LinuxWorld Conference and Expo - まとめ

これは私を含め多くの人が言っていることだが、半年に一度のLinuxWorld Conference and Expoはビジネスマン同士の集まりになってしまった。先週はサンフランシスコのMoscone Centerの西館で開催されたが、出展数は約200と昨年よりも多かった。来場者は約11,000人で、これは昨年と同じ数字だ。

しかし私が聞いた限りでは、来場者の質が高かったので昨年よりもよかったと、ほとんどの出展者は口をそろえた。少なくとも彼らにとってはそうだったのだ。しかし、メインの展示エリアがあるフロアからは遠く離れた「.org(ドットorg)」エリアには、まだ「集会所」的な雰囲気もあった。GNU/Linux の力強く着実な進歩を支えているGUIなどのソフトウェアの新展開を知りたくてここへ来ている人にとっても、LinuxWorldが有意義なものになっているのはそのせいだ。

「開発者たちに会って、最新の開発状況について話をしたければ OSCON (the O’Reilly Open Source Convention)に行くといいよ」と言ってくれた来場者がいた。「そこは5、6年前のLinuxWorldみたいなところ」なのだそうだ。

Ottowa Linux Symposiumも開催されているが、これはカーネルハッカーたちが技術的な話をするところで、展示フロアへ入場できる人も、人数もかなり制限されている。

つまり、開発者どうしで真剣な議論を交わしたいのであれば、LinuxWorldに来ても意味がないということだ。しかし、商用あるいは企業のLinuxユーザーに成果を見てもらいたいのであれば、今でも北米ではベストな展示会と言うことはできるだろう。

商業展示を見てまわる

Splunkは初めてのLinuxWorldへの出展となる。こうした出展が可能になったということは、ベンチャーキャピタルがまだLinuxやオープンソースを使った事業に対して投資をしてくれる(「ふたたび投資してくれるようになった」と言うべきかもしれない)ということを証明してくれたわけで、元気づけられる。Splunkのソフトウェアの初リリース(ベータ版)はRed Hat、Fedora、Solarisに対応している。オープンソースではないが、ユーザーがこのソフトウェアの拡張機能をオープンソースで開発することは奨励している。Splunkのブースはなかなかの盛況で、いつ見ても話を聞きに来ている人がいた。商業展示者にとっては、LinuxWorldでの「成功」とはこういうことを言うのであろう。 下の写真はSplunkブースのスタッフたちだ。



次の写真は、Novellのブースでこじんまりとしたプレゼンテーションをしているところだ。SUSEの緑色の帽子をかぶっている人が多い。Red Hatの赤い帽子にはなかなかお目にかかれない。Red Hatのブースでさえ珍しいくらいで、スタッフはほとんど帽子をかぶっていなかった。



Novellの大きなブースと通路を隔てて、同じように大きなIBMのブースがあったが、プレゼンテーションの聴衆は多いとは言えず、特に展示日の3日目と最終日は少なかった。しかし何人かのIBM関係者によれば、ビジネスの手掛かりが色々とできたという。つまりIBMにとってはLinxWorldは常に素晴らしい展示会だということだ。



最近のLinuxWorldでは大きな進歩が見られた。初期のころはプレスルームで展示会側が用意するPCのほとんどはWindows機だったが、今回はXandros提供のLinux/KDE のデスクトップがずらりと並び、Windows機は申し訳程度に一台あるだけだった。



LinuxWorldには今でもすごい人が来る

Linux Journalなどで有名なDoc Searls氏



LinuxWorldではRussell Pavlicek氏の話が毎回聞ける。彼の「GNU/Linuxとオープンソースを上層部に”売り込む”方法」は非常に価値あるセッションだったと2人の友人が言っていた。



LinuxのオリジナルNICドライバーのほぼ全部を書いたDonald Becker氏と、彼のドライバの多くをEtherBoot用に書き直したMarty Connor氏が会ったのは、実はこれがはじめてである。凡人が5人集まっても、この2人分の頭脳には及ばないだろう。2人の大天才を前にすると身の縮む思いである。



最後に

LinuxWorldがますますの商業化していくのを嘆くのは簡単だ。しかし皮肉にも、企業のブースを受け持っているスタッフの多くは、かつてLinuxWorldがスタートレックファン同士の集まりのような雰囲気を持っていたころに会った人たちだ。違っているのは、今はポロシャツを着て仕事をしていることだ。多くの場合は、住宅ローンや家族もあることだろう。GNU/Linuxはもはや「新興オペレーティングシステム」ではなく、コンピューター業界のメインストリームの一角を占めている。そしてこれは私たちにとってよいことなのだ。

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