LinusからMerkeyへ「盛大に泣いてくれ」

Jeff Merkeyを覚えているだろうか。チェロキー法の名のもとに、GPLライセンス下のコードをLinuxカーネルからハイジャックしようとした開発者である。現在もLKML(Linuxカーネルメーリングリスト)に出没し、相変わらずの問題児ぶりを発揮している。ここ2週間はLKMLに腰を据えて、StallmanにGPLの悪を説き、ユーザ空間の破損についてTorvaldsに文句を言っている。せめてStallmanでやめておけばよかったのに、とも思える。Merkeyが抱えている問題について、Torvaldsからは一片の同情も返ってこなかった。

12月29日、MerkeyはTorvaldsその他に宛てたLKML投稿で、ユーザ空間の破損について次のように書いた。

破損問題はばかげている。本来、起こらずにすむはずのことだから愚かだ。ここひと月、dsfsをいろんなリリースにポートしてきたが、ユーザ空間、usb、nfs、メモリ管理の破損があきれるほどひどい。こんなにLinuxのインタフェースが壊れるんじゃ、もうメモリ管理その他を書き直させるな。誰かがやろうとしたら、そのたびに「絶対だめ」と言って、やめさせろ。

新しい機能の1つも作ればいいのに、どいつもこいつも、カビが生えたような退屈なOS部分を繰り返し繰り返し書き直している。いったいメモリ管理とスラブアロケータを何度書き直せば気がすむんだ。vfsをあと何度壊したら気がすむんだ。

こんなことをしてたら、Linuxが死ぬぞ。破損の大部分は意図的に起こされたもの、起こらずにすんだはずのものだ。とてもじゃないが、付き合いきれない。

Torvaldsは回答し、カーネルへの内的変更によって引き起こされる破損は、カーネル開発者の知ったことではない、と指摘した。「内部カーネルのことではないよ。内部カーネルは変更されて当然のものだ。それでカーネル外の何かが破損しても、それはこちらの知ったことではない。それが基本だ」

だが、Merkeyはさらに論争を挑んだ。「じゃ、少しは知れよ。おまえと、おまえのやっていることをサポートするのに、みんな大金を払っているんだ。現状じゃ、こんなリリースから安定した何かを作ろうとしたって、金と労力がかかるだけだ。そのうちみんなの気が変わって、Windowsに戻ったり、サポートをやめたりするぞ。そのまえに、ちっとは責任ってものを考えろ」

これは言いすぎだったろう。Torvaldsの回答はぶっきらぼうだった。

私のために盛大に泣いてくれよ、ジェフ。

カーネルはGPLであり、それは私の責任の内にある。ソースコードと、パッチとして私のもとに送られてくるもの。それは私の仕事であり、そのために私はお金をもらっている。私の契約には、オープンソースでないものを扱ってはならない、とある。

カーネルの外部にあるのは、ほとんどの場合、(a)マージできる状態にない実験的なものか、(b)GPL逃れを意図しているもの、のどちらかだ。

どちらも、1秒たりともサポートに時間を費やす価値がないものだ。君は「おまえと、おまえのやっていることをサポートするのに、みんな大金を払っている」と言うが、それはあからさまな嘘だ。GPL逃れをもくろむ人間が、私のサポートに1銭も払うはずがない。その金は、私と何千人という支持者が苦労して築き上げてきたものを貶め、破壊することに使われているはずだろう。

最後の「GPL逃れをもくろむ人間」という言葉がMerkeyに向けられたものかどうかはともかく、Merkeyが記述に当てはまることは間違いない。最近、Wolf Mountain Operating Systemプロジェクトでやっている仕事は、一部のみオープンソースで、GPLでカバーされないオペレーティングシステムを目指しているからだ。

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