VMware、VMware Serverの価格をゼロに

米VMwareは、VMware Playerに続き、LinuxとWindows向けにフリーのサーバ製品を準備している。

今週月曜日、EMC傘下のVMwareは、x86サーバやx86-64サーバを複数の仮想マシンに分割する”エントリレベルの仮想化製品”と同社が呼ぶVMware Serverのベータ版をリリースする。デスクトップ指向のVMware Workstationと比べ機能が限定されるVMware Playerとは違い、VMware Serverは完全な機能を備えた製品であり、仮想マシンを作成する機能に加え、監視機能やIntelのVirtualization Technology(VT)と仮想SMPのサポートが含まれている。マシンがシングルCPUであっても、仮想マシンは複数のプロセッサをゲストOSに提供できる。

VMwareのデータセンター/デスクトップ・プラットフォーム製品担当副社長Raghu Raghuramによると、VMware ServerはVMwareの現行のエントリレベルサーバ仮想製品である「GSXよりも高度な」製品であり、今後は新規顧客にVMware Serverの導入を勧める方針だ。だが、このリリースは”ビールが無料”という意味でのフリーであり、オープンソース・ライセンス下でリリースされるわけではない。

ただし、VMware ESX Serverにあるような高機能の管理ツールはVMware Serverにない。「完全な能力や高度な機能はありません…大規模なロールアウトで必要になるようなレベルのものは」

GSX Serverの現行価格は、デュアルCPUシステム用が$1,694、プロセッサ無制限システム用が$3,388に設定されている(VMwareサイトの記述より)。Raghuramによれば、VMware Serverの有償サポートは提供するが、システム構成が違ってもサポート料金に差はない。

競争激化への対応か?  

仮想化製品の市場では、競争が激化している。VMwareが製品を投入した当時、ほとんど競争相手はいない状態だったが、今ではLinuxベンダが仮想化ソフトウェアをXenという形でディストリビューションに加え始めている。SunはSolaris Containersという形で仮想化を提供し、MicrosoftはVirtual PCを提供し、米SWsoftにはVirtuozzoがある。

Raghuramによると、VMware Serverは他のソリューションに魅力を感じる顧客をおびき寄せようとする試みではなく、また仮想化製品の市場競争に応じた対抗策でもない。実際の動機は「まったく新しいユーザ層を獲得するため」であると言う。

だが、VMwareのライバル企業は、同社が市場の優位を守ろうとしていると見ている。米XenSourceのCTO、Simon Crosbyは、VMwareが「Xenが市場に提供され、フリーであり、成功を収めている事実に対処しようとしている」と語った。

「今回のことは、Xenの擬似仮想化(paravirtualization)の勝利をはっきりと示す出来事です。Xen 3.0の毎月15,000件のダウンロードが実害を与え始めたことを暗に認めたということです」

Raghuramは、Xenを意識していることを否定し、Xenは「不安定」で、「独自のカーネルを構築できるスキルがある人しかまともに扱えない」と言った。VMwareの本当のターゲットは「それとは反対の人々」であり、その手段としてVMware Serverをフリーにして使いやすくしたというのだ。

Crosbyは、Xenが「今は使いやすいとはいえません」と認める。「ですが、それは早急に是正されます。しかも、Xenは非常に安定しているんですよ。弊社のQAプロセスの活動には、20社を超える大手エンタープライズITソリューションベンダと世界各地の膨大な数のサーバというリソースの蓄積が大きく寄与しています」

SWsoftもこのニュースを良い知らせと受け止めた。SWsoftのエンタープライズ市場担当責任者Carla Safiganは、このリリースが意味するのは「VMwareがライバルからの圧力を感じ始め、長期的な市場シェアを懸念していることです」と述べた。

今回のフリー製品はSWsoftの市場に影響を与えないというのが、Safiganの見解だ。同社のVirtuozzoの直接のライバルはVMware ESXであり、GSX製品ではないからである。ただし、「Microsoftは脅威を感じるに違いありません」

また、SWsoftはNovellやRed HatなどのLinuxベンダと提携して、OpenVZをLinuxディストリビューションに直接移行することに取り組んでいる。OpenVZは、SWsoftのVirtuozzoのオープンソース機能限定版である。

ゆっくりと、しかし着実に仮想化製品の市場は、XenやOpenVZのようなプロジェクトによってコモディティ化している。それは、ちょうどLinuxがオペレーティングシステム市場のコモディティ化に一役買ったのと同じである。長期的には、顧客は仮想化製品を選ぶ基準としてコア仮想化テクノロジではなくパフォーマンスツールや管理ツールに注目するようになるだろうと、Safiganは見ている。

最終的には、この動きは仮想化テクノロジ全体にプラスになるとCrosbyは考えている。「VMwareが少しばかり変化に寛容であろうと決めたことは明らかで、もちろんGSXがいまだにクローズドソースであるのは難点ですが、これは動作の遅い時代遅れの製品です。でも、仮想化にとって全般的には良い動きですよ。すべてのサーバが仮想化されるべきだというのが、私たちの信念ですから」

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