オープンソースへの関与を深めるSun

Sun Microsystemsはオープンソースにもう腰まで浸かっているが、そこからさらに深いところに進もうとしている。Sunの昨日の発表によると、自社のソフトウェアの無償リリースをさらに拡大し、いずれはオープンソース・ソフトウェアとしてリリースするつもりだという。

SunはすでにSolarisの大部分をオープンソースとしてリリースしているが、これからJava Enterprise SystemN1 System Manager、Identity Management Suite、SunRayサーバ・ソフトウェア、開発者ツールなどをリリースするという。

SunはこのソフトウェアをすべてSolaris OSに統合して、Solaris Enterprise Systemという統合スタックを提供することも予定している。SunのJava Enterprise Systemと開発者ツールは、Linux、HP-UX、Windowsといった他のプラットフォームでも利用できる。

従来、SunやMicrosoftのような企業にとって、オープンソース・ソフトウェアは控えめに見ても収入を圧迫するものと考えられていた。しかし、Sunはいまや逆の見方をするようになっており、同社の幹部たちはプロプラエタリ・ソフトウェアが収入の阻害要因であると語っている。

Sunがソフトウェアを無償で提供し、オープンソースとしてリリースすることは、果たして賢明なのかと疑問を持つ人もいるかもしれない。水曜日に行われた発表の電話会議でのSunの幹部たちの話によると、同社は無償にする予定の製品に関連して年間約1億ドルの収入を得ているそうだ。しかしながら、Sunは顧客がバイナリを受け取る特権に対してではなく、Sunから引き続きサポートを受けるために、代金を払ってくれると期待している。

さらに、Sunはソフトウェアをよりオープンなやり方で提供することによって、開発者たちがSunの製品を使ってみる気になるように努めている。Solaris Enterprise Systemの上にアプリケーションを構築する開発者の数が増えると期待している。

ソフトウェア・ポートフォリオ戦略とマーケティングのシニア・ディレクターを務めるJim McHughによると、Sunの顧客は「ソフトウェアに無料でアクセスして製品を無料で拡張できるという考え方を好んでいる」が、彼らがソフトウェアをプロダクション環境に展開するときSunにサポートを求めてくるだろう。

どこかで聞いたことのある話だと感じるとすれば、それはRed HatやNovellなどが、すでに数年前から実践していることだからだろう。

Sunはソフトウェア・スタックをオープンソースとして提供すると言ってはいるものの、どんなライセンスを使用するつもりなのかまだ明言していない。McHughによれば、ライセンスのことは未定だが、いくつかのソフトウェアについてはSunのCommon Development and Distribution License(CDDL)を採用する可能性が高いという。彼はまた、SunがGPLの改訂プロセスを注視していることにも触れた。

SunはGPLの改訂プロセスで何か役に立ちたいと思っているが、発表されたばかりなので、このプロセスに参加する計画を作成する機会がなかった、とSunのチーフ・オープンソース・オフィサーであるSimon Phippsは付け加えた。Phippsとしては、Free Software Foundationがコードの混合可能性に関するいくつかのルールを明確にしてくれるのを特に注目したいそうだ。

では、オープンにされないものは何だろう。まずはJavaである。オープンソースへの道筋にあるSunのJava系テクノロジは数あれど、SunのJava Virtual Machine(JVM)はリストに含まれていない。Phippsは、Javaはオープン・スタンダードだと言って、Javaのクラスライブラリのフリー・ソフトウェア実装(Kaffeなど)やProject Harmonyによってなされる仕事に言及した。

Sunが買収したStorageTekのソフトウェアもリストに含まれていない。コードを点検して、リリースの妨げになるものがないか確認する必要がある、というのが主な理由だ。

今のところ、Sunはオープンソース・ライセンスの下でいつソースコードをリリースするのか、明確なスケジュールを設けていない。McHughによると、スケジュールは流動的であり、まずコードを点検して、オープンソース・ライセンスの下でリリースできるように障害物を取り除く必要があるとのことだ。

Sunの幹部たちは電話会議で、オープンソースの障害となる特許の問題や、Sunの特許ポートフォリオの範囲を拡大してSunの顧客とオープンソース開発コミュニティを守る必要があることにも言及した。

中途半端な措置ではSunとオープンソース・プロジェクトは特許問題に晒され続けるので、Sunはソフトウェア特許の完全廃止に向けて動くほうがよいと思われる。これについて、Phippsは次のように語った。ソフトウェア特許を廃止するのが望ましいが、法律を変えるのは容易ではない。その時までSunは、顧客とオープンソース開発のために「パテント・セーフな領域」を作ることに努めるつもりだ。

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