「B2Bサイトはなぜ成功しないのか」──米国の調査機関が原因を分析

B2B(企業間)電子商取引のWebサイトは、B2C(一般消費者向き)電子商取引のWebサイトよりも多額の利益を得られるはずだ。しかし、米国サンフランシスコに拠点を置く調査機関のニールセン・ノーマン・グループによると、顧客満足度という点では、B2BサイトのほとんどがB2Cサイトに比べてはるかに劣っているという。

 同調査機関の報告書は、B2Cのサイトを使用する人の満足度が66%であるのに対して、B2Bのサイトを使用する人の満足度が58%にとどまっており、B2Cサイトに大きく引き離されていると報告している。

 同報告書をまとめた1人であるジャコブ・ニールセン氏は、「調査したB2Bサイトの多くは、ユーザーに対して時代遅れの対応をとっており、この2年の間、より迅速な対応や検索重視というWebの進化に対応できていない」と指摘する。

 「B2Bサイトのマーケティングは、きわめて古い手法のまま行われている。その多くは、誇大妄想的なスローガンを掲げ、製品情報を開示しておらず、製品価格すら提示していない。こうしたサイトのほとんどは自らの世界観を押し付けており、顧客が望んでいるものとはほど遠い」

 さらにニールセン氏は、Webにおける企業と顧客の関係が逆転したことにB2B企業は気ついておらず、需要主導型のWebサイトが多いという現状や、ユーザーが望むものを与えなければ見捨てられ、競合サイトへと乗り換えられる事実を理解していないと強調する。

 同社は、こうしたB2BのWebサイトが直面する問題の解明に向け、さまざまな調査手法を適用した。例えば、ビジネス利用での購入過程における範囲やB2Bサイトに求められるものなどについては、12種類のフォーカス・グループ法が用いられた。

 このほか、200近くのB2Bサイトを利用するビジネスの専門家55名に対して、サイトでの行動や検索したい内容について検証を行った結果、次の4つの問題が判明したという。

  • Webサイトのデザインが悪い(製品情報が不十分であると、そのベンダーに対する評価が低くなる)
  • コンテンツが膨大かつ複雑で、ユーザーに混乱を与える
  • ナビゲーションの構造が複雑で、ユーザーを苛立たせる可能性がある
  • 押しつけがましいマーケティング戦略によって、ユーザーに不快感や不信感を引き起こしている

 今回の報告書は、特に製品価格の情報がない点について、非常に大きな問題だと指摘している。多くのB2Bサイトにおいて、ユーザーに最も不親切な要素として挙げられたのが、まさに製品価格が表示されていないことだった。製品価格こそユーザーが最も求めている情報であり、最も得られない情報でもあるということになる。正確な価格が提示できなくても、価格帯を示すだけで販売プロセスは前進すると見られる。

 また、登録フォームを入力するよう要求するB2Bサイトの戦略も敬遠される要素の1つであるという。ニールセン氏は、信頼関係を構築してからでないかぎり、ユーザーは連絡先を教えたがらないと指摘する。

(リンダ・ローゼンクランス/Computerworld オンライン米国版)

米国ニールセン・ノーマン・グループ:http://www.nngroup.com/

提供:Computerworld.jp