Javaポータル・デスクトップでIBMがSunと一騎打ち
彼は火曜日、NewsForgeに対し「IBMにはマーケティングのノウハウがある。それは明らかだ。しかし、IBMが顧客に、デスクトップ管理とアプリケーションの代替案を検討するよう促せば促すほど、われわれ(Sun)が魅力的になるのだ」と語った。「われわれは、かつてIBMが行ったことを行ってきた。本当の意味で新しい点があるかどうかはわからない」
つまり、背景はこうだ。IBMは今週、マルチクライアントの企業顧客向けに、ポータル・ベースでサーバ中心のデスクトップ・システムの製造と販売に再度挑戦すると発表した。Workplace Clientと呼ばれるこのシステムは、まずはWindowsとLinuxに対応し、今年中にはMacintoshシステムもサポートされる予定だという。
WindowsとLinuxで動作するEclipseベースのプラットフォーム
Workplace Clientは今年1月、IBMのLotusphereショーで発表され、6月にはリリースされる予定だ。これはオープンソースのEclipseベース/Javaベースのプラットフォームで、クライアント・デバイス用のリレーショナル・データベースと並行してWebSphereレイヤを使用する。IBMサーバと組み合わせて利用すれば、OpenOffice、Microsoft Office、StarOfficeスイートなどの数多くのアプリケーションに対し、オフラインかつ同期化されたアクセスが可能になる。
Workplaceにはまず、ドキュメント管理とメッセージングの機能が用意されている。ドキュメント管理では、新しいLotus Workplace Documentsを使用する。メッセージングでは、Lotus Workplace Messagingの次バージョンが採用される。いずれも、来月にリリースが予定されている。一方、Workplaceでは、サードパーティアプリケーションを、そのアプリケーションがサポートしていないOS上で実行することはできない。たとえば、Microsoft OfficeはWindowsおよびMacOSを実行しているクライアントでしか利用できない。
コールセンタなどの用途で、企業が、高管理性のシンクライアント・デスクトップを利用するのは今日に始まったことではない。Oracle、Sun、IBMの90年代の製品カタログに、未来への潮流として掲載されていたものの焼き直しだ。Hewlett-Packardも昨年、顧客に対して同様の機能を提供することを検討していると発表した。
「本当におかしな話だ」とSasakiは言う。「何人かのIBM関係者と話したが、ポータルベースのソリューションを本当にやるつもりだと言っていた。彼らは3年前(別の形ではあるが)同じことに挑戦して、うまくいかなかったのだ」
2001年はタイミングが悪かった?
2001年は正しい時機ではなかったのかもしれない。実際のところ、ITバブルがはじけた直後、企業はそろってダウンサイジングや廃業を強いられ、最新のオフィス製品に目を向けることなどなかったのだ。
「そうかもしれない。しかし、IBMは売り出す方法とタイミングには精通しているはずだ。これが私には不思議でならない」とSasakiは言う。
Sasakiは、Sunが90年代後半に、StarPortalでこれと同じシンクライアントを実現しようとしていたときのことを振り返ってこう言う。「このプロジェクトには、何人年もの技術をつぎ込んだ。基本的には、ポータル(Web)アクセスでワープロ機能を実現した。新しいIBMのポータルで不可解なのは、管理が完全でないことだ。いまだにWindowsまたはLinuxシステムで実行する必要があるし、すべてのユーザが社内規則に従っていることを管理者が確認するために必要なロックダウンも実装されない。管理面で十分なコントロールができないだろう」
Sasakiによれば、たとえば、新しいWorkplaceシステムがコールセンタに導入された場合、ユーザは簡単に、ワークステーションを個人的な目的で利用できるようになる。ネットサーフィンをしたり、「家族の写真を壁紙に設定したりすることもできる。コールセンタでは、1秒に何本の電話を受けているかを注意深く監視しているので、管理者がすべてのステーションに対して完全な制御を行えなければ、結果として、生産性が大きく低下するだろう」
デスクトップの価格競争は起きるか?
IBMのLotusソフトウェア・ジェネラル・マネージャAmbuj Goyalによれば、Workplaceにかかるコストは、年間1ユーザあたり24ドルだという。Sunが今回の知らせで驚かされたのは、主にこの点からだ。Linux、MacOS、Solarisのマシンで動作するSunの新しいJava Desktop Systemでは、年間1ユーザあたり50ドルのコストがかかる。
これは、企業デスクトップ市場における価格競争を引き起こすかもしれない。そしてそれは、SunとIBMの間だけの話ではない。
「Microsoftもこの傾向に感づいていて、ライセンシングを変更しようとしている」カリフォルニア州ハーフ・ムーン・ベイで活動しているフリーのITアナリストJohn Koenigは言う。「アジアでは、企業ライセンスをすでに持っている顧客に対しては、家庭用Windowsのライセンシングを15ドルまで下げている。価格構造の見直しを迫られているということだ」