インタビュー:Red Hatによるオープンソース奨学金コンテスト
NewsForge(以下、NF): この制度の経緯について教えてください。
Venkatesh Hariharan氏(以下、VH): このプログラムは、2003年に(Red HatのCEO兼社長)Matthew Szulik氏がインドを初めて訪れた際にKReSITの創設者D. B. Phatak博士と協議したことに端を発しています。2人の共通の目的は、インドの学生に全世界のオープンソースコミュニティへの貢献を奨励し、コミュニティと協力、そして知的資産の共有というオープンソースの理念を知ってもらうことでした。
NF: Red Hatのオープンソース奨学金コンテストが、Google Code Jamのような、インドで応募できるほかのコンテストと異なる点はどこですか? また、同じような制度をRed Hatはインド以外の地域でも行っていますか?
VH: Red Hat Scholarshipの場合は、大学の履修要件の一部として学生たちが毎年行うソフトウェア開発プロジェクトをうまく利用して、オープンソースコミュニティへの道を彼らに開くという考え方を取っています。また、彼らにオープンソースコミュニティとの人脈を持ってもらうこともねらっています。これにより、学生たちは、意義深い現実のプロジェクトに携わり、社会に貢献することができます。また、我々は、Linuxでのアプリケーション開発やJavaプログラミングなどの技術的な問題についてのチャットセッションを行っており、彼らの知識の増強に役立っています。
Red Hatがこうしたプログラムを実施するのは世界中でもこの取り組みが初めてです。最初の2年ではインドを対象に行いました。インドだけでもかなりの規模になります。3年目になって対象をインド半島地域全域に拡大したところ、ブータンやネパール、スリランカなどからもプロジェクトの提案が届きました。
NF: 学生は、既存のプロジェクトに取り組むのですか、それとも自分たちでプロジェクトを立ち上げるのですか? そのあたりのことが、取り組むべき課題のリストには明示されていないのですが。
VH: プロジェクトの選択は学生たちに委ねられ、我々はただ提案をするだけです。毎年、多くの学生がプロジェクトの選択にあたって我々に手助けを求めてきます。そのため、幅広い題材を提示すると共に、ボランティアを探しているオープンソースプロジェクトの一覧も用意しています。
NF: 審査が終了した後、プロジェクトはどうなりますか? 誰がそのソフトウェアを管理するのですか。たとえば、前回の優勝者が手がけたプロジェクトは現在どうなっていますか?
VH: 前年度のプロジェクトの参加者たちには、開発作業を継続していくために、次の年は指導の役割を引き受けてもらえるようにお願いしています。大学の情報システムを開発して賞を獲得したチームの1つは、その商品化のために会社を設立しました。こうしたプロジェクトにはSourceForgeやSarovar.orgのようなコミュニティのWebサイトへの参加を求め、プロジェクトのメンバには次年度のチームの指導を依頼します。
NF: このプログラムはどのような形で実施されますか? すべてをWeb上で行うのか、それとも、どこかの段階で審査員が参加者に直接面談を行ったりするのですか?
VH: 1,750の工科大学、300,000人もの学生たちがいるので、参加者に直接会うのは困難です。幸いにして、Webでは、共同ポータル上のチャットセッションおよびディスカッショングループの形で連絡を取り合うというスケーラブルな方法が利用できます。
NF: 「プログラム参加者の支援のために」という奨学金コンテストの規則には、ツールおよびソフトウェアプログラムのオンラインサポートやダウンロードサイトが提供されることが述べられています。具体的にはどのようなものですか?
VH: 学生たちには、FedoraやEclipse、JBossのような、オープンソースのプラットフォームおよび開発ツールの使い方に習熟してもらいたいと考えています。
NF: Red Hatが開発されたコードのライセンスの決定に責任を負うのはなぜですか? 学生が特定のライセンスを決めてはいけけませんか? それは学生にとって不利益にはならないのですか?
VH: 学生たちが好きなようにライセンスを決定できるように、我々はこのやり方を変えようとしています。我々としてはGeneral Public License(GPL)を推奨するのですが、Open Source Initiativeが認めているライセンスであれば、どんなものでも自由に選択できるようになります。
NewsForge.com 原文