「Slashdot効果」の解決法

少しの知力と、すぐに利用できるオープンソース・ツールを携え、2人のITサービス・プロバイダが「Slashdot効果」を解決できることを実証しようとしている。その名もMirrordot。Slashdotからリンクされたページを自動的にミラーリングするサイトである。

「Slashdot効果」とは、Slashdotの記事中に貼られたリンクを膨大な数の読者がクリックしたときに起きる現象だ(SlashdotはNewsForgeの姉妹サイトである)。ともすると、リンク先のサイトのサーバに接続要求が殺到し、サーバは接続不能な状態に陥ってしまう。

Mirrordotでは、Slashdotのニュース・フィードを受信し、まったく同じ記事とリンクを含むブログ風のページを作成している。唯一の違いは、Mirrordotでリンクをクリックすると、たとえばForbes.comに接続される代わりに、元のSlashdotのストーリーが投稿された時点でMirrordotが取得したスナップショットに接続されることだ。

Jay Jacobsonによると、彼とパートナーのErik Stephensは、富と名声を求めているわけではない。ミラーリング・サービスに料金は課していないし、必要な広帯域幅は自費でまかなっている。「他のいくつかのサイトからもミラーリングの話を持ちかけられました」とJacobsonは言う。「しかし、実現には至りませんでした。我々の当初の目的は、声明を出して主張の正しさを証明することで、ビジネスを立ち上げることではなかったからです。」実は、JacobsonとStephensは、すでにEdgeOSという会社を運営しており、遠隔監視による脆弱性査定サービスを提供している。

JacobsonとStephensはオープンソース・ソフトウェアの支持者で、それは彼らがMirrordotの構築に使ったツールにも表れている。「すべてオープンソースです。」Jacobsonは言う。「2台の専用Webサーバで運用していますが、どちらもPentium III 700MHzマシンという、かなり非力なハードウェア構成です。」Mirrordotは、Debian Linux、メモリ・フットプリントをごく小さいサイズまで抑えて「多くのプロセスを瞬時に起動」できるように設定された「プレーンな」Apache、およびWebからファイルを取得するネットワーク・ユーティリティのwgetを使って運用されている。「標準構成のものばかりです。」Jacobsonは言う。「マシンのスペックは、実現しようとしている機能に合わせてチューニングおよび設計されています。」

「サーバがダウンしたり、速度が低下したりしたことは一度もなく、これまで掲載された記事のおそらく90%以上をミラーリングしてきました。」

Jacobsonは、彼とStephensがやってきたのは単純なことだと力説する。「我々は特別難しいことをやってきたわけでも、山ほどの新しい技術を生み出してきたわけでもありません。」それでは、たとえばSlashdot効果で迷惑を被る可能性の高いWebサイトが、このシステムを取り入れたり、自ら構築したりしないのはなぜだろうか。「そもそも、『なぜだれも対策を講じていないのだろうか。きっと何か難題にぶつかっているに違いない』という発想が我々の出発点でした。そこで、『自分たちでやってみて、どんな障害にぶつかるのか確かめてみよう』と考えたのです。」しかし、すべてが順調に運んだ。Jacobsonが出した結論は、「自称オタクの多くは、実際は違う」ということだった。

ただし、小規模なサイトが直面する可能性のある問題として、彼は帯域幅の不足を挙げる。「我々の帯域幅の使用量はきわめて突出しています。ときには100MBの接続が飽和状態になることもあります。これはだれでも用意できる接続ではありません。自宅のケーブル・モデム接続で続けられるようなたぐいのプロジェクトではないのです。」

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