OpenIB Alliance:InfiniBandに期待をかけるさまざまな企業

OpenIB Allianceは、InfiniBandの高パフォーマンス・コンピューティングの相互接続テクノロジの実現を目的とし、Intelから資金提供を受けて発足した。代表者たちは、InfiniBandを配備する単一のソフトウェア・スタックが目標とするのは、Windows、HP-UX、AIX、そしてLinuxという、複数のOSへの対応だと強調している。

InfiniBandに最も強いOSがLinuxであることには疑いがない。Intel、IBM、Dell、Sun Microsystems、Engenio、Infinicon、Mellanoxをはじめとするこのグループが最初に注目するのはこの点だろう。

Mellanoxの製品マーケティングディレクタであるThad Omuraは、「基本的に、もっとも要望が多いのはLinuxだ。われわれの最終目標が、堅牢なLinuxスタックであるのはそのためだ」と語る。

OpenIB Allianceには、Lawrence Livermore National LaboratoryとSandia National Labsのメンバも参加している。「ソフトウェアスタック」と呼ばれる、Linux OSとデータベースの標準構成を作成するのが目的だ。これは、相互運用性を向上させ、コストを低減し、IBをLinuxに配備する際の統合時間を短縮する。このスタックはオープンソースになる予定で、また、運営グループとして機能する創立メンバのようにプロモータとしてOpenIB Allianceに参加するのには費用がかかるが、その他の参加には一切費用はかからないという。

Omuraによれば、現在はほとんどのHPCベンダがInfiniBandをサポートしており、主要な研究施設やラボで広く採用されている。InfiniBandは、クラスタ化スーパーコンピューティングとあいまって成長してきたのだ。

最新のスーパーコンピュータ上位500リストを見れば、クラスタ化がいかに成功を収めているかがわかる。500のうち280以上がクラスタ化システムであり、その多くが、InfiniBandのような高速のネットワーク相互接続テクノロジと同時に、Linuxを採用している。

Omuraは、OpenIB AllianceはまずLinux向けの単一IBスタックの実現に注力するが、Mellanoxおよびその他の参加企業は、Linuxカーネルにスタックを統合していく意図を持っていると付け加えた。今後、Red HatやNovellのSUSEなど主要なLinuxディストリビュータと協力していくということだ。

InfiniBandを正しい方向へ拡張

Engenio(旧LSI Logic Storage Systems)の戦略計画シニア・ディレクタであるStan Skeltonは、OpenIB Allianceの目標は、Veritas、InfiniCon、Network Appliance、Topspin、Voltaireを含むそれぞれの企業がシリコンやスイッチ、管理、アプリケーション、ストレージのような部分でI/Oスタックを重複して作成することを防ぐことで、それぞれの価値を付加することに重点を置けるようにすることだと語る。

「数年前に登場したInfiniBandは、数多くのアプリケーションにとって非常に魅力的なマーケットだった」とSkeltonは言う。「それぞれが思い思いの方法でこれを拡張しようとした。今は幻想から覚めて、高パフォーマンスのシステム間接続のための高パフォーマンス・クラスタとして注目を集めている。今後は、ストレージとしての拡張を行っていく」

Skeltonはまた、InfiniBandは高パフォーマンス市場にとどまらず、数万のノードによってLinuxを論理OSとするような、クラスタ化されたOracleまたはDB2データベース、その他のクラスタ化ソリューションを使用したより一般的なコンピューティングにおいて地位を確立していくだろうと考えている。

「ユーザは、既製のコンポーネントを好きなだけ採用し、競争のための武器として使っている」とSkeltonは語る。

Skeltonによれば、Linux上のIBによって実現される低コスト、低レイテンシ、高パフォーマンスはもちろんのこと、顧客は、単一のワイヤやトランスポートで、ストレージが接続されたサービスをクラスタ化することができるようになる。EngenioのHPCの顧客の多くが、この夏、このテクノロジをプロトタイプする予定だという。

信頼、カーネル、企業

OpenIBのセクレタリを務める、Intelのイニシアチブ・マネージャJim Ryanは、NewsForgeに宛てた電子メールの中で、グループの活動と単一のソフトウェア・スタックがもたらす直接のメリットは相互運用性で、相互接続とクラスタ・コンポーネントをさまざまなベンダのハードウェアで利用できるようになると述べている。

「間接的なメリットは、IBの採用を検討しているITマネージャたちが、IBの将来性により多くの信頼を置けるようになることだ。これは、相互運用性と、LinuxディストリビューションとカーネルにIBを統合することを目標としたOpenIBの活動によるものだ」

Ryanは、InfiniBandはHPCのような特殊なエリアで成功を収めているが、今後さらに、グリッド・コンピューティングのようなイニシアチブが発展し、OracleがIBのネイティブ・サポートを提供し、IBの採用率が増加するに従い、企業のデータセンタで採用されていくと考えている。

Ryanは、このグループが始動すれば具体的なソフトウェア・リリースの計画が発表できると述べると同時に、IBの単一スタックとはどのようなものかを簡単に話してくれた。

「OpenIBの単一スタックは、IBのIHV(独立ソフトウェアベンダ)やその他の提供者による既存のソフトウェアスタックを基にしている。主な違いは、OpenIBスタックはソフトウェア・スタックのコンポーネント全体のブループリントまたはビジョンで構成され、各コンポーネントの提供者やコードの管理者を明らかにするという点だ。ソフトウェアはその他のソースからも提供されるが、最初の定義はOpenIBのプロモータ(OpenIB Allianceの初期創立メンバである企業)の中から採られる」