Sybase、Linux向けにフリーの最新データベースをリリース

高価な自社製品への呼び水としてデータベースなどのソフトウェアをオープンソースで提供する企業が増えている。先月は、IBMがInformixカタログ中の遺物であるCloudscapeをオープンソース化した。そして、今月、PowerBuilderや数十種に及ぶミドルウェア製品で知られるIT企業の老舗Sybase(米国カリフォルニア州ダブリン)が、その戦列に加わった。ただし、同社がリリースしたのは中古ソフトウェアではない。
自由にダウンロード可能なAdaptive Server Enterprise (ASE) Express Edition for Linuxは本当の意味でのフリーソフトウェアだ。試用版のような利用期間の制限もなく、オープンソースコミュニティへの寄付も不要。ただただSybase(ニュースへの露出が少なくなっている)に注意を引き、将来のいつか、より性能のよい自社製品へのアップグレードを検討してもらえるようにと設計されているのだ。ASEは、同社の基幹データベースを、フル装備のままRAM(2GB)とディスク容量(5GB)を制約したバージョンである。しかし、このDBは何回でもダウンロードすることができる。Sybaseのデータベース及びツールマーケティング担当のシニアディレクタDavid Jacobsonによれば、この特別なSybaseライセンスは恒久的なものだという。

基幹製品の導入実績は4万あまり

「これは、当社が20年の歳月をかけて開発した基幹製品で、4万を超える実装があります。最近他社が出したのとは違って、二流品や三流品ではありません。AT&TやAOL(電子メール用)、それにMerrill Lynch(株式取引用)に提供したデータベースの持つ最新機能をすべて備えています」

ASEは、Red HatやSUSEやTurboLinuxなどの「主要な」Linuxディストリビューションで動作する。「ほとんどのディストリビューションで動作するはずですが、確かなことは言えません。ディストリビューションの種類は多いですから」

ASEの設計は、MicrosoftのSQL ServerあるいはオープンソースのMySQLやSleepycat Berkeleyデータベース、さらにはIBMのDB2、Oracleと直接競合するとJacobsonは言う。

Sybaseは、フリーまたはオープンソースのソフトウェアをリリースしたソフトウェアベンダーとしては最後発である。このところ、これまでオープンソースソフトウェアやフリーソフトウェアには関与してこなかった老舗企業が相次いで主要製品をフリーで提供するようになった。たとえば、BEAはWorkshop toolkitを、Computer AssociatesはIngres databaseを提供している。

「IBMやOracleのデータベースでは導入・運営コストが高くつくことに、ITショップの多くが気づき始めています。そして、DBAには、さらに多くのコストがかかっています。つまり、ソフトウェアの購入用にはいくらも残らないことになるのです」とJacobsonは説明する。

サポートコストは必要

Sybaseの提供するフリーのデータベースは、もちろん無償だ。しかし、サポートは無償ではない。完全なサポートだと、年に2,200米ドル必要だ。

「(技術サポートに)大きな必要性があるとは考えていませんし、顧客も技術サポートの予算を必ずしも用意しているとは限らないでしょう。顧客は、ただ、組み込んで使いたいだけなのです。このソフトウェアの設計上の目標は、まさに、そこにあります」

無償のASEデータベースと高品質のSybaseエンタープライズデータベースエディッションの主な相違は、Jacobsonによれば「高可用性と高い複製機能にあり、設立したばかりの中小ショップが本当に必要とするようなものはない」という。