ソフトバンクIDC:バックボーン増強と新宿データセンター改修で飛躍のステージへ

 ソフトバンクIDCは、ソフトバンクが100%出資するデータセンター専業会社であり、ソフトバンクグループのブロードバンド事業展開においても重要な一翼を担う注目企業だ。同社はその前身であるケーブル・アンド・ワイヤレスIDCの時代より、旧ピーエスアイネットやエクソダスなど、外資系データセンターのサービスを吸収し、国内有数のデータセンターに規模を拡大して現在に至っている。昨年10月にはアバヴネットジャパンを合併するなど、その成長の速度は衰えることを知らない。

 ソフトバンクグループの一員となってから認知度は向上し、ベンダーとの協業体制も確立された。インバウンドも増加し、大規模案件の引き合いも急増している。 同社は、統合によって単に企業としての規模を拡張するのではなく、それぞれの会社が得意としていた高品質なネットワーク、高度なセキュリティー、および堅牢なファシリティーを取り込んできた。そのため、現在運営する全国に9箇所ある各データセンター(うち7箇所が首都圏、2箇所が大阪)もそれぞれの特長を持っている。  例えば、日本橋データセンターには複数のIXが設置されており、そのネットワーク的な優位性は非常に高い。また、多くの有資格技術者を抱えている有明データセンターは、きめ細かなマネージドサービスで顧客の高い評価を得ており、「データセンターへ入館する必要すら感じない」との声も聞かれるという。

24時間止まらないビジネスを可能にする、ソフトバンクIDCのデータセンター(クリックで拡大)

大容量バックボーンとOneデータセンター

 ソフトバンクIDCは、来るべきブロードバンド需要の本格的な拡大に対応するため、大規模なバックボーン増強を行う。 今年4月、同社の都内のデータセンター間はダークファイバーで接続され、すべてのデータセンターが20Gbpsで結ばれる。同時に全国9箇所のデータセンターを結ぶ、総容量65Gbpsという大容量バックボーンが完成するのだ。 強力なバックボーンを持つデータセンターを利用するメリットは大きい。ソフトバンクIDCのデータセンターを利用するユーザーは、別々の場所にあるデータセンターでサーバーを運用していても、あたかも1つのデータセンターを利用しているかのように、立地を意識しないデータセンターの利用が可能、すなわち“Oneデータセンター”としての利用が可能になるのだ。

大幅に機能アップする新宿データセンター

 ブロードバンド市場の拡大やネットビジネスの進展により、インフラであるデータセンターの需要は拡大の一途をたどっている。また、オフィスからのアクセスといった利便性などの観点から、都市部のデータセンター需要はひっ迫している。この需要に応えるために、ソフトバンクIDCは新宿データセンターを大改修し、ハウジングフロア面積を拡張すると共に、電力・空調能力を大幅増強するという。都心という最高のロケーションに一大データセンターが完成する。新宿データセンターがブロードバンドの中心地となることは確実だ。

長年の実績に裏付けられた確かな運用技術力

カスタマーポータル
同社のサポートウェブサイト「カスタマーポータル」

 ソフトバンクIDCには、長年のデータセンター運用実績と経験を通して、データセンター利用のベストプラクティスが集積されている。データセンターを利用するうえでの、最適なラックマウント方法やネットワーク設計に関するコンサルティングといったことから、トータルな運用アウトソーシングにも対応する実績とノウハウがあるのだ。そして、その蓄積されたノウハウを、お客様の声を反映して、現状に満足せず常にレベルアップさせている。サービス利用顧客に使いやすいと評価されているサポートウェブサイト(カスタマーポータル)では、各種レポーティングサービスに加え、ドメイン取得やDNS変更、入館申請、オプションサービスの申込みも行える。

顧客視点に立ったデータセンターソリューション

ソリューション事業本部取締役本部長
磯部 眞人 氏

 「システムのコストパフォーマンスを考える際、設備投資額ばかりに目がいきがちですが、運用フェーズにおけるランニングコストをどのように捉えるかということが非常に重要です。お客様のシステムをデータセンターに集約して運用することで、電力やスペースといった潜在的な運用管理コストまでを含めたTCO削減が図れます。さらに、当社ではメーカーやベンダー等との連携・協業を通じて、よりトータルな形でコスト最適化を実現するモデルを提案していきます。」(磯部氏) 同社はこのような対応としてEasy Order Packというサービスを開始している。SIベンダーなどとのパートナーリングにより、ソリューション構築に必要なサーバー、ネットワーク、セキュリティを最短1日で一括提供し、リードタイムや派生的な稼動負荷を抜本的に削減する。 常に顧客視点に立ったデータセンターサービスのあり方を考えているというソフトバンクIDCならではの取組みだ。

次世代データセンターへ向けて

 同社の目標は、質・量ともにNo.1のデータセンターを目指すことだ。それは、同社の技術力、運用ノウハウ、ブランド力を動員すれば難しいことではない。そして、No.1を目指すゆえに、その先にも目を向けている。5年後にはデータセンターのあり方は大きく変化してくることが予想される。そこに向けて、現在、CPUやストレージ、サーバーなどの各ベンダーの製品開発のロードマップを意識しながら、最新技術に関して意見交換を行い、次のステージへ向けた研究開発を行っている。 爆発的に拡大するであろうブロードバンド環境とコンピューティングパワーをまかなうためには、従来の設備では対応が難しく、リソースが足りなくなる。そこで、既存のデータセンターの枠組みを越えた「次世代データセンター」を考えていく必要があるのだという。 すでに同社では、この「次世代データセンター」へ向けた実験や検証を開始している。

 規模、コスト、スピード、先進性、ブランド力、そして運用ノウハウと、ユーザーから見て数々の魅力を備えたソフトバンクIDCは、今後も数々のデータセンター事業者の中で中心的な存在であり続けるだろう。

大容量バックボーン お問い合わせ

ソフトバンクIDC ロゴ
ソフトバンクIDC株式会社
03-4354-0011
service@sbidc.jp
今春、ソフトバンクIDCはソフトバンクグループのバックボーンの上に総容量65Gbpsの独自ネットワークを構築、同社の全国9箇所あるデータセンターを接続する。これにより、例えば複数のデータセンターにサーバーリソースが分散していても、あたかも1箇所のデータセンターを利用しているかのように、物理的な制約を超えた拡張が行える。バックアップ機能の向上、災害時における事業継続など、データセンターの利用方法が高度化する。