LISA '05カンファレンス:1日目

サンディエゴ発: 陽光あふれるサンディエゴで開催された第19回Large Installation System Administration(LISA)カンファレンスの1日目は、まるでコンピュータマニアのためのディズニーランドのようだった。ジェットコースターのような乗り物はないが、たいへんな数のアトラクションがあり、とても1日では見て回れないほどだった。

Yahoo!のエンジニアリング担当副社長であるQi Luは、水曜朝に基調講演を行った。LISAではたいてい多くの催しが同時進行で行われているが、この日の朝8:45〜10:30の時間に設定されていたのは、本カンファレンスの「開会の言葉」に相当する、Luの「パブリックWebの範囲を超えた検索」という基調講演だけだった。この講演では、途中で席を立つ人が多く目についた。Luの話がまずかったわけではないのだが、システム管理の難しいテーマに取り組もうとしてこの街に集まってきた人々にとっては、少しばかりハイレベルだったのだろう。私が後でおしゃべりした何人かの人々は、あの講演はまるでYahoo!の宣伝じみたトピックから始まり、彼らがLISAで聞きたいと思っているような内容ではなかったと語っていた。

突然の日程変更

私が次に参加したセッションは、マーケティング的配慮(というかそれ以前のもの)がまったく欠けていた。なんとスピーカーが現れなかったのだ。予定では、DoxPara ResearchのDan Kaminskyが「ネットワークの非合法活動:既存ネットワークに見られる予想外の機能」というタイトルで話すことになっていたが、Kaminskyは約束の時刻に現れなかった。非常に興味深かったのは、LISAの主催者がきわめて迅速にKaminskyのセッション日程を再調整し、カンファレンス参加者に告知したことだ。結局は木曜日の昼食時に延期されることになり、このスケジュールは既にLISAのWebサイトに掲載されている

私は空き時間ができたので、既に始まっていたBdale Garbeeの「アマチュア衛星のコンピューティング」というセッションにもぐりこんだ。日々のシステム管理作業に応用できるような情報はあまり得られなかったが、なかなか興味のそそられる内容だった。Garbeeは、アマチュア衛星の歴史や、アマチュア衛星がどのように設計され、どのようにして軌道に乗せられているかを語り、Radio Amateur Satellite Corporation(AMSAT)が今後予定している活動について紹介した。自分でアマチュア衛星を打ち上げる機会が近いうちにあるとは思えないが、話を聞くぶんにはなかなか面白かった。

さらに、Strata Rose Chalupのセッション「200人未満の中小企業にベストプラクティスを適用するには」にも参加した。Chalupは、中小企業の効率性を高めるためにシステム管理者にできること(あるいはシステム管理者が配備したいと考えるシステム)について語り、特に、大企業で見られるようなインフラストラクチャを従業員200人未満の企業に導入する方法について話をした。LISAで開かれるセッションの多くは大規模なサイトを対象にしたものなので、中小企業の管理者向けのセッションが開催されたのは有意義なことだ。私は自分が中小企業でシステム管理者として働いた経験から、Chalupが取り上げた数々の問題を身をもって知っている。

Chalupの話は聞き手にわかりやすいよう配慮されており、中小企業のIT部門が抱えているさまざまな問題をズバリと指摘した上で、そのうちいくつかの問題については、実際的であまり費用のかからない解決方法を提示してみせた。

展示ホールの様子

LISAの展示ホールは、カンファレンスの他のところに比べるとやや控えめな大きさである。実際、セッションなどが開催されている大きなカンファレンスホールの1つと同じくらいのサイズしかない。今回のカンファレンスでは約40社がブースを出しており、スキャニング対応バッジと首からさげる紐を配っていた。

Googleのブースでは、積極的に人を呼び込んでいた。Sunのブースでは、自社のハードウェアをいくつか展示し、ZFSとSolaris 10の説明をしていた。私はSun、SplunkSymark、SourceFire、The Written Word(こんな名前なのに、なぜかドキュメントや執筆業とは何の関係もない会社である)の担当者と話をし、有意義な時間を過ごした。

Splunkはつい最近商用ソフトウェアを売り出し始めた企業だが、Webベースのフロントエンドを使用した、Googleに似た検索機能を持つシステムログファイル用の検索ソフトウェアを展示していた。私はブースで実際にデモを使ってみて、担当のPatrick McGovern(肩書きは「Chief Community Splunker」だそうだ)と30分ほど話をした。このソフトウェアは、データセンターで役に立つのではないだろうか。

カンファレンス会場ではあちこちで食べ物や飲み物が出されていた。今朝は、フルーツ、ペストリー、水、そしてもちろんコーヒーが用意されていた。今日のぶんのワークショップやテクニカルセッションがすべて終わると、展示ホールでメキシコ料理のスプレッドとマルガリータが振る舞われ、人気を博していた。

新しい出会い

夕食のための短い休憩の後、BoFセッションが始まった。面白いことに、LISAのBoFセッションは最初からきっちりスケジュールが決まっているのではなく、これから新たに予定を組むことも可能である。仲間と話し合いたいことがあるならば、それをBoFの掲示ボードに書いておき、人が集まるのを待てばよいのだ。

LISAは強力なコミュニティカンファレンスなので、「ホールウェイトラック(hallway track)」でも有益な情報を得ることができるだろう。ホールウェイトラックとは、セッションとセッションの合間にさまざまなところから来た人々が廊下などに集まって意見を交換することだ。私も既にさまざまな会社の人と知り合いになったし、他の参加者とおしゃべりをしたり、彼らがどんな仕事をして、どんなツールを使っているのかを教えてもらったりして、有意義な時間を過ごすことができた。

午後10時を過ぎても、カンファレンスホールでは何事かが行われていた。「ラップトップルーム」は参加者のために24時間開放されており、こんな遅い時間でも、10人以上の人が電子メールを出したり、リモートシステムのチェックをしたり、ラップトップパソコンの周りに集まって技術的なトピックを話し合ったりしていた。もちろん、各ベンダ主催のパーティも開かれていた。

今のところ、このカンファレンスに不満を持っている参加者は見当たらないようだ。不満があるとしたら、参加費用についてだろうか。1日のテクニカルセッションの参加費は250ドル、1日のトレーニングトラックの参加費は625ドルもするのだ。もちろん、これには旅費、ホテル代、食事代は含まれていない。

それはともかく、誰に話を聞いてもLISA ’05は大成功であるようだ。2日目が楽しみだ。

原文