法人向け住宅サービス会社の命綱はLiferayポータル

Eric Nathansonは、法人向けに住宅サービスを提供しているOakwood社のエンタープライズアーキテクトである。経営陣がオープンソースソフトウェアに「多少の疑念」を抱いているという作業環境で働いているが、最近、その疑念の払拭に向けて多少の前進があった。GPLライセンスのもとで提供されるポータルパッケージが、プロプライエタリ製品より安全で、効率もよく、何より予算に優しいと説き、その説得に成功したのである。「論より証拠による説得でしたよ」とNathansonは言う。

Oakwood社は全国各地でマンション管理を代行するほか、法人向けに住宅サービスを提供している。ドアを開けて1歩中に入れば、家具も鍋釜も家電製品も、その他、Nathansonによると「考えつくものはほとんど何でも」そろった部屋を用意している。こうして多方面に事業を展開しているOakwood社だが、そのすべてを統合するソフトウェア――提供している諸サービスはもちろん、内製・外製アプリケーションとベンダ管理のすべてを統合できるソフトウェア――のないことが悩みの種だった。

「当社だけでなく、現代の企業はどこも同じでしょう」とNathansonは言う。「いくつものユーザコミュニティがあります。お客様がいて、お客様のパートナーがいますし、ベンダがいて、ベンダのパートナーがいます。当社の従業員がいて、その一部はベンダのもとに出向しています。事業のいろんな局面に当社と契約する業者がいます。そのすべてに統一的に適用できるような、そういうセキュリティポリシーと組織的枠組みを作り出すことがたいへんなんです」

Oakwood社が求めたソリューションは、すべてのアプリケーションを単一のセキュリティ/ユーザインタフェースコンテキストに統合できるポータルサーバだった。

まず、Microsoft社のSharepointコラボレーションソフトウェアをテストするパイロットプロジェクトを立ち上げた。「うちの経営陣はMicrosoft一辺倒で、オープンソースソフトウェアの質の高さも、サポートの幅広さも知りません」とNathansonは言う。だが、5か月たっても、Sharepointプロジェクトは満足な結果を得られずにいた。そこでNathansonがLiferayポータルという代案を出した。これはオープンソースのJavaプログラムで、データベースとオペレーティングシステムを問わない。「3か月で結果を出しましたよ。経営陣の期待に――それも、ずっと安い費用で――応える結果をね」

Liferayを採用し、新しいコラボレーション機能を導入しはじめて以来、Oakwood社の住宅サービス契約が増えた、とNathansonは言う。重役や幹部の出張に備え、一時的な宿泊施設を求めている企業は多い。

こうしてオープンソースの価値に目覚めたはずのOakwood社だが、Microsoft信仰は薄らいでいない。今後も、会社としてオープンソースの使用を増やす予定はない。ないどころか、現在、すべてのサーバをWindows Server 2003に切り替えている最中である――LiferayがSUSEサーバで稼動しているというのに。

「私はエンタープライズアーキテクトとして、目的に合わせて最適のツールを選ぶのが仕事です」とNathansonは言う。「率直に言って、垂直アプリケーションや、事業活動についての細かな知識を必要とするような分野だと、商業ベースのソフトウェアがオープンソフトウェアに勝ります。オープンソースというのは、結局、大勢の人間が同じ問題を何度も何度も繰り返し解くくらいなら、共通の解を得ておこうということでしょう。でも、現実には、大勢の人間が入ってこない狭い分野もあるんです」

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