと指摘している。「VMware製品はI/O処理が多くなり、そのオーバー・ヘッドは当社製品の5〜10倍に上る可能性がある。だが、VMware製品のライセンス契約では、パフォーマンス比較を公表できないことになっているため、この弱点は一般には知られていない」

(マネク・ドゥーバーシュ/Techworld.com)

米SWsoft:http://www.swsoft.com/