LISA '05カンファレンス:2日目

サンディエゴ LISA ’05カンファレンス2日目は、多くの面白い講演と二次会にあふれていた。

2日目は、まず「UNIX/Linuxインフラ管理の最新動向」(Modern Trends in UNIX and Linux Infrastructure Management)と題するセッションに参加した。講演者のAndrew Cowieは仮想化技術、ブレードサーバー、サーバー統合などの動向を話してくれた。素っ気ない講演ではあったが、私が日頃感じている不満点を突く話題もあった。とりわけ、Webベースのインタフェースが家電機器の管理インタフェースの究極の形との観念をバッサリ切って捨てたのは印象的だった。これらは現存する他のシステムとうまく統合しておらず、重要なシステムのパスワードとユーザー名をもうワンセット操らねばならぬ管理者からは厄介者扱いされる傾向がある。

PCの将来を占う日

次に参加した講演は、デスクトップ管理の問題を解決する仮想化技術に関するものだった。SkyBlue TechnologiesのMonica Lamは、シンクライアントと従来型PCについて典型的な問題点を一通り説明した。Lamによれば、解決策はR2R(Ready-To-Run: 箱から出してすぐ使える)タイプのソフトウェアの形で実現されるという。例えば、彼女の会社のitPlayerというソフトウェアがそれに当たり、これは近くリリースされるものと思われる。Lamの講演の最後に同製品の簡単なデモが行われた。1回目のデモはクラッシュしたが、2回目のデモで、Microsoft Windows XPの仮想インスタンスがほんの数秒でService Pack 1からService Pack 2へ移行する様子を見せてくれた。

仮想化技術と言えば、最近よく話題にのぼるので、当然多くの関心を集めるものと思った。今回の会議では仮想化技術がそれなりに注目されているようにも見えたのに、それをめぐる発言は参加者からほとんど出なかった。

もうひとつ行こう

昼食後、Dan Kaminskyの「ネットワーク特捜隊」(Network Black Ops)と題する講演に何とか間に合った。元々水曜日に予定されていた講演だ。待った甲斐はあった。Kaminskyは有益で面白い話をしてくれた。その中でも、ホストに所定のパケットを送信してシステムの識別特徴を残す侵入防止/検出システムの欠陥に関する議論は注目に値するものだった。要約すると、こうしたシステムでは断片化されたパケットのタイムアウト値がホスト・オペレーティング・システムのタイムアウト値と異なるため、攻撃者がパケットを巧妙に偽造すれば、侵入防止システムの裏をかくことも可能というのだ。

LISAに参加する方へ
このショーは、ハイスクールの初日のようなものと思えばよい。筆記用具を携えて早めに顔を出し、セッションが始まるまでの間にいろいろ偵察することをお勧めする。会議案内書の余白に殴り書きしながらメモ帳を持ってくればよかったとつぶやいている参加者が少なからずいたことを申し添えておく。
Kaminksyは、DNS経由のビデオ送信のデモもやってみせた。これはかなり愉快なものだった。また、DNSに関する彼のその他の研究にも触れ、DNSクエリ絡みの興味深い図版を見せてくれた。

システム管理者の時間管理

LISAは「専門家参加型」(the guru is in)セッションも売りにしている。とどのつまり、これは厄介な講演を省いたQ&Aセッションを意味する。多くの講演では、主たる発表の後に質問の時間がほとんど取れないので、ある意味望ましいスタイルとも言える。実際、Q&Aは講演者の発表と同じかそれ以上の知見を与えてくれるものだ。

私が参加した専門家セッションはシステム管理者の時間管理/プロジェクト管理に関するものだった。このセッションは前半と後半でそれぞれ45分のサブセッションにわかれ、前半はStrata Rose Chalupがプロジェクト管理の質問に答え、後半はTom Limoncelli(『Time Management for System Administrators』の著者)が時間管理の質問に答えていた。両方のQ&Aセッションで気づいたことだが、これに参加したシステム管理者は誰もが時間管理/プロジェクト管理に賛成なようで、参加者の多くは彼らの会社や同僚にも賛成してもらうにはどうすればよいかアドバイスを求めていた。

二次会

専門セッションは午後5時30分で切り上げられ、LISAの大多数の参加者は米Sun Microsystems後援のパーティ(LISA “holiday office party and gameroom”)目当てに会場(Atlas Ballroom)へ繰り込んだ。

料理もなかなかなもので、皆よい時間を過ごしたようである。パーティ会場への入りしな、LISAの主催者がブラックジャックとポーカー用に500ドル相当の模擬札を手渡してくれた。これをチップに交換してゲームをするわけだが、最後は富くじに交換される仕掛けだ。

人気の賞品はLISA 2006の専門セッションの無料パスだった。他の賞品として、『Family Guy』のDVDセットや『Office Space』のDVDなどがあった。LISA 2006のパスが賞品と発表されたとき会場にどよめきが上がったのは、参加者がこのショーを楽しんでいた証拠でもあるだろう。

Linux採用の倫理と苦労

先のパーティの後、私は2つの同好(BoF: Birds of a Feather)セッションに参加した。最初のセッションは、新たに結成されたLOPSA(League of Professional System Administrators)の倫理綱領の制定に取り組んでいた。

倫理の議論は活気に満ちたものだったが、どのLinuxディストリビューションが使われているかを話し合う2つ目のBoFセッションは現実的な意味で有益なものだった。

ご承知のように、多くの管理者がRed Hat Enterprise Linuxを使用している。中にはそこから抜けだそうとしている人も少なからずいるが、Red Hatでしか保証されていないアプリケーションを使用しているため、そうできずにいる。うまくするとSUSEでも保証されているかもしれないが、DebianやUbuntu(Debian系ディストリビューション)を使いたい管理者には何の助けにもならない。

こうした人々の多くは、ベンダに頼めば結果が出るなどとはほとんど信じていない。例えば、Red Hat認定よりもLSB(Linux Standards Base)認定だとの話が出た。何人かの管理者は、LSB認定アプリケーションを注文すればうまくいくとの考えに疑念を抱いていて、注文後にLSB認定でないアプリケーションを購入した人々が特にそうだった。顧客が再三要求して初めてLinuxが主要ベンダの品揃えに加えられたことなど忘れてしまっているのだ。

Linuxを使用する上での苦労と特定ベンダの問題を指摘する管理者もいた。もはや誰も意外と思わないはずだが、バイナリ・ドライバの問題は、カーネルやOSをアップグレードするとき、管理者に深刻な影響を与える。

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